「歩行補助が必要な母の介護は災害時どうしたらいい?」
「介護にあたって、災害時に備えておくべきことはある?」
そういった悩みを抱えていませんか?
被介護者は自力で避難が難しかったり、避難先での生活に工夫が必要だったりと、介護の災害対策は悩みがつきものです。
ただし、介護の災害対策には普段からできることも多くあります。
この記事では、日常生活で備えられる対策や、災害時における介護施設での流れなどを紹介します。
それらを参考に、災害時の不安を軽減していきましょう。
1.被介護者の災害時の問題
1-1. 自力での避難が難しい
普段の生活で介護が必要な人にとって、災害時に自力で避難するのは難しいです。
また、短い距離なら自力で避難できるとしても、長距離の移動は難しい場合もあります。
さらに、災害時は家族や周囲の人も自分のことで手いっぱいの可能性が高いです。
1-2. 避難生活への適応が難しい
さらなる災害が発生する危険性がある場合や、災害により建物が倒壊した場合などは、避難所等で生活する必要があります。
普段とは異なる環境での生活により、ストレスも溜まるでしょう。
このストレスが長引くと、精神的に避難生活への適応が難しくなったり、持病が悪化したりする可能性もあります。
自治体によっては、災害時にメンタルヘルスケアが受けられる場合もありますので、事前に確認すると良いでしょう。
2.災害時に備えておくべきこと
2-1. 家族と避難方法を共有しておく
家族内で災害時にどのように避難するか共有しておきましょう。
災害時にどこへ避難するかを確認していれば、パニックにならずに避難所まで移動できる可能性が高まります。
また、避難ルートは複数設定しておくことをおすすめします。
そうすることで、道路や災害の状況に合わせて臨機応変に対応しやすくなります。
2-2. 備蓄品を確認する
普段から、備蓄品を確認しておくことも大切です。
災害の状況によっては、生命維持に重要な品物が手に入りにくい可能性もあります。
2、3日外出しなくても生活できる程度の備蓄をしておくと良いでしょう。
さらに、介護食など、一般的な備蓄品に加えて介護用品も準備しておくと安心です。
2-3. 緊急時の連絡先を把握する
家族や同居人、離れて暮らしている被介護者など、必要な人の連絡先を把握しておきましょう。
最近では、携帯アプリ等を使用して連絡を取り合う方も多いです。
しかし、災害時にはインターネット確保ができるかはわかりません。
電話番号を控えたり、自治体によっては発行している「緊急連絡カード」を利用したりして、災害が起こる前に連絡先を控えておきましょう。
さらに、ケアマネージャーや地域包括支援センター、かかりつけ病院等の連絡先も把握しておくと良いです。
2-4. 家具を固定する
地震のような災害に備えて、家具を固定しておきましょう。
家具が倒れることで、ケガや逃げ遅れに繋がることも考えられます。
本棚や洋服ダンスなど、少なくとも大きな家具は固定しておきましょう。
3.要介護者向けに準備するもの
3-1. 非常用介護食
被介護者向けに、非常用介護食を用意しておきましょう。
災害時に支給される食事は、嚥下機能が低下している高齢者には食べにくいものが多いです。
また、急に食事が変化することを被介護者が嫌がることもあるでしょう。
対策として、普段から時々、非常用介護食を食べてもらう習慣をつけると良いです。
3-2. 常備薬、お薬手帳
普段飲む薬や、お薬手帳は災害時にすぐに持ち出せるようにしておきましょう。
災害時には、薬がすぐに手に入らない可能性もあります。
また、お薬手帳は避難所で健康診断などの際に便利です。
3-3. 多めの衛生用品
おむつや災害用の簡易トイレなどの衛生用品を用意しておくと良いです。
災害時には、自宅や避難所のトイレが使えなくなる可能性もあります。
衛生用品があることで、被介護者だけではなく健常者も使うことができます。
4.被介護者に必要なケア
4-1. 介護スペースを確保
被介護者が避難所で快適に暮らすためには、介護できるスペースを確保することが重要です。
また、できる限りトイレに近い場所で生活できるように場所を確保できると良いでしょう。
トイレの介助が必要であれば、避難所にいるスタッフに声をかけておけば配慮してもらいやすいです。
4-2. 体調変化をサポート
生活リズムや食事が変化することで、体調を崩しやすくなります。
特に、避難所生活に慣れるまでは、介護者は被介護者の体調の変化に普段より敏感になると良いです。
また、被介護者本人にも、体調が悪くなった時に誰に連絡すれば良いか伝えておくことで、体調変化をサポートしやすくなるでしょう。
4-3. 食事の管理
災害時には、普段とは異なる食生活を強いられる可能性もあります。
介護食が必要な場合には備蓄をしておくと良いです。
また、食べ物以外にも、義歯や排泄状況も含めて食事を管理できることが望ましいです。
5.災害時の福祉用具の利用
5-1. 車椅子や杖
災害時に使えるよう、普段使用している杖などは持ち出しやすい場所に置いておきましょう。
また、長距離移動が難しい方には、車椅子があると良いです。
さらに、いざという時のためにおんぶ紐があると尚良いでしょう。
5-2. 電気が必要な器具
電気が必要な器具は、災害時の対策を考えておくと良いです。
たとえば、電動用介護ベッドは手動で操作する方法を確かめておきましょう。
また、エアマットは空気を足さなくても数日間は持つか確かめておくと良いです。
6.介護施設での対策
介護施設が災害に備えて実施している様々な対策を紹介します。
介護施設での災害対策を参考に、自宅での介護の災害対策に取り組みましょう。
6-1. 電気・水道・ガス対策
電気の供給が停止すると、普段使用している機器が使えない他、足元を照らせないなどの理由により転倒の危険が高まります。
懐中電灯やラジオなどはすぐに使える状態にしておくことが理想です。
断水対策としては、お風呂に水を貯めたり、普段から飲料水を備蓄しておくなどの対策があげられます。
ガス停止対策としては、持ち運び可能なカセットコンロや、十分な量のガスボンベを準備しましょう。
6-2. 移動・連絡手段の確保
介護施設には、避難の際に介護が必要な方が多いです。
自力で避難するのは困難のため、移動手段の確保は重要なポイントです。
ガソリンの残量や、すぐに手配できるタクシー会社を控えておきましょう。
また、緊急連絡先は、いつも最新のものが控えてあるように、定期的に確認をとることがベストです。
6-3. 災害発生時の介護施設の対応例
災害の前にいくら備えていても、災害発生時にはパニックになってしまうこともあるでしょう。
ここからは、介護施設における災害発生時の流れを紹介します。
6-3-1. 全員の安否確認
まずは施設全員の安全を確認します。
また、安否が確認できたら、ケガの有無についても確認します。
6-3-2. 医療機器の状況確認
普段使用している機器が破損や故障していないか確認します。
また、機器のバッテリー残量をチェックすることも欠かさず行います。
6-3-3. 入居者に集まってもらう
普段の施設における生活では職員が各部屋を回って体調管理等をしますが、災害時には手が回らないこともあります。
そのため、安全確保のためにも入居者には一箇所に集まってもらうようにします。
6-3-4. 避難経路の確保
余震などに備えて、避難経路を確保します。
まずはドアを開けておきましょう。
また、避難するルートに危険なものが転がっていないか、近隣で火災等が発生していないかも確認します。
6-3-5. 備蓄品をまとめる
全員の安全や今後の避難経路が確保されたら、備蓄品をまとめます。
災害時には、いつ停電が起きるかわかりません。
電気が通っているうちに、水や食料、持ち出し用品などを一箇所に集めます。
7.まとめ
被介護者は災害時に自力で避難ができないケースもあります。
その分介護者も被介護者も災害への不安も大きいでしょう。
ただし、災害に備えた対策には、普段からできることもたくさんあります。
災害時の被害を抑えるため、また避難先でもできるだけ快適に生活を送るためにも記事で紹介した対策を行ってみてください。