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ヒートショックが起こりやすい6つの状況とは~予防から対処法まで~

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「急激な温度変化で命を落とす?」
「冬場の入浴時は気をつけろ?」

ヒートショックという聞きなれない言葉。
しかし、誰にでも起こりうる身近な命の危険が、皆さんの生活には潜んでいます。

ヒートショックによる死亡者数は、交通事故の死亡者数をはるかに上回ると言われるほど。

特にリスクが高いと言われているのが、冬の入浴時です。

急激な温度変化に体が対応せずに失神を起こし、浴槽で溺れてなくなるというケースが多発します。

とはいっても、「具体的にどんな対策を取ればいいのか分からない」そんな人も多いはずです。

そこで今回は、ヒートショックの危険性について解説するとともに、今日からできる予防法を紹介します。

また万が一、周囲の人がヒートショックにより疾患を起こしてしまったらどうすれば良いのか。

その時の対処法についても解説します。

ほんの小さな行動があなたの命を守ります。
この記事を読み、自分にできる対策を実践して頂けたら幸いです。
日常の不安を少しでも減らし、健康な毎日を送りましょう。

目次

1.ヒートショックとは?

急激な温度変化に身体が反応することで引き起こす健康被害のことを、ヒートショックといいます。

最悪の場合、突然死に至るケースもある身近な命のリスクです。

まずは、ヒートショックが起こる仕組みを理解し、自分の普段の生活と照らし合わせてみましょう。

1-1 .ヒートショックが起こるメカニズム

暖から寒への温度変化が起きると、私たちの身体は筋肉を振るわせて熱をつくったり、血管を細くして流れる血液量を減らしたりすることで体温調節をします。

血管を細くすることで血圧は急激に上昇し、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血や不整脈などを引き起こしやすくなります。

反対に寒から暖への温度変化が起きると、血管が拡張し、血圧が急激に低下します。

それにより、めまいやふらつき、または意識を失って転倒や溺死といった結果を引き起こすこともあるのです。

このように急激な温度変化に対応するために、私たちの身体は血管を細くしたり拡張したりします。

そうすると血圧が急激に変動し、この変動に耐えることができずにヒートショックの症状を引き起こします。

1-2 .ヒートショックによる死亡率

東京都健康長寿医療センター研究所の報告によると、ヒートショックによる死亡者数は1万7000人にも及ぶとされます。

また厚生労働省の調査では、家庭内での溺死者数は11年間で約1.7倍も増加しているという結果が出ています。

現在では交通事故死亡者数をはるかに上回る数字となっており、大変多くの被害が出ていることが分かるでしょう。

出典:厚生労働省 人口動態統計

ヒートショックによる入浴関連死は、65歳以上が約8割を占め、中でも75歳以上の高齢者が多く、気温が低下する11月頃から2月までの時期に多発し、冬場はヒートショックの好発時期と言われています。

また、寒いことが直接的なヒートショックの原因ということではありません。

事故の発生件数県別ランキングでは、香川県、兵庫県、滋賀県がワースト3を占め、いずれも寒地ではありません。

寒地は屋内と屋外の寒暖差が大きく、日頃から急激な温度変化を防ぐための対応がとられていることが、被害数に影響していると考えられます。

1-3 .ヒートショックが起こりやすい状況とは?

1 -3-1.入浴時
ヒートショックの被害が特に多いのが、入浴時です。冬は、服を脱ぐ「脱衣所の寒さ」と「お風呂の熱さ」の急激な温度変化により、血圧が急変動し、症状を引き起こす可能性が高くなります。

1-3-2.トイレ
暖かいリビングとトイレとには、約6~10℃の温度差があると言われています。特に冬の早朝や夜中は冷え込みます。注意が必要です。

1-3-3.洗面所
洗面所も、脱衣所やトイレと同様、冷え切った状態が多いため、注意が必要です。

1-3-4.ゴミ出しなど短時間外に出るとき
ほんの少しの時間だからといって薄着で外へ出ると、ヒートショックを引き起こすことがあります。

1-3-5.起床時
起きてすぐ布団から出ると、急激な冷気にさらされるため、血液が一気に上昇し、症状を引き起こすことがあります。

1-3-6.サウナ
実はサウナも注意が必要。サウナに入った後に水風呂につかる人は多いですが、それはかなり危険な行為です。

1-4.ヒートショックが起こりやすい人は?

以下に当てはまる人は、注意が必要です。

  • 65歳以上(特に75歳以上)の方
  • 以下の病歴を持つ人

・心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、狭心症

  • 以下の持病を持つ人

・高血圧、糖尿病、不整脈

  • 以下の習慣がある人

・一番風呂に入る

・深夜に入浴する(午前0時以降の入浴は要注意)

・食事の後すぐに入浴する

・飲酒した直後に入浴する

・薬を飲んだ直後の入浴

・42℃以上の熱い湯に、長く浸かる

  • 住んでいる家が以下に当てはまる人

・脱衣所や浴室、トイレなどに暖房設備がない

・浴室がタイル張りで窓がある

・リビングと浴室やトイレが離れている

2.ヒートショックへの対策

ここからは、ヒートショックを引き起こさないための予防法と、万が一身近でヒートショックが起きた時の対処法について紹介していきます。

2-1.ヒートショックへの予防法

2-1-1.入浴時

・脱衣所や浴室は暖かくする

浴室や脱衣所を暖房で暖めておくことで、急激な温度変化を防ぎ、血圧の変動も抑えることができます。

暖房がない場合は、浴槽のふたを開けておくなどすると寒暖差が小さくなります。

脱衣所と湯温の差が10℃以上にならないように心がけましょう。

・湯温は41℃以下にする

浴槽の温度が高いと心臓に負担がかかります。

38~40℃程度のぬるめのお湯から入るようにしましょう。

熱いお湯を少しずつ足して、徐々に温度を上げていくようにしましょう。

・入浴時は、家族にひと声かける

入浴時は家族に声をかけ、特に高齢者に対しては、こまめに様子を見てあげるとよいでしょう。

・入浴前に血圧を測定する

特に高齢者の場合、血圧が高くて体調が悪くても気づきにくいため、入浴前に血圧を測ることをお勧めします。

・入浴前後に水分補給をする

入浴すると汗をかき、体内の水分が減るため、血液がドロドロになります。

血液の流れが悪いと血栓ができやすくなり、血圧が上昇すると脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなります。

入浴前後に水分補給をしましょう。

・体を湯温に慣らしてから入る

いきなり浴槽に入ると心臓への負担がかかります。かけ湯をし、お湯の温度に体を十分に慣らしてから湯船に浸かるようにしましょう。

かけ湯は、手や足から心臓に向けて順にすることで、心臓への負担を減らすことができます。

・長湯をしない

長湯は心臓への負担が大きいため控えるようにしましょう。

疲労感が増し、立ち上がった際に転倒する恐れがあります。

また、長湯により血圧が低下し、入浴後に急上昇するため症状が引きおこりやすくなります。

・ゆっくり立ち上がる

急に浴槽から立ち上がると、血圧は急激に低下します。立ちくらみを起こし、転倒のリスクが高まります。

・食後は1時間以内の入浴は控える

食後は消化器官に血流が集まるため、血圧が低くなります。

・飲酒直後の入浴は控える

飲酒をすると血圧が低下します。飲酒後の入浴は、血圧が低下する要因が二重に重なる非常に危険な状態です。

・浴槽にふたを置く

万が一ヒートショックを起こし気を失っても、お風呂のふたがあることで助かる可能性があります。

・入浴後も油断禁物

入浴し温まった体が、入浴後急に冷えて、その温度変化に耐えられず、数時間後にリビングで亡くなるというケースもあります。入浴後も急激な温度変化に十分気を付けましょう。

2-1-2.トイレ

・寝室はトイレの近くにする

夜中に寒い廊下を歩くだけでも、心臓に負担がかかります。

寝室はできるだけトイレの近くにするとよいでしょう。

・暖房機器を置く

トイレは寒い空間であるのが通常です。トイレに暖房を設置することをお勧めします。

・いきみすぎない

排便の際にいきみすぎると心臓への負担が大きくなります。排便直後は血圧が急激に低下し、血圧の変動により症状を起こすことがあります。便秘対策をすることも重要です。

2-1-3.外出時

・防寒対策

冬は特に、外出するときは、防寒対策をしっかりとしましょう。首回りは太い血管が通っているため、マフラーを巻いたり、タートルネックの洋服を着用したりすることをお勧めします。

2-1-4.起床時

・防寒着の準備

布団やベッドから手が届くところに、防寒着を用意しましょう。起床したら、すぐにはおれる状態にしておくとよいです。

・体を温めてから布団から出る

身体を温めるために、伸びをするなど、ストレッチをしてから、布団を出るようにしましょう。

2-2.もしもの時の対処法

ヒートショックには、軽度な症状から、重度の場合は命に関わる症状を引き起こすことがあります。

もし自分や家族、周囲の人がヒートショックを引き起こしてしまった時のために、状況に合わせた緊急時の対処法について説明します。

2-2-1.めまいや立ちくらみ (軽度)

めまいやふらつきが起きた時は、じっと動かず安静にしてください。

転倒の危険性もあるので、周囲の手すりにつかまるなど、体を支えられる態勢を取りましょう。

2-2-2胸の痛み、呼吸困難、嘔吐、意識障害 (重度)

心筋梗塞の可能性があるため、すぐに救急車を呼びましょう。

嘔吐している場合には、吐瀉物を取り除き、横向きに寝かせて気道を確保します。

また入浴中の事故は、第一に湯船から出すことが優先です。

万が一、人手が少なく担ぎ上げることが難しい場合には、浴槽の栓を抜いて水を減らし、お風呂のふたで上半身を支えるなどして沈まないようにします。

2-2-3.頭痛、激しい嘔吐、めまい、ふらつき、眠り込む、意識障害 (重度)

脳卒中の恐れがあります。

すぐに救急車を呼びましょう。

その際、意識がないからといって、無理に頭を揺さぶるのは禁物です。

また、吐瀉物がのどに詰まらないようにするために、横向けに安静に寝かせた態勢で救急車を待ちます。

心停止や呼吸がない場合には、救急車が来るまで心肺蘇生などの救急措置を行うことが望ましいです。

しかし、知識がないと正しい蘇生法を行うことは難しいため、各自講習会を受けるなど、いざという時のために救急蘇生法についての知識を持っておくとよいでしょう。

3.ヒートショック予報とは?

日本気象協会と東京ガスの2社が共同し、ヒートショック予報を10月~3月の間提供しています。

標準的な住宅内の温度差を天気予報から想定し、ヒートショックのリスクの目安を「警戒」「注意」「油断禁物」の3ランクに分けてお知らせしてくれます。

天気予報専門メディア「tenki.jp」で配信され、日本全国約1900地点の7日先までの予報を見ることができます。

日本気象協会公式ホームページの季節特集から、ヒートショック予報を確認できます。(https://tenki.jp/heatshock/

ヒートショック予報をチェックする習慣をつけ、意識を高め、日々対策をすることを心がけましょう。

4.まとめ

ヒートショックは誰にでも起こる可能性があり、また普段の何気ない行動が原因であることが多いです。

最悪の場合は、命を落とすことにつながる恐ろしい現象ですが、ヒートショックへの正しい知識と対策を知っておくことで、確実に防ぐことができます。

ぜひ今日から上記を意識し実行してみてください。

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