2025年問題とは、第二次世界大戦後の第一次ベビーブーム(1947~1949年)で生まれた人口比率の高い世代の全員が後期高齢者(75歳以上)に達することで生まれる様々な問題を指します。
第一次ベビーブームで生まれた世代は、団塊の世代と言われており、日本にはおよそ1000万人いると言われています。
グラフから見ても75歳以上の人口が突出していることがわかります。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2011/zenbun/html/s1-1-1-02.html
このような社会では、いったいどのような問題が生まれてくるのでしょうか?
次の章からは、実際すでに起こり始めている課題を紹介します。
目次
1.介護を取り巻く6つの問題
1-1.介護難民の問題
介護難民とは、介護を必要とする状態にもかかわらず、適切な介護サービスを受けられない人をいいます。
単に介護施設に受け入れてもらえないだけではなく、在宅でも適切な介護を受けられない状況です。
現状として、介護難民がどのくらいいるかという正確な数字は公表されていません。
しかし、特別養護老人ホームの実態を見ると介護難民の現状が少しわかります。
2019年4月1日時点で、全国に特別養護老人ホームの待機者は29.2万人です。
2015年に日本の人口問題などに取り組む「日本創生会議」は、2025年に全国で約43万人が介護難民になると試算しました。
さらに、43万人のうち13万人は東京圏で発生すると試算しています。
介護難民について詳しくはこちら
1-2.老老介護・認認介護の問題
老老介護とは、65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護している状態です。
老老介護は、夫婦間だけではなく、親子や兄弟の間でも行われています。
厚生労働省が平成29年に行った国民生活基礎調査によると、老老介護をおこなう世帯は、在宅介護のうち約5割です。
さらには、75歳を超える超老老介護をおこなう世帯は、全体の約3割を占めており、2025年に向かってこの数字は高まると予想されています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf
また、老老介護と一緒に認認介護という言葉を使うことがあります。
認認介護とは、認知症患者が認知症患者を介護している状態です。
お互いが認知症のため、介護どころではなく、事件や事故につながることもあります。
老老介護の状態では、お互いに認知症の自覚がないまま、認認介護になっていくことも少なくありません。
老老介護について詳しくはこちら
1-3.健康寿命の問題
現在の日本では、平均寿命と健康寿命の差が広がっていることが大きな問題となっています。
健康寿命とは、介護の手に頼らず暮らしていける年齢です。
2000年にWHO(世界保健機関)が提唱して以来、健康でいられる期間を伸ばすという健康寿命の指標が重視されています。
しかし、平均寿命は伸びているにもかかわらず、健康寿命は比例して伸びておらず、介護が必要な状態が長くなっています。
健康寿命について詳しくはこちら
1-4.医療の問題
厚生労働省の推計によると、2025年には医療費の保険給付金額が54兆円になると予想されています。
2019年からは約12兆円増える見通しです。
税の負担が若者にのしかかりますが、少子高齢化により賄いきれない可能性もあります。
さらには、病院と医師不足も問題になります。
特に地方では、病院をたらい回されることも少なくありません。
1-5.社会保障費の問題
少子高齢化に伴い、年金や医療・介護などの社会保障費が急増し、日本の財政の多くを占めるようになりました。
しかし、少子高齢化のため、税収は増えることなく今後は減少していくことが考えられます。
現状では、国の歳入のおよそ3割を国債の発行で補っているのです。
このまま少子高齢化が進めば、日本の年金システムが破綻すると多くの専門家は指摘しています。
2025年までに年金がなくなることは考えにくいですが、支給額の減少や支給年齢の引き上げは考えられます。
1-6.介護人材の問題
2018年に厚生労働省は、介護人材の増加が現状のままで推移した場合、2025年に介護職員が約34万人不足すると発表しました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207323.html
国が、介護離職者に対する復職支援や外国人労働者の受け入れなどの対策をしていますが、2025年に向けての人材確保の目途が立っていないのが現状です。
2.2025年に向けて私たちにできること
2-1.老後の貯蓄
今のうちから老後の資金を貯蓄しておきましょう。
比較的安価でサービスの充実している特別養護老人ホームは、常に入居待ちの状態です。
入居できない場合は、在宅介護か有料老人ホームなど別の施設を利用せざるを得ません。
1人暮らしをしていたり、高齢者夫婦で生活している場合、在宅介護は難しく施設への入居一択になります。
そのような事態になっても対応できるように、今のうちから老後について考え始めましょう。
2-2.セルフケアをする
介護が必要な状態にならないことが大切です。
「自分の生活はできるだけ自分で行う」を目標に、日々介護予防に取り組みましょう。
介護予防に取り組んでいく姿勢が大切です。
介護になる原因の20%以上は生活習慣病とも言われており、まずは日々の生活習慣を改善しましょう。
https://carers-navi.com/care-prevention
2-3.地方に移住する
2025年問題が発生する大半は、東京を中心とする首都圏と予想されています。
そのため、介護が必要な状態になる前に地方へ移住する選択も有効です。
また、現在の特別養護老人ホームに関しても、地方では比較的入居しやすい状態にあります。
3 .まとめ
いかがでしたでしょうか?
2025年までは残り4年しかありません。
問題の解決に向けて、一人一人ができることを今から始める必要があります。
また、2025年の次には2040年問題も控えています。
2040年には、高齢者数がピークを迎え、後期高齢者の割合が35%となると推計されています。
まずは、2025年に向けて私たちにできることを取り組んでいきましょう。