「高齢者は肺炎になりやすい?」
「高齢者の肺炎の治療法は?」
「肺炎の予防策はある?」
そういった疑問を抱えていませんか?
肺炎は、早い段階で発見できれば治療ができます。
しかし、高齢者の場合は発見が遅れ、治療が手遅れになってしまうことも多いです。
実際、総務省の人口動態調査(2016年)によれば、肺炎は65歳以上80歳未満の方の死因第4位、80歳以上では第3位という現状です。
この記事では、高齢者の肺炎の原因や治療方法、症状、肺炎の予防法についてわかりやすく紹介します。
目次
1. 肺炎とは
肺炎とは、肺に炎症が起きる病気の総称です。
主に病原体に感染することで肺に炎症が起きている状態を指します。
ただし、高齢者の場合には喉に詰まったものが原因で肺炎になることもあります。
2.高齢者の肺炎の原因
2-1. 風邪の悪化
風邪が悪化すると、体力や免疫力が一時的に低下します。
そこに細菌やウイルスが感染し、肺炎などの合併症に感染しやすくなります。
「肺炎は風邪が悪化したもの」としばしば誤認されますが、風邪と肺炎は別物です。
風邪は上気道に起こる炎症で、肺炎は肺の中の肺胞に炎症が起きるものです。
2-2. 誤嚥(ごえん)
誤嚥(ごえん)とは、飲食物が気管に入ってしまうことです。
高齢者は筋力低下から誤嚥を起こしやすく、肺の中に飲食物が入ってしまうことがあります。
口腔内には菌が多く存在していますが、細菌は胃酸で死滅するのが通常です。
しかし、誤嚥すると細菌がそのまま肺に入り込み、炎症を起こす原因となります。
2-3. アレルギー
カビや寄生虫、有害な化学物質を吸い込むことで肺炎になる可能性があります。
例えば、風呂場やエアコン内、加湿器等で発生するカビは、よくあるアレルギー性肺炎の原因の一つです。
3. 高齢者の肺炎の特徴
3-1. 熱が出にくい
発熱は体内にウイルスが侵入した時の防御反応です。
しかし、高齢になるほど免疫機能低下により発熱する力が弱くなっていきます。
そのため、肺炎になっても熱が出づらい状態になり、発見が遅れることが多々あります。
3-2. 咳や痰が出にくい
体内に入った異物を外に出そうとするのが咳や痰です。
高齢になると、脳の衰えや筋力低下が原因で咳を出せないことがあります。
その場合、肺炎に感染しているにも関わらず咳や痰が出ず、発見が遅れることがあります。
3-3. 進行が早い
高齢者は持病を抱えている場合が多く、それと相まって肺炎の進行が早まりやすいです。
慢性的な持病に免疫を使っていたり、運動不足や栄養不足、脱水なども肺炎の進行を早める原因となります。
さらに、免疫が低下した状態で複数の病気にかかっていると、肺炎の発見にさらに時間がかかることがあります。
4. 高齢者の肺炎の症状
4-1. なんとなく全身がだるい
肺炎を罹っていても、高齢者は高熱や激しい咳などを発症しない場合もあります。
食欲がわかなかったり微熱が続いたりなど、いつもと違うなと思ったら肺炎を疑いましょう。
4-2. いつもより元気がない
ご家族から見て、普段より元気がなかったり、急に食べる量が減っていたりする場合は要注意です。
慢性的な持病によるものか、肺炎によるものかわからない場合には、早めに受診しましょう。
5. 高齢者の肺炎の治療
5-1. 症状が軽い場合
肺炎を初期段階で発見し、症状が軽い場合には自宅の療養が可能です。
その場合には、医師から処方された薬を飲みつつ、根本要因の改善も必要です。
根本要因としては、生活リズムや水分補給、栄養の摂取などが挙げられます。
5-2. 症状が重い場合
肺炎を発見した頃には症状が悪化しているケースが多く、その場合は入院による治療が必要です。
肺の炎症を抑える抗生物質や、水分補給、場合によっては酸素マスクが必要な場合もあります。
肺炎に罹って免疫力が低下すると、他の病気を誘発することがあり、治療後も肺炎の再発を起こしかねません。
そのため、病院では肺炎だけではなく総合的な身体状況を見て治療していくことになります。
6.高齢者が肺炎を予防するには
6-1. こまめな手洗い
ウイルスが原因で起こる主な肺炎を予防するためには、こまめな手洗いが必要です。
帰宅時や料理中、食事前にはせっけんでしっかりと手洗いをしましょう。
6-2. 歯磨き
誤嚥による肺炎を防ぐためには、常に口腔内を綺麗にしておくことが大切です。
口の中は雑菌が繁殖しやすい上、唾液でも誤嚥する可能性があります。
特に、食事後と就寝前、起床後は必ず歯磨きをする習慣をつけましょう。
6-3. 運動と食事
肺炎は、免疫力が低下しているときに起こりやすいです。
規則正しい生活と適度な運動、栄養の取れる食事を心がけましょう。
また、喉や気管の働きを改善する効果がある辛い食べ物を食生活に取り入れることもおすすめです。
6-4. 食後2時間は体を起こしたままにする
高齢になると、体を起こしたままの姿勢を保つことが大変な場合もあります。
しかし、食後の誤嚥を防ぐためも2時間程度は体を起こしたままにしていると良いです。
もちろん、食事をするときも体を起こして食べましょう。
7.まとめ
まとめると、高齢者の肺炎の原因には誤嚥(ごえん)、風邪の悪化、アレルギー等などが挙げられます。
また、免疫力や筋力が低下してくると、肺炎の症状が表に出づらくなり、発見が遅れる可能性が大きいです。
少しでも普段と違う点があれば、積極的な受診をおすすめします。
肺炎の治療は、症状が軽ければ通院治療が可能ですが、基本的には入院生活となります。
肺炎の発症や再発を防ぐために、こまめな手洗いや歯磨き、適切な生活習慣などを心がけましょう。