”納税”は日本国民の義務のひとつであるため、収入源の限られる高齢者であっても納税する義務があります。
高齢者に特例として認められている節税制度が存在するため、納税金額を減らしたい方はしっかりと節税対策する必要があるのです。
とはいえ、高齢者が関係する節税対策は年齢や収入によっても異なるため、制度の仕組みをしっかりと理解する必要があります。
本記事では、高齢者が受けられる節税制度について詳しく解説します。
70歳以上の高齢者が受けられる節税制度
70歳以上の高齢者が受けられる節税制度には、以下のようなものがあります。
- 配偶者控除
- 扶養控除
基本的に国が認めている節税制度の対象となるのは70歳以上の高齢者の場合が多いですが、70歳以下の高齢者が対象になる制度も存在します。
それでは、それぞれの節税制度について、以下で詳しく解説します。
1.配偶者控除
配偶者控除とは、所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に適用される控除ですが、その配偶者が70歳以上の高齢者の場合は「老人控除対象配偶者」として、通常の配偶者控除よりも多い控除額が適用される制度です。
「老人控除対象配偶者」の具体的な控除額は以下の表の通りとなります。
納税者の収入 | 控除額 |
900万円以下 | 48万円 |
900万円〜950万円 | 32万円 |
950万円〜1,000万円 | 16万円 |
通常の配偶者控除の金額は、900万円以下で38万円、900万円〜950万円の場合で26万円となるため、最大10万円控除額を多くすることができます。
(参照:国税庁「No.1191 配偶者控除」)
2.扶養控除
70歳以上の高齢者が扶養親族に該当する場合、通常の控除対象扶養親族の控除額である38万円よりも10万円〜20万円多く控除することができます。
高齢者の扶養控除は「老人扶養親族」に区分され、同居していない場合は48万円、同居している場合は58万円の控除を受けることが可能です。
なお、58万円の控除を受けるためには”常に同居”しているという条件が定められているため、老人ホームに入所している場合や、休日だけ一緒に過ごしているなどの場合は対象外となる可能性があります。
また、75歳未満の高齢者が子どもなどが加入している健康保険の扶養に入ることで、国民健康保険料を支払う必要がなくなるため節税に繋がりますが、75歳以上の場合は「後期高齢者医療保険」に加入する必要があるため、75歳までの節税対策であることを押さえておきましょう。
(引用:国税庁「No.1180 扶養控除」)
高齢者が受けられる「老年者控除」はすでに廃止されている
高齢者が受けられる節税としては「老年者控除」という制度が代表的でしたが、2005年にすでに廃止されているため現在はこの制度を利用することはできません。
「老年者控除」とは、65歳以上の高齢者の方のなかでも合計所得が1,000万円以下の場合に所得税50万円・個人住民税48万円の控除を受けられるというものですが、以下の理由で廃止されました。
”高齢者に対しても担税力に応じた負担を求め、世代間の税負担の公平を図るため廃止することとした。”
(引用:総務省「平成18年6月からの住民税についてのお知らせ」)
高齢者でも確定申告する必要はある?
結論から申し上げますと、高齢者でも所得税および復興特別所得税を収める必要があるため、一定の所得を超えている場合は確定申告する必要があります。
高齢者の主な所得として挙げられるのは「公的年金」や「生命保険契約に基づく年金」などですが、これらから得られる所得が65歳未満の場合は108万円、65歳以上の場合は158万円をそれぞれ超える場合は確定申告が必要です。
なお、年金受給者は以下の条件を満たしている場合、特手として確定申告が不要になるため、合わせて確認しましょう。
- 公的年金などの収入金額が400万円以下
- 公的年金などに関係する雑所得以外の所得金額が20万円以下
このように、高齢者の確定申告は多くの方が不要になる条件が定められているため、どのようなケースに確定申告および納税が必要になるのかを確認しておきましょう。
まとめ
本記事では、高齢者が受けられる節税制度について詳しく解説しました。
紹介した通り、高齢者を対象とした節税制度は数多く存在するため、自分が対象者である場合は積極的に活用しましょう。
また、公的年金などによって所得が多い場合は控除金額を差し引いても確定申告によって納税する必要がありますので、少しでも疑問点や不安がある場合は役所などに問い合わせてみると安心です。
ぜひ本記事を参考にして、高齢者を対象とした節税対策をチェックしてみてください。