折り紙は認知症の予防になる?
なぜ介護施設で折り紙を折るの?
介護施設のレクリエーションではよく折り紙が取り入れられています。
一体なぜ折り紙が行われるのでしょうか?
この記事では、認知症と折り紙の関係について解説します。
目次
1.そもそも認知症とは
認知症とは、厚労省によると「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」のことを指します。
つまり、「認知症」は様々な病気により脳の働きが低下して起こる一連の症状を表すため、病名ではありません。
認知症の原因になる病気は様々で、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍などがあります。
2.折り紙は認知症予防になる??
折り紙は、回想法の1つとして、認知症予防に効果があると考えられています。
回想法とは、自分の過去を話したり体験することで精神を安定させ、認知機能の改善も期待できる心理療法です。
昔を思い出すことで、記憶障害の予防になるだけでなく、症状が現れた場合不安の軽減や、うつ感の改善にも繋がります。
また、人生の再体験によって、過去を思い出しこれまでの経験を思い出すきっかけにもなります。
回想法は、1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏によって開発されました。
現在では、日本でも認知症の非薬物療法として、利用されることが増えています。
3.折り紙がもたらす脳への効果
折り紙は、角を合わせて折ったり、形を変えていったり細かな手先の動きが必要なため、脳や運動神経へ広範囲に刺激が行きわたります。
特に、空間把握能力が活性化し、前頭葉への刺激に効果的だと考えられています。
創り上げるまでの集中力や創り上げた時の達成感など、普段の生活ではなかなか感じられない刺激も得られます。
折り紙を折る際は、簡単なものから徐々に難易度を上げていくように注意しましょう。
4.折り紙を用いた回想法の注意点
4-1.準備をしっかり行う
回想法を行う場合は、事前の準備が欠かせません。
一人一人に触れてほしくない過去やテーマがあります。
事前に把握をして、嫌な思いをさせてしまわないよう注意しましょう。
4-2.参加を強制しない
折り紙が好きな方もいれば、あまり参加したくないと思っている方もいるでしょう。
思い出したくない過去を抱えている場合もあります。
あくまでも本人の意思を尊重する姿勢を心がけましょう。
4-3.否定をしない
会話の中で同意できなかったり、事実と異なっていたとしても否定してはいけません。
たとえ否定でなくても、「でも」「だけど」などの否定語の使用も避けましょう。
4-4.他言しない
回想法で話す内容は、他言しないようにしましょう。
プライバシーにかかわる内容のため、その場限りというルールを決めておくとよいです。
また、内容を職員内で共有する場合は事前に参加者へ伝えましょう。
5.折り紙以外の認知症予防
5-1.糖尿病と高血圧になるような食事を避ける
糖尿病はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症引き起こします。
また高血圧による動脈硬化は脳血管性認知症のリスクを高めます。
食事の内容を炭水化物中心から低糖質、低塩分にするとよいでしょう。
様々な栄養素を含む食品をバランスよく摂りましょう。
少しずつ、食生活の習慣を見直して行くことをおすすめします。
また、ご自身で料理をすることで認知症予防の効果があると分かっています。
出典:国立国際医療センター
5-2.バランスよく食事をとる
バランスよく食事をとることも大切です。
赤ワインやココナッツオイルなど、認知症予防に有効だといわれる食品があります。
このような情報を定期的に収集することは大切ですが、過度に取りすぎてはいけません。
情報のリソースをしっかりと確認する必要があります。
一汁三菜を意識して旬な食材を食べましょう。
5-3. 居場所を見つけること
他者との社会的交流で、他の人に対して気を使ったり、頭を使うことが神経細胞ネットワークを強化できると考えられます。
自分の居場所となるコミュニティや趣味を見つけましょう。
また、家族が親の趣味や交友関係を把握しておくことは、居場所を見つけるためにも大変重要です。
5-4.話をすること
コミュニケーションを取るようにしましょう。
脳は怠け者で、使わない機能は衰えていきます。
身近に話し相手がいない場合は、一日に10分程度で良いので、テレビ電話などで家族と話しましょう。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?
折り紙は、回想法の1つとして、認知症予防に効果があると考えられています。
折り紙が1枚あれば在宅介護でも簡単に行うことができます。
この機会に折り紙を使った認知症予防に取り組んでみてはいかがでしょうか?