「言語障害って何?」
「失語症の治療方法はある?」
「言語障害が見られる家族とのコミュニケーションはどうすればいい? 」
そういった悩みを抱えていませんか?
言語障害は可視化しづらく、本人も周囲の人も悩んでしまうことが多くあるでしょう。
この記事では、言語障害やその種類、対処法、リハビリなどを解説します。
1.言語障害とは?
言語障害とは、言葉の理解から発声までの過程に障害があることで、コミュニケーションが困難になることです。
言語障害は大きく分けて2つあり、「失語症」と「構音障害」に分けられます。
1-1.言語障害の原因
原因は病気や外傷によるもの、心因性のものまで幅広いです。
脳卒中や認知症が原因となることもあります。
2.失語症とは(言葉がでない)
失語症とは、言葉を上手く扱えなかったり、言葉がでないといった症状を指します。
大脳には、「言語領域」と呼ばれる言葉を受け持っている部分があります。
その部分が何らかの原因で傷つくと、「聞いて理解する」「話す」「読む」「書く」機能のいずれか、または全てが失われます。
2-1. 失語症の特徴
失語症は、「相手の言葉が理解できない」や「相手が理解できるように伝えられない」など「聴く」「話す」「読む」「書く」という言語機能に障害がでている状態です。
2-2. 失語症の種類
2-2-1. ブローカー失語症(運動性失語)
ブローカー失語症とは、会話や文章の意味は理解できても、上手く話すことができず、ぎこちない話し方になってしまうことをいいます。
運動性失語とも呼ばれます。
2-2-2. ウェルニッケ失語症(感覚性失語)
ウェルニッケ失語症とは、話し方は流暢であるものの、言い間違いが多く見られるものを指します。
聞いて理解することも困難な場合が多いです。
2-2-3. 健忘失語
健忘失語とは、聞いて理解することはできるものの、単語やものの名前が出てこないために、話し方が回りくどくなるものを指します。
2-2-4. 全失語
全失語とは、「話す」「聞いて理解する」「読む」「書く」の全てに重度の障害が見られるものを指します。
失語症の中でもっとも重度の症状です。
2-3. 失語症のリハビリ
失語症のリハビリは、患者に適切な刺激(言葉を聞く、文字を見るなど)を与え、何らかの反応(うなずく、首を横に振る、文字を指さすなど)を引き出すような形で進めます。
残された言語機能の活用は、「刺激を与える」「反応を引き出す」という練習を繰り返しながら、より効率のよいコミュニケーションの方法を患者が身につけるように指導します。
3.構音障害とは(ろれつがまわらない)
構音障害とは、発声や発音が上手くできなくなる状態を指します。
一般に、話すという動作は、言語中枢からの指令で口や舌などの発声に、構音器官の正常な運動で行われます。
ですが、構音障害になると唇や声帯など発声・発語器官の麻痺や失調により、ろれつが回らない状態になります。
3-1. 構音障害の特徴
構音障害は、主に脳血管疾患や脳の怪我により起こる障害です。
発音が不明瞭になったり、ろれつが回らなくなったりします。
3-2. 構音障害の種類
3-2-1. 弛緩性構音障害
弛緩性構音障害とは、舌を上手く動かすことができないため、声を相手に伝えることが困難になる障害です。
これは、大脳や脳幹にダメージを受けた時に現れる後遺症として現れる場合もあります。
3-2-2. 失調性構音障害
失調性構音障害とは、発声のリズムが不規則になったり、繰り返す音が言えなかったりします。
声の大きさが変化してしまうために、聞き取りづらくなることも多いです。
3-3. 構音障害の検査方法
構音障害を確認するにはには、標準ディサースリア検査を行います。
標準ディサースリア検査では、構音や発話の明瞭度をチェックすることができます。
3-4. 構音障害のリハビリ
3-4-1. 発声発語練習
発声をしやすくするために口の体操をしたり、発声・発語の練習を行います。
3-4-2. コミュニケーション訓練
構音障害の症状は人によって様々です。
ですから、リハビリも症状に合わせて行います。
具体例としては、書字やコミュニケーションボード、手話などが挙げられます。
4.家族や身近な人が心がけると良いこと
4-1. 寄り添い、共感する
本人は「言葉が伝わらない」「聞いても理解できない」と苦しんでいます。
家族や身近な人に共感してもらえることは心の支えになるでしょう。
4-2. 「はい」「いいえ」で答えられる質問をする
「はい」「いいえ」で答えられる質問は答えやすいです。
患者さんの言いたいことを推測して、答えを書いて示し、選んでもらうこともおすすめです。
4-3. 絵カードを作る
絵カードを作ることもいいでしょう。
絵カードを作ることで、本人が望むことやものを言葉にしなくて良いため、本人の負担軽減に繋がります。
4-4. 言語以外でコミュニケーションを取る
人がコミュニケーションで情報を得るとき、93%を非言語の情報から得ています。
例えばジェスチャーや視線、表情、口調などです。
ですから、言語を使わなくてもできるだけコミュニケーションが取れるように工夫してみると良いでしょう。
4-5. 専門家(言語聴覚士)に相談する
言語障害の専門家を言語聴覚士と言います。
特にリハビリは専門職に相談し、経過の確認をしてもらいましょう。
専門家にアドバイスをもらうことで、本人や本人を支える周囲の人の支えになることも多くあるでしょう。
5.まとめ
言語障害には失語症や構音障害があります。
これらには誤解も多く、必ずしもリハビリが上手く行っているとは言えません。
本人の気持ちに寄り添い、本人にできるコミュニケーションの手段をゆっくり確立して行きましょう。
専門家に相談することもおすすめです。