一般的に過呼吸は若い女性に多く見られる症状ですが、高齢者の男性・女性でも発症することがあり、呼吸の乱れだけではなくさまざまな症状が見られることもあるため、介護現場においても正しく迅速な対処が求められます。
とはいえ、高齢者にも発生する可能性や、発生する原因や対処法を紹介のある過呼吸について理解していないと、正しく対処することができないでしょう。
そこで本記事では、高齢者にも見られる過呼吸「過換気症候群」の概要や原因、未然に防ぐ方法、発生したときの対処法などについて詳しく解説します。
「過換気症候群」を未然に防ぐとともに、万が一発生したときに正しく対処するためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
高齢者にも見られる過呼吸とは?
高齢者が発生する過呼吸は、「過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)」と呼ばれる病気です。
「過換気症候群」では、以下のような症状が見られます。
- 呼吸困難
- 手足の指先や口のまわりのしびれ
- テタニー症状
- 頭痛
- めまい
- 動悸
- 胸部圧迫感
- 吐き気
- 失神
テタニー症状とは、手足の指が痙攣することを指し、両手指がこわばったり、顔が引きつったり、全身がしびれたりといった”てんかんの発作”に似た状態が見られます。
このように、「過換気症候群」では過呼吸だけでなく、さまざまな症状が見られるため、緊急を要する症状であることも珍しくありません。
(参照:一般社団法人日本内分泌学会「特発性副甲状腺機能低下症」/福祉社会法人恩師財団済生会「過換気症候群」)
高齢者に過呼吸が起こる原因
高齢者にも見られる過呼吸「過換気症候群」が起こる原因は、不安やストレス、緊張などの精神的なストレスによって、呼吸が乱れることです。
私たちが無意識に行っている呼吸では、酸素・二酸化炭素のバランス、血液中の酸・アルカリのバランスが保たれています。
しかし、呼吸が大きく乱れることによって血中の二酸化炭素の量が減ってしまい、体内がアルカリ性にバランスが崩れてしまうことが過呼吸の主な原因となります。
また、「過換気症候群」は男性よりも女性のほうが発生しやすいと言われており、発症する可能性は2倍ほどと言われています。
高齢者にも見られる過呼吸「過換気症候群」を未然に防ぐ方法
先ほどもお伝えしたとおり、「過換気症候群」は不安やストレス、緊張などが原因となることが多いため、日頃からストレス解消をすることが大切になります。
たとえば、好きなテレビを見たり、ウォーキングをしたりと、自分に合ったリラックス方法を見つけることがおすすめです。
特に介護施設に入居したばかりの高齢者は不安やストレス、緊張が大きくなることが多いため、リラックスできる環境を整えることが大切となります。
また、几帳面や心配性な性格を持っている方に発症しやすいため、普段からの関わりの中で高齢者の性格について知っておくことも非常に大切です。
(参照:近畿大学メディカルサポートセンター「過換気(過呼吸)症候群について」)
高齢者にも見られる過呼吸「過換気症候群」が起きたときの対処法
高齢者が「過換気症候群」を発症した場合、まずは息を整えることが大切です。
具体的には、「息を吸う:息を吐く」の割合を「1:2」にして、10秒かけてゆっくりと深呼吸を行います。
このとき、周囲に人がたくさんいたり、介護者の気が動転しているなどの状況になると、発症者本人の不安や心配をさらに加速させてしまう可能性があるため、周囲は冷静に対処することが大切です。
また、過呼吸の対処法として、ビニール袋や紙袋などを口に当てて血中の二酸化炭素濃度を高める「ペーパーバッグ法」という対処法が知られています。
しかし、二酸化炭素濃度が正常になる可能性が低いことや、逆に酸素不足になって窒息する恐れがあることなどから正しい対処法としては使用されていません。
(参照:近畿大学メディカルサポートセンター「過換気(過呼吸)症候群について」/JA愛知厚生連安城厚生病院「救急外来で見かける意外と多い過呼吸(過換気症候群)とは?」)
まとめ
本記事では、高齢者にも見られる過呼吸「過換気症候群」の概要や原因、未然に防ぐ方法、発生したときの対処法などについて詳しく解説します。
「過換気症候群」は高齢者でも発生する可能性のある過呼吸で、原因が不安やストレス、緊張などとなるため、介護施設に入居して時間が経っていないケースや、介護を通じて家族間でトラブルになっているケースなど、不安やストレス、緊張を強く感じる場面で発症しやすいです。
高齢者の過呼吸は重大なトラブルになるケースもあるため、正しく対処するとともに未然に防ぐようにリラックスできる環境づくりが大切になります。
ぜひ本記事を参考にして高齢者にも発生する恐れのある「過換気症候群」についてチェックしてみてください。