高齢者の手術は一般的にリスクを伴うイメージが強いですが、具体的にどのようなリスクがあるのか詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
日本の医療は安全と言われていますが、それでも高齢者の手術にはどうしてもリスクが伴ってしまうのです。
本記事では、高齢者が手術を受けるときに注意すべき点や発生事例の多い合併症について詳しく解説します。
目次
高齢者でも手術を受けることはできるのか?


若年層に比べて高齢者の手術は合併症などのリスクが高いと言われていることや、緊急手術に関しては手術のリスクが数倍になることが報告されています。
(参照:公益財団法人長寿科学振興財「手術リスク」)
高齢者が手術を受けるときに注意すべき点


高齢者が手術を受けるときに注意すべき点は以下の通りです。
- 若年層に比べて合併症のリスクが高い
- 生活機能(ADL)・生活の質(QOL)が低下する可能性がある
それぞれの注意点について、以下で詳しく解説します。
1.若年層に比べて合併症のリスクが高い
高齢者の手術は若年層の手術に比べると合併症のリスクが高いと言われているため、手術中や手術後に合併症が発生することを想定することも大切です。
また、手術後の死亡リスクも高齢者のほうが高く、世界中で最も広く利用されている医学情報源のひとつである「MSDマニュアル」によると手術直後に死亡する患者の4分の3以上は高齢者となっています。
(参照:MSDマニュアル「加齢に関連する注意点:手術のリスクと年齢」)
また、高齢者の手術でみられる合併症としては以下のようなものがあります。
- せん妄
- 呼吸不全
- 縫合不全
- 創感染
- 肺炎
- 高血圧
- 無気肺
- 不整脈
- 低血圧
- DIC
- 腸閉塞
- 排尿障害
- 敗血症
- 真菌感染症
- 吻合部狭窄
- 心不全
- 黄疸
- 腎機能障害
- 腎不全、
- 尿路感染症
- 膵炎
- 腹腔内出血
- 腹腔内膿瘍
- 神経麻痺
あらかじめ予定を組んで行う手術の場合は術前ケアをしっかりと行えるため合併症のリスクについても抑えて手術を行うことが可能です。
しかし、緊急を要する手術の場合は術前ケアがしっかりと行えないことも多いため、合併症のリスクも高くなると言われています。
(参照:公益財団法人長寿科学振興財「手術リスク」)
2.生活機能(ADL)・生活の質(QOL)が低下する可能性がある
高齢者の手術のあとは、「生活機能(ADL)」と「生活の質(QOL)」が低下しやすいと言われています。
生活機能(ADL)については術後の1ヶ月間が低下する可能性が高く、3ヶ月、6ヶ月と
経過するごとに改善が見られることも多いです。
生活の質(QOL)の指標は人によっても異なりますが、術後1ヶ月間はからだの痛みなどを感じることによって生活しにくいと感じることも多いようですが、こちらに関しても術後の経過とともに改善が見られます。
高齢者の手術後に発生事例の多い合併症


「公益財団法人長寿科学振興財団」が複数の医療機関を調査した結果、高齢者の手術後に発生する事例の多い合併症は以下のようなものとなりました。
- せん妄
- 縫合不全
それぞれの合併症について、以下で詳しく解説します。
1.せん妄
せん妄は高齢者の手術の合併症に多いと言われており、中でも認知症を合併している場合は発症しやすいと言われています。
症状としては意識の混乱が挙げられ、ボーッとしたり、コミュニケーションが取りにくい、落ち着きがない、幻覚が見えるなどの症状が現れる可能性があります。
(参照:横浜市立市民病院「せん妄とは」)
2.縫合不全
縫合不全とは、高齢者の手術の中でもお腹を手術するときに見られる可能性のある合併症です。
手術で切開した腸管などの吻合部位が正常に治癒しないことで胃液が漏れてしまい、腹膜炎や発熱、腹痛などの症状が見られます。
中でも直腸がんのように肛門に近い手術のときに発生しやすいケースが多いです。
(参照:国立研究開発法人国立がん研究センター「手術(外科治療)」)
まとめ
本記事では、高齢者が手術を受けるときに注意すべき点や発生事例の多い合併症について詳しく解説しました。
若年層に比べて高齢者の手術は合併症や死亡するリスクが高いことは事実ですが、術前ケアをしっかりと行うことで手術によるリスクを低減することができます。
そのため、日頃の生活から身体の異変を察知するとともに、少しでも異変を感じたらかかりつけ医に相談するなど、緊急手術にならないようにすることがリスク回避につながるのです。
ぜひ本記事を参考にして高齢者の手術について知ってみてください。




