在宅介護では、腰に負担がかかって大変。
最近、腰が痛くなり始めた。
腰痛は、日本人の80%の方が経験するといわれます。
特に介護の仕事をしていると腰痛になりやすく、腰痛で労災がおりることもあります。
しかし、在宅介護をしている方は、なかなか休むことはできないですよね。
腰痛は、原因を特定してしっかりと対策すれば和らげることができます。
また、初期状態であれば治すことも可能です。
慢性的な腰痛になってしまうと、在宅での介護が難しくなってしまうため、早めの対策をしましょう。
目次
1.腰痛になる3つの原因
腰痛に悩んでいるときは、対策をとる前に正しい原因を知ることが大切です。
これから紹介する3つの原因からあなたに当てはまるものを探していきましょう。
1-1.介護技術が原因
腰痛になりやすい動作や姿勢として、中腰、腰をひねる、長時間同じ体勢などが挙げられます。
これらは介護には必要な動作です。
以下の具体的な場面を思い出し、原因となっている動作を考えてみましょう
- 入浴介助
入浴介助とは、一人では入浴が難しい被介護者の入浴を助けることです。
被介護者を浴槽へ移動させる「持ち上げ」の動作や頭や体を洗う時の中腰の姿勢の場面で腰に負担がかかりやすくなります。
- 移乗介助
ベットから車いすへ移動してもらう際やトイレ介助では、車いすからトイレに移乗させる際に腰に負担がかかります。
- おむつ交換
要介護度が進みトイレへの移動が困難になると、おむつを使用します。
寝た状態の被介護者に対して介助を行うため、前傾姿勢での作業が10~20分ほど続きます。
長時間の同じ姿勢では腰に負担がかかるでしょう。
- 体位交換
被介護者が寝返りを打つことが難しい場合、床ずれを防ぐため、定期的に体位を変える必要があります。
中腰や体のひねりを使う動作になるため注意が必要です。
1-2.身体的な原因
介護者の身体機能が低下していることも原因の一つです。
特にお腹と足の筋肉が低下していると体にかかる負担を分散できず、腰に負担が集まってしまいます。
特に肥満傾向のある場合は、お腹に力が入らず腰への負担が強くなります。
ご自身の体型や筋肉量に気を付けましょう。
1-3.精神的な原因
明確な原因が特定しきれない腰痛を非特異的腰痛といいます。
あまり知られていませんが、精神的なストレスが腰痛に関係している可能性もあります。
また、直接的な原因でなくとも長期化する原因になることも。
なるべく、日ごろからストレスを溜めないよう心がけましょう。
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2.腰痛を抑える5つの対策
1章で紹介した原因の中で心当たりはございましたでしょうか?
いくつかの原因が見つかったと思います。
この章では、腰痛を抑える具体的な対策を紹介します。
2-1.腰に負担をかけない介護
動作を少し意識するだけで腰への負担は減らすことが可能です。
ここでは、2つの方法を紹介します。
1つ目は、重心を落とすことです。
ポイントは、腰を曲げるのではなく、足を肩幅に開き膝を曲げて重心を落としましょう。
重心を落とすことで力が分散して、腰に余分な力が入らなくなります。
2つ目は、持ち上げないでスライドすることです。
移乗介護や体位変換では、縦に持ち上げるのではなく、横にスライドさせることを意識しましょう。
スライドのコツは被介護者に体を近づけ、重心を近くすることです。
他にも、ボディメカニクスという力学的関係を活用した介助方法があります。
紹介した2つは、すぐには身に付かないので日ごろの介護で意識しながら体に覚えさせましょう。
2-2.残存能力を生かす
被介護者ができることは本人にしてもらうことも大切です。
介護者の負担が減ることはもちろん、被介護者の自立支援にもつながります。
しかし、できる範囲を超えたものをやってもらうとストレスにつながるため、日々の体調や状況に応じて考えましょう。
具体例
服を脱がせる際、ボタンを外すことだけやる
寝返りを打つ際、途中まで支える
2-3.環境を整える
日々使うベットの高さや浴室の広さなど、介護に適した生活環境を整える必要があります。
例えば、手すりを設置するだけで移動介助の負担は大きく減少します。
住宅改修は、介護保険の対象となる場合もあるため検討しましょう。
6つの工事は保険の対象となります。
1手すりの取り付け
階段や廊下、トイレ、浴室などに手すりを取り付ける工事です。
2段差の解消
玄関や浴室などの段差や傾斜を解消する工事です。
取り付け工事を行わず、スロープを設置する場合などは福祉用具購入費の支給で補助をもらえます。
3滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
畳からフローリングや浴室を滑りにくいものへの工事などが適用されます。
滑り止めシートやマットを置くだけでは対象となりません。
4引き戸等への扉の取替え
開き戸を引き戸や折り戸、アコーディオンカーテンなどに取り替える、ドアノブの変更などの工事です。
ただし、自動ドアに取り換える場合、動力部分の補助はありません。
5洋式便器等への便器の取替え
和式便器から洋式便器への工事、洋式トイレの向きや位置の移動工事が適用されます。
洋式トイレを暖房や洗浄機能付きトイレに切り替える場合は適用外です。
6その他上記の住宅改修に付帯する工事
手すり取付けのための下地補強
浴室の段差解消のための給排水設備工事
床材変更のための下地の補修
扉を取替えるための改修工事
便器を取替えるための給排水設置工事など
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2-4.福祉用具のレンタルを検討
腰痛を抑える対策として、福祉用具の活用もオススメです。
福祉用具のレンタルは介護保険が適用されるため、ぜひ検討してみてください。
歩行器や介護ベッド、体位変換器など腰痛の原因になりやすい介助を助ける福祉用具が、13種類レンタル可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。
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2-5.介護サービスの利用を検討
入浴・食事・機能訓練などを受けられるデイサービスや訪問入浴など、在宅介護を支援するサービスはたくさんあります。
特に腰痛の原因と思われる介護には、介護サービスの利用を検討しましょう。
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3.腰痛を予防・回復できるストレッチ
腰痛の予防・回復のストレッチには、2種類のタイプに分かれます。
1つは「柔軟性を高めるストレッチ」、「もう一つは筋力を強めるストレッチ」です。
2つのタイプのストレッチを行うことで、予防・回復を見込めます。
また、ストレッチを行う箇所は、太ももと腹筋、背筋が効果的です。
それでは、ストレッチ方法を紹介します。
①太ももの前を伸ばすストレッチ
片足立ちした状態で、お尻とかかとをくっつけるように膝を曲げましょう。
お腹に力を入れ、曲げた膝を後ろに少し引いて太ももの前を伸ばします。
そのまま20秒間キープします。
片足立ちが不安定な場合、必ず何かに掴まりながら行ってください。
②太ももの裏を伸ばすストレッチ
仰向けに寝た状態で片方の太ももの裏を持ってお腹に近づけましょう。
足はなるべく伸ばしたまま限界まで近づけます。
そのまま20 秒間キープします。
③腹筋を鍛えるストレッチ
仰向けになり膝を立てた状態で、深く息を吸いながらお腹を膨らませましょう。
お腹が膨らみ切ったらゆっくりと息を吐きお腹をへこませます。
これを5~10回行います。
③背筋を鍛えるストレッチ
仰向けになり膝を立てた状態で、両手を体の横に伸ばします。
首から膝まで一直線になるように、お尻を持ち上げましょう。
そのまま20 秒間キープします。
紹介したストレッチは毎日行うことが大切です。
お風呂上りや寝る前など日常の中に取り入れましょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
腰痛の原因となるものを見つけることが腰痛の改善の近道です。
日々の介護を思い出し、原因となる動作やストレスを考えましょう。
見つかった原因に対して、紹介した5つの対策を適切にとることで症状が和らぎます。
痛みが続くようであれば、病院で診てもらうことも考えましょう。
無理をしないよう、腰痛予防に取り組んでみてください。