最近、親の歩行がふらついており心配。。。
身体機能は年を重ねるごとに衰えるものです。
日常生活では、様々な介助が必要になりますが、歩行介助は早い段階で必要になるものです。
可能な限り、要介護者の残存能力を使用できる介助を行うことで老化を遅らせることができます。
この記事では、状態に合わせた歩行介助の方法と歩行介助用品を紹介いたします。
この記事をご覧になれば、安心した生活が送れるでしょう。
目次
1. 歩行介助の方法
1-1.見守り歩行
見守り歩行は、初期段階で必要になる介助で、自力で歩ける人に対して行います。
基本的には、杖で支えていない反対側や不自由のある身体の側につきます。
立ち位置は、斜め後ろから見守り、歩行の邪魔になってはいけません。
常に歩行に注意し、バランスを崩したらすぐに支えられるように意識しましょう。
1-2.寄り添い歩行
寄り添い歩行は、高齢者の真横に立ち、密着した状態で介助を行います。
高齢者の利き手とは反対側に立ち、自分の利き手を要介護者の利き手の脇に差し込み、要介護者の反対の手を自分の手で支えます。
しかし、利き手ではないほうに麻痺や障害のある場合はそちら側を優先しましょう。
また、転倒の可能性が高いと感じた時は、ベルトやズボンを掴むことも有効です。
1-3.手引き歩行
手引き歩行は、車いすからトイレへの移動など短距離での歩行介助に使われます。
要介護者と向き合い、両手を取って歩きます。
手引き歩行のメリットは、向き合ってしっかりと両手を握るため、転倒を防ぎやすいことです。
しかし、介護者が後ろ向きで歩くというデメリットもあり、前方の確認ができません。
事前に導線の確認を行い、障害物の把握を行いましょう。
1-4.階段の歩行介助
階段は転倒の可能性が非常に高く、一層の注意が必要です。
立ち位置に気を付けましょう。
昇る時:要介護者の斜め後ろ
降りる時:要介護者の斜め前
また、杖を持っている場合は、その使い方にも注意が必要です。
昇る時:杖→障害のある足→反対の足
降りる時:杖→障害のある足→反対の足
上記の順番に階段は昇り降りしましょう。
2 .歩行介助を行う際の3つの注意点
2-1.歩調と歩幅を合わせる
一番大切なことは、歩幅と歩調を合わせることです。
介護者がリードするのではなく、要介護者に合わせてゆっくりと一歩ずつ進みましょう。
そのため、行動には時間のゆとりを持たせて焦らないようにする工夫も有効です。
また、歩幅と歩調だけでなく、疲れていないか、体調に異変が起きていないかなども確認を行い、適宜休憩を取りましょう。
2-2.立ち位置に気を付ける
歩行介助は介護者の立ち位置が重要です。
歩行介助の基本的な立ち位置は、利き手とは反対側の斜め後ろで密着しすぎないことが原則です。
前に立ってしまうと視界を妨げ、密着すると体重移動を妨げてしまいます。
距離感は、バランスを崩したときにすぐに支えられるくらいが目安です。
近すぎると歩行を妨げてしまい、離れすぎると支えられなくなるため、程よい距離感を掴みましょう。
2-3.できる限り障害物を把握する
室内においては、電気のコードやクッションなど移動の際に邪魔になるものは事前に動かしておき、最低限の通路は確保しましょう。
屋外を歩くときは室内以上に注意が必要です。
小さい段差や車通りの多い道、雨で道路が濡れているなどたくさんの障害があります。
なるべく広い道や平坦な道を選び、滑りにくい靴を選びましょう。
また、初めて訪れる場所では、事前にバリアフリーの情報を集めることが大切です。
3.歩行を補助してくれる福祉用具の種類と選び方
常に歩行介助し続けることは困難です。
福祉用具を効率的に使い負担を軽減しましょう。
歩行を補助してくれる3つの福祉用具を解説します。
3-1.杖
杖は、バランスを支え筋力の低下や足の痛みを補います。
こんな方におすすめ!
「家の中の生活は自立しているが、外出するのがちょっと不安な方」
メリット
・足腰にかかる負担が減る
・体を支える面積を広げバランスが保ちやすくなる
・歩行にリズムを生み出し、安定感を与える
種類
①一本杖
写真
杖の支柱部分(シャフト)に持ち手(グリップ)がついている、T字型の最もスタンダードな杖です。
②多脚杖
杖先が3〜4点に分かれている杖です。
③可動式多脚杖(可動式四点杖)
杖の支柱部分が前後に可動する杖です。
④ロフストランド杖
一本杖に前腕を通す輪がついており、手と前腕の2点で体を支えることができる杖です。
選び方は長さと重さに注目
〇長さ
身長に合った長さの杖を選びましょう。
身長 ÷ 2 + 3cm = 目安の長さ
(例) 身長が150cmの場合
150cm ÷ 2 + 3cm = 78cm
※腰の曲がった方は、曲がった状態での身長で計算してください。
※個人差があるので、実際に持ってみて決めることをおすすめします。
○重さ
杖の素材には主に3つの種類があり、重さが違います。
軽
↑ カーボンファイバー製(比較的値段が高い)
アルミ製
↓ 木製
重
また、シャフト(支柱部分)が太いほど重くなります。
逆に言えば、シャフトが太いほど安定感は増しますが、小柄な方や女性、持ち上げる力が弱い方には、軽量の杖がおすすめです。
詳しくはこちら
3-2.歩行器・歩行車
こんな方におすすめ!
「歩行が不安定で、安全に移動したい方」
メリット
・体重を預けることができ、足腰に書かかる負担を軽減できる
・杖よりも体を支えられる
種類
①持ち上げ型歩行器
車輪がついておらず、手で持ち上げて前へ進むタイプです。
②前輪歩行器
前方のみに車輪がついているタイプです。
ブレーキが掛けやすく、足腰の弱いかた向けです。
③四輪歩行器
四輪に車輪がついているタイプです。
軽く動かせる分、注意も必要になります。
④歩行車
四輪歩行器にブレーキがついているタイプです。
ブレーキで調節できるので安心して使用できます。
選び方は使用する場所や目的を明確
使用する場所や目的を明確にしましょう。
室内用や屋外用など様々な種類があります。
購入する際は、ケアマネージャーなどに使用用途を明確に伝え相談しましょう。
3-3.シルバーカー
こんな方におすすめ!
「杖での歩行が不安な方や、お買いものの際に荷物が多くて大変な方」
メリット
・歩行中に疲れたら座れる
・重い荷物を持たなくてよい
選び方
選び方は、持ち手高さを基準に
目安は、「身長÷2+5~15cm」です。
持ち手を高くしすぎると腕が疲れたり、肩こりや疲労の原因となります。
逆に低すぎると腰に負担がかかり腰痛や円背を引き起こします。
※シルバーカーと歩行器の違い
シルバーカーは、歩く能力が高い人に向いています
また、物を持ち運ぶ機能が重視されるため、体を支える力は歩行器ほど強くありません。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
年を取るにつれて、足腰が弱くなり歩行能力が落ちてしまうことは避けられません。
大切なことは、そうなったときに可能な限り自分で歩くことです。
足腰が弱くなったからと言って、歩かなくなると急激に歩行能力は下がってしまいます。
要介護者の状態にあった歩行用具を使用することで、老化は遅らせることができます。
今回ご紹介した方法も参考にしながら、安全な歩行介助を心がけてみてください。