高齢者が賃貸を借りることは一般的に難しいと言われていますが、終身建物賃貸借制度を利用することで問題なく借りられるようになります。
本記事では、終身建物賃貸借制度の特徴やメリット・注意点などについて詳しく解説します。
目次
終身建物賃貸借とは?
終身建物賃貸借とは、簡単にいうと賃貸を契約している高齢の借主が死亡したときに賃貸の権利を相続せずに契約を終了することを前提とした住宅賃貸の仕組みです。
終身建物賃貸借制度については、国土交通省の「終身建物賃貸借標準契約書」によって定められています。
現代の日本は超高齢社会と言われるほど高齢者の割合が高くなっており、高齢者の一人暮らしや高齢者夫婦だけで生活することも珍しくはない状況となっています。
その一方で、高齢者と賃貸契約をすることは賃貸業者や賃貸保証会社からするとリスクが高くなってしまうため、どうしても高齢者は賃貸契約しにくい現状があります。
しかし、終身建物賃貸借制度を使用することで高齢者であっても賃貸住宅に安心して住むことができるようになるのです。
終身建物賃貸借の特徴
終身建物賃貸借の特徴は以下の通りです。
- 入居者が60歳以上
- バリアフリー設計の住宅
- 入居者が死亡した後の継続入居も可能
- 事業者から一方的に解約されるケースが少ない
それぞれの特徴について、以下で詳しく解説します。
1.入居者が60歳以上
終身建物賃貸借制度を利用する場合、賃貸契約を結ぶ入居者本人が60歳以上であることとともに、同居者や配偶者についても60歳以上の親族であることが条件となっています。
つまり、親族であっても60歳未満の方が同居することは許可されていません。
2.バリアフリー設計の住宅
終身建物賃貸借は、一定以上のバリアフリー設計が備え付けられていることが条件となっています。
そのため、段差が少ない設計であったり、浴室や玄関に手すりがついているなど、高齢者でも生活しやすいような設計がされている住宅に入居することができるのです。
3.入居者が死亡した後の継続入居も可能
先ほどもお伝えした通り、終身建物賃貸は60歳以上の入居者が死亡するまで賃貸できますが、入居者が死亡した後でも同居人が60歳以上の親族もしくは配偶者である場合、死亡後1ヶ月以内に事業者に申請することで継続して入居することが可能です。
4.事業者から一方的に解約されるケースが少ない
終身建物賃貸借制度は、60歳以上の入居者が死亡するまで入居し続けることが基本となるため、事業者から一方的に解約されるケースは少ないです。
事業者から解約できるケースは、以下のような条件を満たしたときに限定されます。
- 住宅の老朽化、損傷などが激しく維持できない場合
- 入居者が長期にわたって居住することが見込めない場合
- 入居者の義務違反や年齢偽りなどの不正行為があった場合
- 公序良俗に反する行為があった場合
このように、終身建物賃貸借制度は事業者から解約されるケースはかなり限定されています。
しかし、入居者が長期的に入院して回復が長期間見込めない場合などに入居者と事業者の双方の合意のもと解約されるケースは多いと言えるでしょう。
終身建物賃貸借制度のメリット
終身建物賃貸借制度のメリットは以下の通りです。
- 住居の心配が必要なくなる
- 更新料がかからない
それぞれのメリットについて、以下で詳しく解説します。
1.住居の心配が必要なくなる
終身建物賃貸借制度の最大のメリットとも言えるのが、60歳以上の高齢者であっても住居による不安がなくなることです。
一般的に高齢者は賃貸契約しにくいと言われており、長期的に入居できる賃貸を探すのは一苦労です。
しかし、終身建物賃貸借制度であればバリアフリー設計された賃貸に死亡するまで住み続けることができるため、住居に関する不安は解消されます。
2.更新料がかからない
一般的な賃貸は契約期間満了時に契約更新料として家賃1ヶ月分ほどの費用が発生することが一般的ですが、終身建物賃貸借制度は入居者が死亡まで契約することが前提であるため、契約更新料が発生しません。
そのため、賃貸にかかる費用を削減することができるのです。
終身建物賃貸借制度を利用するときの注意点
終身建物賃貸借契約できる事業者は、あらかじめ都道府県から認可を得た事業者のみとなるため、利用できる物件が限られることが注意点として挙げられます。
お住まいの地域によっては身近に終身建物賃貸借制度を利用できる物件がない場合もあるため注意しましょう。
まとめ
本記事では、終身建物賃貸借制度の特徴やメリット・注意点などについて詳しく解説しました。
高齢者は居住に関する不安や悩みを抱えやすいですが、終身建物賃貸借制度を利用することで解消することができます。
ぜひ本記事を参考にして終身建物賃貸借制度についてチェックしてみてください。