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【介護老人保健施設(老健)とは⁉】気になる役割や費用を徹底解説

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急に親の介護が必要になり、親には人生の最後として幸せになってほしい。

そのためにも今のうちに親孝行してあげたい。

老人保健施設は安全な施設なのか、親にぴったりの施設なのか。

そんなお悩みを持ってこの記事に訪れたあなたの疑問を解決します。

専門家監修のもと、入居先に迷っているあなたに向けて、介護老人保健施設の目的やサービスなどを詳しくご紹介します。

1.老人保健施設とは

ではここから老人保健施設の特徴、対象者、サービス内容、費用、設備、介護・医療体制を1つずつ丁寧に解説していきます。

1-1.老人保健施設は在宅介護を目指した施設

老人保健施設とは、原則的には、入院していた高齢者が「退院となったけれど、まだ家庭に戻るのは難しい」という場合に入所し、在宅復帰を目指すことを目的とした施設です。

病院から退院後、在宅復帰するための、病院と在宅との中間にあります。

もちろん、入所以外にも、自宅から施設に通ってサービスを受けるデイケアや短期間の間だけ施設に入所するショートステイも老人保健施設では利用することができます。

*近年では特養老人ホームの待機に老人保健施設を利用する方は減っています。

特養老人ホームは人気が高く、入所の順番待ちとして、一時的に老人保健施設に入所したり、老人保健施設から老人保健施設に転所される方もいらっしゃいます。

ただし、このような利用の仕方は、本来の老人保健施設の利用目的に反するものであり、利用を断られる場合も多くあります。

1-2.老人保健施設の対象者

老人保健施設の対象者は、要介護者1以上の認定を受けた方で、「症状が安定している」または「入院治療の必要がない」方です。

老人保健施設は医療法人による運営も多いため、入院先の病院から老人保健施設を紹介され、入所することが多いです。

老人保健施設の中では要介護者に特に偏りはありませんが、要介護3と要介護4の方が半分以上を占めています。

(出典:平成29年介護サービス施設・事業者調査の概況 要介護度別在所者数(構成割合)の年次推移(詳細票)

1-3.老人保健施設のサービス内容

老人保健施設でのサービス内容は主に、入所者に対するリハビリになります。

老人保健施設でのリハビリを通し、要介護者は在宅復帰を目指します。

リハビリの内容には、起き上がりやベッドから車椅子への移乗、歩行訓練、栄養士に管理された食事の提供などがあり、入所者1人1人に合わせたリハビリサービスを受けることができます。

通常、1回のリハビリにかかる時間は20分〜30分程で、入所者1人に対して、1週間に2回以上のリハビリを行います。

施設によってはリハビリの回数を増やすことも可能で、回数を増やしてもサービス費用が増加されることはありません、しかし、人員体制や人件費などの施設側の理由から要望に応えてもらえないケースもあります。

1-4.老人保健施設の部屋

老人保健施設は特養老人ホームの設備と同様、4つの部屋のタイプがあります。

■従来型個室

従来型個室は1人1部屋を利用することができるタイプになります。

従来型個室には共有スペースがなく、個室にお風呂やキッチンが配置されている完全な1人部屋の個室になるため、入所者のプライバシーや入所者の生活リズムも守られます。

従来型は施設内での踏み込んだ人間関係を築かない事が多いため、対人とのコミュニケーションをとることがが苦手な方に選ばれている個室になります。

完全な個室であるためその分、賃料は他の部屋タイプよりも高額になります。

■多床室

1室に対して複数のベットが用意され、3~4人の入所者と同じ部屋で生活をするタイプになります。

共同部屋となるため、従来型個室よりも1万円弱安くなるのも特徴の1つです。

できるだけ経済的負担を抑えて入所したいという方に、多床室は選ばれています。

■ユニット型個室

ユニット型個室は1人1部屋を利用することができるタイプの部屋のことを指します。

従来型個室との違いは共有スペースの有無にあります。

ユニット型個室にはだいたい10部屋に1つ、ロビー、ダイニング・簡易キッチン・浴室・トイレなどの他の入居者と触れ合うことのできる共有スペースがあります。

個室でプライバシーを保ちながらも、他の入居者とコミュニケーションを通じて、対人との関係を築きたいという方はこのユニット型個室を選んでいます。

■ユニット型個室的多床室

ユニット型個室的多床室はユニット型個室とほとんど同じ特徴をもっている部屋です。

異なる点は、多床室を改装し、分割して作られた個室であるという点です。

1つの部屋をパーテーションで区切ることで個室としています。

しかし、パーテションで部屋ごとが仕切られているものの、完全にプライベートが守られている個室ではない施設もなかにはあります。入所前に必ず下見をし、確認することが大切です。

1-5.老人保健施設の費用

老人保健施設にかかる部屋タイプごとの費用を以下にまとめました。従来型個室、多床室、ユニット型個室、ユニット型個室的多床室それぞれの【従来型老健】と【在宅強化型老健】は費用が異なります。

*【従来型老健】とは、在宅復帰率、ベッド回転率、要介護者の利用割合が【在宅強化型老健】より低い老健保健施設です。

* 下記は、一例であり、施設によって異なります。

■従来型個室【従来型老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 4万9,200円(1,640円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万940円

(698円/日)

2万2,290円

(743円/日)

2万4,120円

(804円/日)

2万5,680円

(856円/日)

2万7,210円

(907円/日)

合計 11万1,540円 11万2,890円 11万4,720円 11万6,280円 11万7,810円

 

■従来型個室【在宅強化型老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 4万9,200円(1,640円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万2,170円

(739円/日)

2万4,300円

(810円/日)

2万6,160円

(872円/日)

2万7,840円

(928円/日)

2万9,490円

(983円/日)

合計 11万2,770円 11万4,900円 11万6,760円 11万8,440円 12万90円

 

■多床室【従来型老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 1万1,100円(370円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万3,130円

(771円/日)

2万4,570円

(819円/日)

2万6,400円

(880円/日)

2万7,930円

(931円/日)

2万9,520円

(984円/日)

合計 7万5,630円 7万7,070円 7万8,900円 8万430円 8万2,020円

 

■多床室【在宅強化型老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 1万1,100円(370円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万4,540円

(818円/日)

2万6,760円

(892円/日)

2万8,620円

(954円/日)

3万300円

(1,010円/日)

3万1,950円

(1,065円/日)

合計 7万7,040円 7万9,260円 8万1,120円 8万2,800円 8万4,450円

 

■ユニット型個室【従来型老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 5万9,100円(1,970円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万3,310円

(777円/日)

2万4,660円

(822円/日)

2万6,520円

(884円/日)

2万8,110円

(937円/日)

2万9,640円

(988円/日)

合計 12万3,810円 12万5,160円 12万7,020円 12万8,610円 13万140円

 

■ユニット型個室【在宅強化老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 5万9,100円(1,970円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万4,860円

(822円/日)

2万6,880円

(896円/日)

2万8,740円

(958円/日)

3万420円

(1,014円/日)

3万2,070円

(1,069円/日)

合計 12万3,810円 12万5,160円 12万7,020円 13万920円 13万2,570円

 

■ユニット型個室的多床室【従来型老健】

内訳 月額(30日計算)
居住費 4万9,200円(1,640円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万3,310円

(777円/日)

2万4,660円

(822円/日)

2万6,520円

(884円/日)

2万8,110円

(937円/日)

2万9,640円

(988円/日)

合計 11万3,910円 11万5,260円 11万7,120円 11万8,710円 12万240円

 

■ユニット型個室的多床室【在宅強化型老健】

内訳 月額(30日計算)
賃料 4万9,200円(1,640円/日)
食費 4万1,400円(1,380円/日)
介護保険1割負担額 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
2万4,660円

(822円/日)

2万6,880円

(896円/日)

2万8,740円

(958円/日)

3万420円

(1,014円/日)

3万2,070円

(1,069円/日)

合計 11万5,260円 11万7,480円 11万9,340円 12万1,020円 12万2,670円

(出典:『医療系介護報酬改定早見表』(全国保険医団体連合会)2019年9月6日時点)

*自己負担割合1割、1単位=10円の場合。

*介護保険の負担額は、自己負担割合によって異なります。

老人保健施設では特養老人ホームと同様、入居一時金はかかりません。

初期費用なしで入所することができます。

1-6.老人保健施設の介護・医療体制

老人保健施設の人員配置の決まりは以下の通りです。

職種 人員配置 役割
医師 常勤で入居者100人に対して1人以上 入居者の医学的管理
看護師、介護職員 看護・介護職員合わして「入居者3人に対して1人以上」看護職員人数は、

看護・介護職員総数の7分の2程度を、

介護職員人数は7分の5程度を基準とする

看護職員は医療行為などを担当、身体介護、生活援助などは

状況に応じて看護・介護職員が担当する

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 入所者100人に対して1人以上 入居者に寄り添ったリハビリを実施
介護支援專門員 1人以上 入居者の介護計画を立てる
栄養士 入所者100人以上の場合は1人以上 献立の作成、栄養のバランスの取れた食事の提供
支援相談員 1人以上 入居者の施設・生活に関する相談
薬剤師 施設の実情に応じた適当数 入居者への薬の管理

(参考:厚生労働省 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準より)

以上の表をみてもわかるように、老人保健施設には理学療法士、作業療法士、栄養士など豊富なリハビリ専門スタッフがいます。

入居者1人1人にあったリハビリサービスを老人保健施設では利用することができます。

2.老人保健施設のメリット・デメリット

1章で老人保健施設の特徴を解説した所で、この章からはメリット・デメリットを解説していきます。

メリットとデメリットをまとめた表は以下のとおりです。

メリット デメリット
豊富なリハビリスタッフがいる 一部の診療科や項目を除いて、医療保険が適用されないため、その場合、医療費は施設側もしくは利用者が実費負担する必要がある。
施設費用が民間の介護施設に比べると安い
医療ケアを受けることができる

1つずつ詳しく解説していきます。

2-1.老人保健施設のメリット

■豊富なリハビリスタッフがいる

老人保健施設は病院から退院後、在宅復帰をするために日常生活を1人でも過ごすことができるように、生活機能能力を高めるための施設です。

サービス内容はリハビリが中心となるため、豊富なリハビリスタッフがいることが大きな特徴です。

運動能力の回復を支援する理学療法士、食事、入浴など日常的な生活能力を向上を支援する作業療法士、栄養のある食事を提供する栄養士など豊富な専門員が老人保健施設にはいます。

この専門員のもと充実したリハビリケアをうけることができます。

■施設費用が民間の介護施設に比べると安い

施設費用が有料老人ホーム等の民間の介護施設に比べると一般的に安いことも大きなメリットです。

相場は民間の介護施設で10万円〜40万円程ですが、老人保健施設の相場は6〜17万円程です。

また、民間の介護施設でかかる入居一時金が老人保健施設ではかかりません。

初期費用がかからず、月々の費用も民間の介護施設よりも安いため、病院から退院後、リハビリの必要がある場合は民間の介護施設ではなくまずは老人保健施設を検討するのが一般的です。

■医療ケアを受けることができる

1-6の老人保健施設の介護・医療体制でも解説したとおり、老人保健施設には医師が常勤で配置されています。

また、看護師には夜勤の義務があります

そのため、入所者に万が一のことがあった場合、素早い対応をすることが可能です。

対して、特養老人ホームの場合は医師は非常勤の施設もあり、看護師に対しても夜勤の義務がなく医療ケアが十分とは言えません。

2-2.老人保健施設のデメリット

では次に老人保健施設のデメリットを解説していきます。

■医療保険が適用されない

結論から言うと、老人保健施設に入所している方は、診療科や項目によっては、医療保険が適用されません。日常的な医療に関しては、老人保健施設内で受けることが前提となっており、その分は包括して介護保険で賄われることとなっているからです。つまり、施設側に支払う介護報酬に日常的な医療費は含まれる形となります。

そのため、医療依存度が高く、日常的な医療にかかる費用が高額になってくると、施設側は赤字になってしまいます。そのため、医療依存度が高い場合には入所を断られることもあります。

また老人保健施設入所中に他の医療機関を受診した場合に、医療保険適用とならない項目については、施設側もしくは利用者が負担する必要が出てきます。施設によって、その負担の仕方は違いますので、保険適用外の医療費の負担について、入所前に確認をしておきましょう。

3.老人保健施設を選ぶ時の2つのポイント

ではここから老人保健施設に入所したいと考えた時に役に立つ、「老人保健施設を選ぶ2つのポイント」を解説していきます。

・要介護者と入所・見学に行き、施設の様子を確かめる

・どのくらいの期間、入所できるのか

この2つのポイントを参考に、老人保健施設を選んでみてください。

では1つ1つ解説していきます。

3-1.入居する本人と見学に行き、施設の様子を確かめる

1つ目のポイントが「要介護者と入所・見学に行き、施設の様子を確かめる」ことです。

これは介護施設を選ぶ際に共通して大事なことです。

実際に入所する本人の状態によっては難しいことも多いですが、出来れば本人と一緒に施設の見学に行き、雰囲気や様子を目で確かめる事が大切です。

確かめたいチェックリストは以下の7つです。

①施設長・スタッフと話してみる

②周辺の環境や交通手段に不都合がないか確認

③ご飯を試食する

④部屋、共有スペースを確認

⑤併設事業所・病院との関係、サービス内容を確認

⑥本人の外出や外泊、家族との面会は自由に行われているか確認

⑦施設内で看取りが行われているか確認

老人保健施設の場合は特にリハビリが中心の施設であるため、リハビリの内容を見学で確かめるようにしましょう。

また、施設選びで大事なことは評判の良い施設よりも要介護者本人に合う施設かどうかです。

実際に入居する本人と見学に行き、または体験入所をしてみて、本人に合うかどうかを確かめるようにしましょう。

https://carers-navi.com/visit

3-2.どのくらいの期間入所できるのか

2つ目のポイントが「どのくらいの期間入所することができるのか」です。

前述した通り、老人保健施設の入所期間は一般的にはリハビリの期間となる3ヶ月ですが、施設によっては半年〜1年間の入所ができる所もあります。

前述したとおり、老人保健施設は在宅復帰を目指す施設ですが、3か月で必ず在宅復帰ができる状態になるとは限りません。その際に、次に入所できる施設を探す必要がでてきますが、そのまま延長して在所できるようれあれば、それに越したことはありません。入所を検討している施設の平均的な入所期間はどのくらいなのか、最長でどのくらいまで入所することができるのか、あらかじめ職員に聞いておくようにしましょう。

4.老人保健施設に入所する手続き6つのステップ

1.介護認定を受ける

2.入所申込

3.面談

4.書類提出

5.入所判定

6.契約・入所

老人保健施設に入所する流れは下記の通りです。入所申し込みをしたら必ず入所できるとは限らず、また申し込みから入所判定が出るまでに数週間かかることもあります。早めに手続きの準備をしておきましょう。

4-1.介護認定を受ける

老人保健施設の入所には、要介護1以上の介護認定が必要です。要介護者または、その家族が市町村窓口で申請を行ないます。後日、市町村担当課の訪問調査が行われ、介護認定審査会を通して要介護度が判定されます。

https://carers-navi.com/shinsei

4-2.入所申込をする

まずは、医療ソーシャルワーカーやケアマネージャーに相談しましょう。その後、施設に直接入所を申し込みます。施設の見学を必ずしましょう。

4-3.面談を行う

施設の相談員が本人、家族との面談を行います。現在の身体状況や生活の様子、必要な医療ケアなどを確認します。

4-4.書類提出をする

施設利用申込書や心身状況調査書、診療情報提供書又は健康診断書などが必要となります。

4-5.入所判定を受ける

面談内容や書類を元に入所判定が行われます。

4-6.契約を結び入所する

施設の通知がきたら入所契約を行い、具体的な入所日を決定します。

5.まとめ

老人保健施設とは、リハビリを通して在宅復帰を目指す施設です。

・豊富なリハビリスタッフがいる

・施設費用が民間の介護施設に比べると安い

・医療ケアを受けることができる

以上がメリットとしてあげられる一方、医療保険が一部適用されないというデメリットもあります。

費用や特徴を確認し、要介護者本人に合った施設を選びましょう。

老人保健施設が退院後の第一ステップとなり、本人の充実した生活に繋がることを期待しています。

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