あんなに元気だった父親がまさか介護が必要な状態と認定されるなんて。。。
母親はどうしても自分で面倒を見たいと言っている。。。
そう困っているあなたは、サービス付き高齢者住宅について耳にしたのではないでしょうか?
介護施設に入居してもらい、安心した生活を送ってほしいと考えてほしいとはだれもが考えますよね。
この記事では、サービス付き高齢者住宅についての気になる費用や入居の手順まで詳しく解説します。
目次
1.サービス付き高齢者住宅の特徴
ではここからサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の特徴を下記のの6つに分けて解説していきます。
・どんな施設なのか
・サービス内容
・対象者
・設備
・介護・医療体制
・費用
1-1.サ高住は要介護が低い比較的健康な高齢者向けの民間施設
サ高住は安否確認、生活相談サービスを提供する高齢者向けの賃貸住宅です。
サ高住は要介護者が多い有料老人ホームや特養老人ホームとは異なり、「要介護度が低い比較的健康な高齢者でも入居することができる施設」になります。
そのため、サ高住は「自分で生活をすることができて、要介護度は高くないけど老人ホームへの入所を考えている」という方に対してうってつけの施設になります。
そんなサ高住のサービス内容を次から解説していきます。
1-2.サ高住のサービス内容
サ高住はよく介護付きの高齢者施設と考えがちですが、実際はそうではありません。
サ高住も有料老人ホームと同様、「介護型」と「一般型」の2種類があります。
「介護型」では、介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、24時間の介護サービスや食事を提供します。一方、「一般型」のサ高住では介護サービスや食事の提供はオプション料金を支払わなくてはなりません。
つまり、入居者に合ったサービスを別途、自分で契約し利用しなくてはならないのです。
どこのサ高住にも共通して必ず付いているサービスとして、施設のスタッフが利用者の部屋を定期的に訪問してくれる「安否確認サービス」と専門家が日々の生活の相談に乗ってくれる「生活相談サービス」の2つがあります。
安否確認、生活相談サービスはどの施設でも共通して必ず受けることができるサービスです。また「一般型」でも食事提供を行っている施設もあります。
ただ「一般型」の場合、それ以外の洗濯や清掃などの生活支援サービス、介護サービス、医療サービスなどを利用したい場合は自ら施設もしくは外部の事業所と契約をしなくてはいけません。
1-3.サ高住の対象者
サ高住の入居条件は「高齢者住まい法」によって以下のように定められています。
・60歳以上の高齢者
・60歳以上の者または要介護・要支援認定を受けている者(60歳未満でも、40歳を過ぎていて「要介護認定」「要支援認定」を受けていれば入居が認められます)
・60歳以上の親族
・要介護・要支援認定を受けている親族(配偶者の場合は戸籍をいれていない「内縁の関係」でも同居が可能)
・60歳未満で、要介護認定または要支援認定を受けている親族
サ高住は配偶者または親族が上記の条件を満たしていれば、配偶者、親族も同居できる仕組みになっています。
また、入居対象となるのは原則自立、または軽度の介護を要する人となっています。
(とはいえ、実際には「要介護5」でも受け入れるところもあります。)
各サ高住によって独自の入居条件を定めている所もあるので入居する前に確認しておくことが望ましいでしょう。
1-4.サ高住の設備
サ高住の居室は1人用と2人用があります。
個室の広さは原則25m²以上で、リビングやキッチンなど共同利用できる設備が整っている場合は18m²以上と定められています。そのため、実際には18m²のところが多いのが実情です。
施設内は手すりやスロープなどが整備されたバリアフリー構造になっていたり、見守りセンサーや緊急通報装置が設置されているなど、高齢者が安心して生活することができる設備が整っています。
共有スペースは施設によってはリビングや温泉、カラオケルーム、シアタールームなどが設置されているところもあり、入居者同士で交流することができ、親睦を深めることもできます。
サ高住には高齢者が住む上で申し分のない設備が整っています。
1-5.サ高住の介護・医療体制
サ高住には理学療法士や看護師など、ケアの専門職が日中は対応しますが、夜間は職員の常駐する義務がないため職員が不在の施設もあります。
また、介護・看護職員の配置基準もサ高住にはありません。ただし「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている場合は、人員配置基準があります。
サ高住のケア体制は他の医療体制が充実している特養老人ホームや老人保健施設に比べると一般的には劣ります。
そのため、要介護度があがったり、医療処置が必要になる場合には退去を求められる場合があります。
1-6.サ高住の費用
サ高住の多くは一般的な賃貸住宅と似た料金体系で、立地などの条件によりその額は大きく違いがあります。
サ高住の平均利用料金総額(家賃、共益費、基本サービス相当費、食費、光水熱費)は、約14万円で、そのうち家賃は平均して6万円であることが厚生労働省の調査、「サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金」によると分かっています。
(出典:厚生労働省 サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金より)
ここにプラスして介護サービスを契約すると介護保険を利用することができるものの、費用は上がってきます。
支払い方式は原則、「月払い方式」で、入居する際の初期費用として、敷金や入居一時金が必要な施設もあります。提供されるサービスの内容や料金は施設によって千差万別です。
入居を検討する際には、提供されるサービスの内容と料金、オプションなどを確認しておくことが大切です。
2.サ高住へ入居することのメリット・デメリット
ではここからサ高住へ入居することのメリット・デメリットを解説していきます。
メリット | デメリット |
入退去のハードルが低い | 医療処置が必要になると退去を求められる事が多い |
幅広い選択肢から施設を選ぶことができる | 医師、看護師が常駐していない |
初期費用、月額費用が有料老人ホームよりも安いところが多い | 月額利用料の構造が煩雑で理解しにくい |
では1つ1つ解説していきます。
2-1.サ高住へ入居することのメリット
サ高住のメリットは3つです。
■入退去のハードルが低い
1つ目のメリットは入退去のハードルが低いことです。
1-3の対象者でも解説しましたが、サ高住は施設によって入居への独自の基準を定めている施設はあるものの、原則60歳以上の高齢者で、重度の介護が必要のない方であれば入居することができます。
介護付き有料老人ホーム、特養老人ホームでは「要介護度が高い人」などの入居への条件や基準が定められていますが、サ高住はたとえ自立の場合や、要介護度が低くても積極的に入居を受け入れてくれます。
■幅広い選択肢から施設を選ぶことができる
幅広い選択肢の中から施設を選ぶことができるのもサ高住のメリットになります。
サ高住は国からの補助金や税制優遇を受けられることから、2011年の制度開始以来急増しています。
(サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム サービス付き高齢者向け住宅の都道府県別登録状況 H30.11末時点より)
また、国は2020年までにサ高住を60万戸にすることを目標としています。
施設の増加により、選択肢の幅が広がり、幅広い選択肢からどのサ高住にするかを選ぶことができます。
■一時金が発生せず、有料老人ホームよりも安い
初期費用や、月額費用が有料老人ホームより安いところが多いことも特筆すべきメリットです。
サ高住の場合、初期費用については敷金・礼金として払うパターンが多く、その額は家賃2~5ヶ月分を見積もっておけば十分でしょう。ただし入居一時金が必要な施設もありますので、予め調べておく必要があります。
他方、有料老人ホームの場合「介護付き」、「住宅型」、「健康型」といった種別があるので一概には言えませんが、入居一時金として数千万円程かかることもあります。
2-2.サ高住へ入居することのデメリット
一方でサ高住のデメリットも3つ挙げられます。
■医療処置が必要になると退去を求められることが多い
広く門戸が開かれていることの裏返しとも言えますが、入居時よりも介護度が重くなり医療処置が必要になると、退去を求められることが多いです。
また、介護度が重くなると費用の面でもオプションの介護サービス利用頻度が増し、割高になることもあります。
■医師・看護師が常駐していない
前項とも関連しますが、サ高住の目的は、あくまで住宅であり、介護を提供することではないですので医師・看護師が常駐していない場合がよくあります。
突然の体調不良など健康面に不安を覚える方にとってはかなりのデメリットでしょう。
■月額利用料の構造が煩雑で理解しにくい
デメリットの3つ目は、月額利用料の構造が煩雑で理解がしにくいということです。。
項目によって、毎月定額の項目は何か、利用量によって金額が変わってくる項目は何なのかそれらを事前に押さえておくことが肝要です。
例えば、賃料・管理費・共益費などは定額ですが、水道光熱費、食費は定額支払う施設と、利用量による変動額を支払う施設の2種類があり、さまざまなパターンがあります。また「介護型」では介護サービス費用が毎月定額になりますが、「一般型」では、利用した分を外部事業者に支払うことになります。
このように毎月かかる費用の額を見積もる際には、細かい項目の確認が必要となります。
3.サ高住の3つの選び方
ここまで、サ高住の特徴及び入居にあたってのメリット・デメリットを見てきました。ここでは以上を踏まえ、おすすめの選び方を3つご紹介します。
3-1.入居予定者が「対象者」にあてはまるかどうか
これは何らかの介護施設に入居を考えている人にとって、何よりも重要な観点です。サ高住は要介護度が低い比較的健康な人でも入居できる施設となっています。ただし、施設ごとに入居条件を定めているところがありますので、事前にしっかりと確認をしましょう。
3-2.サ高住の「後」を考えて決める
これはサ高住の特徴を踏まえたうえでの観点です。サ高住では入退去のハードルが低いです。また、先に述べた通り比較的健康な人でも入居可能です。その分多くの人が、遅かれ早かれ次の入居先を求めることとなる可能性もあります。その時のことも視野に入れて選ぶようにしましょう。
3-3.これまでのライフスタイルにこだわるかどうか
サ高住では他の介護施設に比べ、自分で行わなければならないことが多いです。言い換えれば、自分のやりたい生活が多少の制限こそあれ、実現しやすい環境にあるのです。これまでとあまりライフスタイルを変えたくない、という人には向いていることでしょう。
4.サ高住の2つの契約書のタイプに注意する
サ高住には「建物賃貸借契約」と「終身建物賃貸借契約」の2種類があります。
■建物賃貸借契約
この契約では、入居者が死亡した場合、遺族による契約の引き継ぎ(相続という形をとる)が認められています。つまり、故入居者の親族がその部屋で暮らすことが可能となるのです。
このタイプのサ高住は、認可基準の厳しさから数こそ多くはありませんが、検討の余地はあるのではないでしょうか。
■終身建物賃貸借契約
この契約も賃貸借契約であることに変わりはありませんが、契約が原則終身制となっています。
つまり、終身建物賃貸借契約だと入居者死亡時点で契約が自動的に終了となります。
配偶者には例外が認められることもありますが、基本的に親族には契約の相続権がありません。
5.まとめ
サ高住は入退去のハードルが低く有料老人ホームより安いため、介護度が低かったりまだ今後の計画を立てる余裕のある人、及びその親族には向いていると言えるでしょう。
一方で、充実した介護サービスや見守り体制を期待する人には、内容面でも費用面でも他の施設を調べてみるのが良いかもしれません。
いずれにしろ言えることは、事前の下調べの重要性でしょう。入居予定者の実情を見ながら選んでいきたいですね!