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介護拒否とは?3つの原因とシーン別の事例を紹介

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介護を拒否されてしまう。。。

食事を摂ってくれない。。。

入浴を嫌がる。。。

このような悩みを抱えているのではないでしょうか?

認知症が進むと介護拒否という症状が現れる場合があります。

認知機能の低下により、介護の意味を理解できなかったり、自尊心を保つためなど理由は様々です。

この記事では、介護拒否の原因やシーン別の対策、介護拒否で注意すべきポイントをまとめています。

丁寧に理由を聞き、問題を解決しましょう。

1.介護拒否が起こる3つの原因

1-1.認知症の症状

介護拒否は、認知症のBPSDでしばしばみられる症状です。

認知機能の低下により、自分の状況が理解できずに介護を拒否してしまいます。

食事を拒否している場合は、食べ物に毒が盛られていると妄想している、入浴拒否をしている場合は、入浴をする意味がわからないなどが考えられます。

1-2.自立心が高い

自立心が高く、子どもに迷惑はかけたくないと思っている方も多くいます。

また、子どもの世話にはならないと意地を張っている場合もあるでしょう。

そのため、介護をしてもらうこと自体に嫌悪感を感じて、介護拒否に至ります。

1-3.羞恥心が強い

介護では、トイレや入浴などプライベートな場面の介助も必要になります。

しかし、ご本人にとっては抵抗を覚えることもあります。

そのため、介護サービスを利用する際は、「スタッフの性別指定ができるか?」「要介護者と信頼関係を築けそうなスタッフはいるか?」を意識して事業所を選ぶといいでしょう。

2.シーン別の介護拒否

2-1.食事を摂らない

食事を摂らない場合は、いくつかの理由が考えられます。

1つは、食べ物かわからないという点です。

食べ物ではないと誤認してるときは、認知症の症状である「失認」が関係していると考えられます。

失認とは、五感による認知力を正常に使い状況を把握することが難しい状態です。

そのため、お味噌汁と泥水を誤認してしまうなどの誤認から食事拒否が起きている可能性があります。

逆に、フルーツの香りがする芳香剤を食べてしまうなど異食が起こることもあります。

次に、食べ方がわからないという場合もあります。

この場合は、認知症の症状の「失行」が関係しています。

失行とは、行動しようとする意思はあるものの、今までの生活でできていた動作が行えない状態です。

そのため、お箸の使い方がわからなかったり、お箸でご飯を持ち上げた後にどうしていいかわからなかったりします。

また、嚥下障害や入れ歯など口内トラブルも疑いましょう。

食べ物を飲み込めなくなってしまっていたり、口内炎ができていたりする可能性があります。

2-2.服薬拒否

薬の服用を拒否する問題です。

薬自体を忘れてしまったり、これは自分の薬ではないと言って頑なに拒否することもあります。

服薬拒否の理由としては、認知機能の低下から薬を飲む意味がわからない、嚥下機能の低下から薬が飲みこみづらい、昔から薬に否定的であるなどが考えられます。

また、強い副作用ができるため、拒否していることもあります。

このような場合は、かかりつけ医に服薬方法を相談しましょう。

2-3.入浴拒否

入浴拒否では、入浴の必要性が理解できなかったり、羞恥心が関係しています。

記憶障害でさっき入浴したばかりだと思っていたり、機能の低下から入浴の必要性が理解できなくなっているかもしれません。

羞恥心から介助を拒否している場合は、介助ではなく一緒にお風呂に入ることが有効な場合もあります。

2-4.着替えを嫌がる

記憶障害から脱いだ服がこれから着る服なのかわからなくなる、失行から服を着る手順がわからない、などが考えられます。

また、着替えを介助されることで「着替えも1人でできない」と思い、自尊心が傷つけてしまうことがあります。

全てを手伝うのではなく、なるべくご本人が1人でできるようにサポートすることを心がけましょう。

また、身体機能に要因がある場合もあります。

腕を上げる時に痛みを感じたり、関節の可動域が小さくなっていることがあります。

その場合には、介護の専門家に介助方法を相談してみましょう。

3.介護拒否対応のポイント

3-1.不安や混乱を取り除く

認知症になると状況の把握が難しくなります。

今なぜ介護を行うのか、何をすればいいのか、これから何をするのかわかりやすく伝えましょう。

何度もくり返し伝えたり、メモを作って壁に貼ったりするとよいでしょう。

3-2.否定をしない

気持ちに寄り添うように声掛けをしましょう。

否定をすると、馬鹿にされたと感じてさらに介護拒否をされる場合があります。

たとえ否定でなくても、「でも」「だけど」などの否定語の使用も避けましょう。

3-3.ユマニチュードを意識する

ユマニチュード(Humanitude)とは、食事介助や清拭、入浴、更衣などを行う際の実践的な認知症ケアの技法です。

フランス語で「人間としての尊厳」や「人間らしさ」を意味しており、ケアされる人とケアする人という考えではなく、関係や絆を中心にコミュニケーションを取ります。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

https://carers-navi.com/humanitude

3-4.尊厳を傷つけない

ご本人が認知症だと自覚できない場合が多いです。

認知症であると認知してもらえることが一番よいですが、無理に認めさせようとしてはいけません。

自尊心を傷つけないように注意しましょう。

4.認知症介護を上手に行う際に重要な3つのポイント

介護拒否に限らず、認知症介護を行う上で重要な3つのポイントを説明していきます。

4-1.本人を尊重する

記憶をなくしても、感情やプライドといったものは決してなくなっていません。

また認知症の方は記憶を失っているので、ただでさえ不安になります。介護者が本人を否定したりできないことを責めたりすると、怒りが増し症状が悪化してしまいます。

そこでまずは日常生活を送る上で不安材料をリストアップして、「できないこと」を補える環境作りを心がけましょう。そして「できること」はなるべくやってもらいましょう。例えばですが、下記のような表を作ってみてください。

できる事 できない事
食事をしたことを記憶している 道を覚える
衣服を自分で毎日選べる 家に1人で帰る
掃除機をかける 車の運転
歯磨きすることができる 料理を作る
リモコン操作ができる 自分の置いたものの場所を覚える

上記の表のように、簡単にでもいいのでノートにまとめて日々「できること」と「できないこと」を更新していきましょう。

そしてできることを積極的にやってもらうことで、症状の悪化を遅くしたり防ぐことに繋がります。

また、このノートを作っていく時に、介護者の方やご家族は「できないこと」に気づく場面が必ずあります。

そんな時に「叱る」「怒る」「愚痴をいう」などといった、マイナスな行為をしてしまうのはやめましょう。なぜなら先ほども話しましたが、感情やプライドは消えていないからです。このことを念頭においておきましょう。

上記した内容は、本人を尊重し、症状を安定させることにもつながります。

4-2.なじみの環境を用意する

認知症の人は、新しいことに対応するのが苦手です。

そのため、なるべくこれまでと同じなじみの場所で、これまで通りのものを使って、これまで通りの人間関係の中で暮らすのがよいとされています。

しかし、現実的には認知症になったことで、施設に入所したり外部の介護サービスの人が自宅を訪れることも必要になります。

施設に入所する際に可能であれば、使い慣れた家具や身の回りの品物、たとえば茶碗やコップや箸を使えるよう工夫しましょう。

細かいことかもしれませんが、こういった環境を整えていくことは、介護を行なっていく上で大切になります。

また、外部スタッフもなるべく安定した人間関係を築けるところを選びましょう。

外部のスタッフの方も十人十色ですので、要介護者と合う合わないがでてくるからです。

合わないと思ったならスタッフの交代を申し出てみることや、利用施設の変更を検討していきましょう。

4-3.行動には意味のあることを理解する

認知症の要介護者の行動で、とくに周囲の人をとまどわせるのが徘徊です。知らないうちに外にでてしまい、どこにいったのかわからない。

探し回ったあげく思わぬ場所で発見されるというようなことは、認知症の人にはありがちです。

徘徊は、誰かを探していたり、過去の習慣の記憶を思い出して、その場所にいこうとしているからです。

また、介護者にむかって何かを盗んだと身に覚えのないことを言われることもありますが、これは大切な物をどこかにしまい忘れてしまうことから起こる内容です。

この時、介護者のことも忘れている場合がありますので、見知らぬ人が自分のものを盗んだと考えてしまうわけです。

今説明したように、認知症の人の行動は意味のあることを理解して接しましょう。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?

介護拒否で注意するポイントは以下の4つでした。

〇不安や混乱を取り除く

〇否定をしない

〇ユマニチュードを意識する

〇尊厳を傷つけない

ただし、あなたや家族だけで悩まず、周囲に相談しましょう。

介護サービスを利用することで、症状が改善する場合もあります。

一度、ケアマネージャーや地域包括支援センターにご相談ください。

https://carers-navi.com/care-consultation

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