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介護の現場より~ ❝私の『介護の時間』❞ 『訪問介護職:古川さんのStory』

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「介護の最前線がわかる!読んでおきたいコラム記事」

今回は、全国のソラストグループの各施設で活躍する介護職の皆さんの『介護職としてのご利用者様への想い』や『ご利用者様と介護職、それぞれにとってどんな介護の時間が流れているのか』・・を、お届けしていきたいと思います。

それでは早速、株式会社日本エルダリーケアで東京支店(16センター)の管理者・サービス提供責任者の業務サポート全般を担い、活躍されている、古川さんの『介護の時間』をご紹介していきます。

<❝人❞に興味があったんです>

中学・高校時代、進学を決める時期になって、自分はどんな道に進みたいのかを、色々考えていた時のこと。当時は「これがやりたい!」という明確なものがあった訳ではなかったのですが、なんとなく「幼稚園の先生もいいな」、「盲導犬の調教師もいいな」・・と浮かんできた職種がいくつかあったんですね。その共通点を紐解いていくと、「自分は、人に興味があるんだ!」ということに気がついて。それならば、人の人生に関わるような、より深いところで人と触れ合っていける仕事がしたいと思い、福祉系の専門学校へ進むことを決めました。

 

中学・高校時代、ボランティアで「老人ホーム」と「障害者施設」へ訪問する機会があって、その時は主に、ご利用者さんのお話し相手になることだけだったんですけど、とても面白いなって感じて。なにが面白いかって、お一人おひとりとお話ししながら、その方の気持ちを汲み取ろうと向き合っていくと、皆さんの今ある気持ちがどこからきているのか・・その背景を想像することが必要になります。その奥深さが、とても面白いなって感じたんです。それがきっかけで、専門学校卒業後は、「特別養護老人ホーム」を運営する企業へ就職する道を選びました。

 

<ご恩返しがしたかった。>

私が最初の就職先として、高齢者施設を選んだのは、「ご恩返し」がしたかったからなんです。ボランティアで老人ホームを訪ねた時のこと。身体が不自由なご利用者さんが、なにか一つの動作をされるのも苦労をされている様子や認知症を患われているご利用者さんが、奇声を上げたり、異食をされていたりする姿に触れ、人生の最終ステージでそうなってしまうことに、大きな衝撃を受けました。

 

その時、私自身が幼少期に祖父母と一緒に過ごした時間を思い出したんです。私たちのために、祖父母の世代の方々が施してくれたこと。今度は私が、ご利用者さんの人生の最後の、きっと日々の暮らしのなかに散らばっている「小さな幸せ」や「願い」を叶えていく番だ。そう思いました。「魚が泳ぐ姿を見ているのが好き」、「お花を育てたいのよ」、「料理を作るのが得意」・・どんなことでもいい・・その人がしたいことを一つでもいいから叶えてあげたい。そのことで、ご恩返しをしたいと強く思ったからでした。

 

<認知症を患っていらっしゃっても、ちゃんとサインを出してくれている>

そんな思いを胸に施設での仕事が始まりました。ご利用者さんのそれぞれの気持ちを、出していただけることは、とても大切なことだと思います。でもすべての皆さんが、上手く、自分の気持ちを表現できる方々ばかりではありませんでした。

 

認知症を患われているご利用者Aさんを担当していた時のこと。当時、週に2回程度、Aさんと車椅子で、散歩や買い物に出かけていました。散歩の途中、Aさんが、急に立ち上がろうとされるんですね。その次の日も、また急に立ち上がろうする。また次の日も・・。ふと気がつくと、Aさんが立ち上がる場所は、いつも同じ場所だったんです。それは「幼稚園の前」でした。Aさんが立ち上がって見たかったもの、それは、

元気に遊んでいる子供たちの姿だったんです。

 

「Aさん、子供たちが見たかったんですね。今度から、毎回見にきましょうね。そのために、ご飯もたくさん食べて、力をつけましょう。」

その時からAさんの表情が、明るくなっていってくれたことを、覚えています。

 

自分の気持ちを言葉で上手く伝えられないご利用者さんも、こうやってサインを出してくれている。だからこそ、お一人おひとりのふとした表情やしぐさを知ろうとすることや、その言動の裏側にある背景を想像し、その人がこれまで生きてこられた時間や人柄を理解しようとすることこそが、とても大切なことなんだと、この時、あらためて強く思いました。

 

 

<家で最期の時間を過ごしたい。その思いに応えたい。>

老人ホームに入社して3年がたった頃、腰の病気を患って、治療のため、介護職を続けることが難しい状況となってしまって。その治療期間中も介護に関わる仕事をしたいとの思いから、「介護保険認定調査員」の仕事に就くことになりました。介護保険認定調査員の仕事は、担当地域の在宅介護を利用しているご家庭を訪問し、ご利用者さんご本人はもちろん、ご家族の想いや希望などをお聞きしていきます。「家で最期の時間を過ごしたい」という皆さんの希望の声をお聞きしていくなかで、介護職としてその思いに応えていくことに取り組むことができたら、どんなに幸せか。1回の訪問時間は限られた時間でも、お一人おひとりの希望に、まっすぐに取り組んでいくことのできる「訪問介護の仕事」に就きたいと、回復後、日本エルダリーケアへ入社をいたしました。

<やってみてわかった「チームケア」の大切さ>

いよいよ、念願の訪問介護職の仕事が始まりました。当時私が担当させていただいたご利用者さんは、1回の訪問のサービス時間が60分間が多かったのですが、その時間のなかで、お掃除や夕食づくり、お買い物やデイサービスの送迎のお手伝いなどを行っていきます。私は早速、お掃除をしながら、ご利用者さんの生活習慣のなかから、好きそうなことや好きなものを探ってみることにしました。よくご覧になられるテレビ番組のお話しやお部屋に置かれているキャラクターグッズ、お部屋で多く使われている色・・などから、ご利用者さんの気持ちを探そうと取組みました。

 

「●●さん、このキャラクターがお好きなんですか」

「これはね、孫が小さかった時に、好きだったものでね。遊びに来た時のために、集めていたのよ」

 

・・・そんななにげない会話のなから、ご利用者さんがどんな時間を過ごしたいのか、見つかってくると、

今度は、それをどうしたら叶えられるのか。を考えて取り組みました。そうしているうちに、自分ひとりのチカラでは、決して実現できないということが、わかったのです。

 

ご利用者さんのケアを考えた時、限られた時間のなかで、訪問介護事業所の私たちだけでサポートすることは、難しいと感じました。時間が足りなかったり、制度上できないことがあったり。それをやってしまうとボランティアになってしまうこともあります。もしも自分が帰った後、ご利用者さんに緊急事態が起こったら、なにもできない。ちょっとしたことをやってあげることは簡単で、ご利用者さんの気持ちを汲み取っているようで、本当はなんの解決にもなっていない。私が手伝ってあげられたらという思いでしかない。ケアする私の想いを実現することが大事なのではなくて、ご利用者さんが「~したい」という気持ちを、どうサポートしていくかが、介護のプロとして大事なんだということに、気がつきました。

 

私が1人で、ご利用者さんをケアしているのではない。

 

ケアには1人で訪問するけど、ヘルパーさんも1人ではない。訪問介護事業所の一員として訪問します。そしてご利用者さんには、ご家族、ケアマネージャー、民生委員、デイサービスの介護職員、薬剤師、医師・・と、ご利用者さんをケアする多くの専門職の皆さんとの「チームケア」をしているのです。ご利用者さんを見てくれる目を、手を、ひとつでも多く増やそう。そして、誰でもができる体制をつくろう。「強いチームケア力」こそが、ご利用者さんの気持ちにつながる。ということに辿り着きました。

 

現在は、東京支店の16センターの管理者・サービス提供責任者の皆さんの業務サポートを担いながら、「家で最後の時間を過ごしたい」と望むご利用者さんの気持ちを叶えていける体制づくりに、取り組んでいます。スタッフ全員の働きやすい環境を整え、ご利用者さんを支えるチームをつくります。そのことが、ご利用者さんお一人おひとりの人生の豊な時間につながるはず。

 

ご利用者さんの「家で最後の時間を過ごしたい」という気持ちに、私たちは「チームケア」で、全力で応えていきます。

▷情報提供企業:株式会社日本エルダリーケアサービス

▷企業サイト: https://best-care-job.net/jobfind-pc/area/All?brand=25

 

 

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