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~介護の現場より~ いつまでも元気に!生涯現役でいきましょう! 『健朗シニア!KAIGOの匠Story』(訪問介護ヘルパー岡田さん編)

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「介護の最前線がわかる!読んでおきたいコラム記事」

第五回目の今回は、全国のソラストグループの各施設で活躍する『健朗シニア!KAIGOの匠Story』をお届けしたいと思います。今回は、『えひめKAIGOの匠』の誕生のきっかけとなったベストケア株式会社の愛媛県山越エリアで、訪問介護ヘルパーとして活躍中の岡田さんの『介護の時間』をご紹介していきます。

<迷っていた運転免許の更新手続き>

先日、運転免許の更新の案内がきて。ふと気がついたら、もう80歳が見えてきている年になっていて、時には、自分より年下のご利用者さんもいらっしゃる。いつまで仕事を続けられるかわからないし、運転免許の更新なんて必要あるのだろうか。認知症テストも自信ないし、更新しようかどうか、迷っていたんです。

そんな時、40代後半の新しいスタッフの方が入社されました。その方が慣れるまで、同行してサポートをする役割を任せてもらったんですが、その時に、その方のテキパキとした仕事ぶりに触れて、「私はあんな風にテキパキと動けないなぁ。」と若い人のペースについていけない自分に気づいてしまって。訪問介護の仕事は、それぞれサービス時間が決まっています。その限られた時間のなかで、お掃除やお料理、ベッドから車椅子への移動介助などを行うんですが、自分のこんな遅いテンポでは、ご利用者さんに申し訳がないと感じてしまったんです。だって、もっとテンポがよければ、もう一つサービスが行えるかもしれないですから。

ある時、そんな気持ちをご利用者さんにお話ししました。

『私も、もう年やけん、何をするにもテンポが遅くて、若い人のようには動けんけん。●●さんにも申し訳ないと思っとんよ。だから、運転免許の更新もしようかどうか迷っとんよ。』

『私は、あなたのそのテンポに慣れとんよ。あなたのテンポが心地ええんよ。年齢が近いから、話も合うし、いろんな話も聞いてくれるけん、あなたがええんよ。ほやけん、運転免許の更新もしてほしいんよ。免許が更新されたら、私もまた一緒に頑張れるけん。』

そう言ってくださって。その言葉が本当に嬉しくて、大きな勇気をもらって、運転免許の更新をすることにしました。そのご利用者さんのおかげで認知症のテストも緊張せずに受けることができ、無事に更新することができました。

 

<介護の仕事に就くきっかけは?>

私は、主人と結婚して以来、ずっと専業主婦をしてきました。50代の後半だったと思うのですが、友人に障害を持たれた方へのボランティアに誘われて、一緒に参加をしました。その経験をきっかけに、私にも人の役に立つことができるんだなってことを実感できたんです。それで「誰かの手助けが必要になった人のお手伝いがしたい。」そう思ったんです。もうすぐ60歳になるけど、そんな仕事はあるのかなぁと探していた時、ベストケアの「訪問介護ヘルパー講座」のチラシを見つけて、参加したのがきっかけでした。今から20年前のことです。

約1か月間の座学講習および実習を経て、無事にヘルパー2級(当時)の資格を取得。その当時の部門長から、私たちと一緒に働きませんか。とお声をかけていただいて、訪問介護ヘルパーとして、ベストケアに入社しました。私は当時から物覚えがいい方ではなく、要領を得るまでにとても時間がかかってしまったのですが、当時、特に、ご利用者さんをベットからポータブルトイレに移乗させるのが苦手だったんです。そのことを部門長に相談すると、ベストケアは「介護リハビリ」に注力したデイサービスを中心に展開している会社ですので『じゃあ、デイサービスの理学療法士に教えてもらいに行こう。』と言ってくださり、理学療法士の職員さんから私が習得するまでイチから何回も根気強く丁寧に、教えていただく機会をいただきました。

入社当時から20年間、部門長をはじめ、皆さんには、本当に大事にしていただいて、どんなに些細なことでも困った時には、いつでも助けてくれて。だから今の自分があります。心からそう思っています。

 

<訪問介護の仕事は、ご利用者とひとつにならないとダメ>

ご利用者のAさんとお会いしたのは2年半ほど前のことだったと思います。Aさんは、ご主人とおふたりで暮らされています。ある時、腎臓を悪くされ、人工透析治療が必要になられました。訪問介護としてお伺いした当時、長時間の透析を終えてご自宅に戻られた後は、ベッドから起き上がることができないほど、体力を奪われていらっしゃる状態だったのを覚えています。健康な時の奥さまは、お料理が得意で、ご主人はそんな奥さまが台所に立って調理してる姿が、とても楽しそうで、好きだったそうです。

もしも、もう一度奥さまが、台所に立って、お料理ができたら、どんなに素敵なことか。。いつもそんな風に思いながら、週に3回訪問し、お料理やお掃除を行ってきました。お料理を作る時は、Aさんのお宅にある材料を使って調理します。ある日、Aさんのご体調がよさそうだったので、調理の最後に味見をしてもらいたいとお願いをしました。

『この料理の味を見てくれますか。』

『岡田さんはお料理は上手やけん、味見なんかせんでも大丈夫よ。』

『ご主人は、Aさんの味を食べたいんやけんちょっと食べてみて、味、教えてくれませんか。』

・・そんなお話をしたのを覚えています。それからAさんの体力も少しづつ戻ってきて、ベッドから台所のテーブルまできて、『やっぱり料理をしよると楽しいね。』と言って、一緒に餃子をまいたり、野菜を切ったりしてくれるようになりました。

Aさんの場合、1回の訪問時間は70分間ですが、例えば、煮物を作ろうとすると、人参でもジャガイモでも柔らかくなるまで時間がかかります。だから私がお伺いする日には、ご主人が訪問前に、お湯を通してくれているんです。『まさかもう一度、妻の料理を食べられるなんて。』っておっしゃって。

そして2年半たった今では、Aさんは台所に立って調理ができるまでに快復されました。『これも、リハビリやけん。』と楽しそうにしているAさんの横には、いつもご主人が立って支えてくださりながら、お二人で調理をしてくださっています。私が帰るときには、玄関まで送ってくれるんです。

だから私の方がいつも、優しい気持ちになって、癒されて、大きなパワーをもらっているんですよ。

本当に、感謝しかありません。

訪問介護の仕事は、他人の家にはいる仕事です。ご利用者さんからすれば、自分の生活を全部見られてしまうことであり、ご利用者さんの「暮らし=生きること」そのもののなかに、はいることだと思っています。だからこそ、自分の思うように仕事を進めるのではなくて、『その時間はご利用者さんと心を合わせて、気持ちをひとつにして、楽しんで過ごそう。』いつもそう思って仕事をするように、心がけています。

そして気持ちをひとつにするために、自分の意見は絶対に言わないようにしています。ご利用者さんのお話に耳を傾け、お気持ちを受け止める。そうするようにしています。

 

<誰かの役に立って、癒しをもらって、お金をもらえる。>

私の場合、ご利用者さんの方が年下であることも珍しいことではない年齢ですし、子供も独立しているので、主人と2人、年金があれば生活することもできます。でも、仕事をさせていただいているおかげで、冠婚葬祭など急な出費があっても心配することなく、気持ちに少し余裕を持っていられる。そのうえ、自分で働いて稼いだお金を自分の好きなように使うという「本当の自由」を感じています。

 

なによりも、この年になっても、だれかの役に立っている自分を感じ、感謝し感謝をされて、癒しをもらって帰ってくる。そして仕事に行くことそのことが自分自身の健康管理につながっている。そんな訪問介護の仕事を、ずっと元気で、一日でも長く、できたらいいなと願っています。

☟☟

▷情報提供企業:ベストケア株式会社

▷企業サイトhttps://best-care-job.net/jobfind-pc/

▷タイトル『健朗シニア』について:毎年、リクルートグループ各社より発表される「トレンド予測」において、

2020年の雇用領域(シニア)では、『「健康」で「朗らかな」シニアが増えていく兆し』との発表がありました。

詳細は下記よりご覧いただけます ↓↓ (※ベストケア株式会社の事例も掲載されています)

Ø  https://www.recruitjobs.co.jp/press/docs/20200120_01_01.pdf

今回の『匠』のお話から、「介護」は、決して特別なことではなく、人が暮らしていくなかで、少しだけ誰かの手助けを必要としている時間なんだということ。そしてそれは手助けをしている人にとっても同じ人生の”ひととき“であることを感じました。そこで紡ぎだされる時間は、たくさんのありがとうと優しい気持ちが詰まった、人と人の本来のつながりから生まれる温かいものでした。そしてなによりも、80歳を迎えようとしている今もなお、ビジネスパーソンとして第一線で活躍されている匠の素敵な生き方に、心が温かく動かされていきました。

次回の『健朗シニア!KAIGOの匠Story』も、どうぞお楽しみに。

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