日本では、平均寿命と健康寿命の差が広がっていることが大きな問題となっています。
健康寿命とは、介護に頼らず暮らしていける年齢です。
しかし、平均寿命は伸びているが、健康寿命は比例して伸びておらず、介護が必要な状態が長くなっています。
自立した生活を続けるためにも対策をしていきましょう。
この記事では、要介護になるきっかけの上位4つを取り上げています。
目次
1.要介護とは
まず、要介護とは、65歳以上の高齢者もしくは40歳から64歳までの老化に伴う特定疾病の人に対し、市区町村から「介護が必要な状態」と認められた状態のことをいいます。
一方で要支援とは、ある程度の支援は必要な状態ではあるものの改善の見込みがある状態のことをいいます。
一般的に要介護と認定された方を要介護者、要支援と認定された方を要支援者といいます。
また、要介護認定において、介護も支援も必要ない状態と判断された場合は「非該当(自立)」という判定が出る場合もあります。その場合には、介護保険を使った介護サービス利用はできません。
各市区町村が審査をする「要介護認定」によって介護または支援が必要と判断された場合、その人の介護が必要な段階は7つに分けられます。
つまり要介護度はその人の介護が必要な度合い、状態がどのくらいの段階かを示したものです。
要介護とは介護が必要と認定された状態!要介護7つの段階を徹底解説
2.要介護になるきっかけ
続いて、介護が必要になるきっかけを見ていきましょう。
平成30年版高齢社会白書(内閣府)によると、介護が必要になった主な原因は、「認知症」が18.7%と最も多く、次いで、「脳血管疾患(脳卒中)」15.1%、「高齢による衰弱」13.8%、「骨折・転倒」12.5%となっていいます。
また、男女別にみると、男性は「脳血管疾患(脳卒中)」が23.0%、女性は「認知症」が20.5%と特に多くなっています。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html
1つ1つのきっかけを詳しく見ていきましょう。
2-1.認知症
認知症とは厚労省によると、「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」のことを指します。
しかし、1998年の調査では、認知症は10.1%しかなく、介護になる原因の4位でした。
この増加の背景には、認知症が広く一般に知られるようになり医療機関への受診が進んだことや平均寿命が伸びたことなどが考えられます。
2-2.脳血管疾患(脳卒中)
脳血管疾患とは、脳の血管のトラブルにより脳細胞が破壊される病気の総称です。
具体的には、「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」が挙げられます。
また、脳血管疾患(外傷性を除く)は公的介護保険制度の特定疾病に指定されおり、 40~64歳の方でも発症した場合は要介護認定の対象です。
さらに、高齢者の主な死因として、「ガン」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」になっています。
2-3.高齢による衰弱
高齢による衰弱はフレイル状態とも言われています。
フレイルとは、『加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態』です。
高齢者の多くは、フレイルの時期を経て、徐々に要介護状態に陥るとされています。
フレイルの症状として、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になります。また、死亡率の上昇や身体能力の低下も発生します。
2-4.骨折・転倒
転倒による骨折も要介護になる要因となります。
高齢になると、骨がもろくなりやすく、少し転倒しただけで、骨折に繋がってしまいます。
高齢者の転倒の要因として以下のようなことが考えられます。
1つ目は、病気や疾患です。
病気や疾患により、身体機能の低下や麻痺など体が思うように動かせなくなると転倒の可能性は大きくなります。
2つ目は、加齢による筋力・身体機能の低下です。
病気や疾患がない場合でも、年齢を重ねるにつれ、筋力や身体機能は低下します。
病気や疾患がないからといって昔と同じように生活していると危険です。
3つ目は、薬による副作用です。
薬による副作用によって眠気やふらつきが現れることがあります。
事前に副作用の有無を把握して、服用後はより一層の注意をしましょう。
3.要介護状態にならないためにできること
3-1.認知症は、食事管理と禁酒・禁煙
3-1-1.飲酒、喫煙をやめましょう
喫煙は、喫煙は脳を委縮(小さく)させると言われています。
また喫煙者の脳は同年齢の非喫煙者よりも萎縮しています。
萎縮の進行度合いは 5~10 歳年上の非喫煙者と同等と言われています。
また、同様に飲酒でも脳を萎縮させることが、アメリカ・ウェルズリー大学の研究チームによって示されました。
昔は、「酒は百薬の長」という言葉もありましたが、現在は否定されつつあります。
出典:https://style.nikkei.com/article/DGXDZO39490270Q2A310C1MZ4001/
3-1-2.糖尿病と高血圧になるような食事を避ける
糖尿病はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症引き起こします。
また高血圧による動脈硬化は脳血管性認知症のリスクを高めます。
食事の内容を炭水化物中心から低糖質、低塩分にするとよいでしょう。
様々な栄養素を含む食品をバランスよく摂りましょう。
少しずつ、食生活の習慣を見直して行くことをおすすめします。
また、ご自身で料理をすることで認知症予防の効果があると分かっています。
出典:国立国際医療センターhttp://dmic.ncgm.go.jp/content/070_060_01.pdf
3-2.脳血管疾患(脳卒中)は生活習慣を整える
生活習慣を整えることが最大の予防に繋がります。
脳血管疾患の原因には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が基礎疾患としてある場合が多く、生活習慣が深く関わっています。
〇高血圧から脳血管疾患へ
高血圧の場合は、血管に強い圧力がかかり、脳内の細い動脈が破れて脳出血を起こす原因となります。
〇動脈硬化から脳血管疾患へ
動脈硬化による血管の弾力の低下などにより、動脈が血液の圧力に耐えられず脳血管疾患を起こす原因となります。
〇脂質異常症から脳血管疾患へ
食生活に気を付けないで、動物性脂肪と取りすぎると脂質異常症を発症してしまいます。
血管の壁に脂肪が溜まることで血管が詰まって脳梗塞が引き起こされます。
そのため、健康的な食事や日々の運動、ストレスのためない生活を送ることが最大の予防です。
3-3.高齢による衰弱は、栄養をとることが大切
低栄養こそがフレイルの最大の原因です。
高齢になると、誰でも食が細くなりますよね。
そうすると、少量の食事で満腹になってしまったりして、十分な栄養が取れていないことがあります。
特に、一人で暮らしていると、食事の品目も減り、食材も減り、食欲もわかないということが起きがちです。
そこでオススメなのが、誰かと一緒に食事をとることです。
月に1回は家族や親戚と食事をとることや地域の仲間と食事をすることで、食欲もわき、栄養もとれるようになります。
特に体を作ると言う意味で、少量でもバランスのいい食事を摂ること、特にタンパク質やカルシウムを多く含む食品(肉や乳製品など)を積極的に摂るようにしましょう。
3-4.骨折・転倒は住環境の整備
東京消防庁の調査によると、転倒の50%以上が屋内で発生してることが分かっています。
わずかな段差でも転倒の要因になってしまいます。
そのため、住居環境の整備は欠かせません。
階段や廊下、トイレ、浴室などに手すりの取り付けや玄関や浴室などの段差や傾斜を解消、滑りの防止のため床の張替などが必要になります。
ご自宅の中でどこに問題があるか確認しましょう。
また、介護保険の制度には在宅介護に必要な住宅改修費が含まれています。
これは、介護のための住宅改修を支援する仕組みです。
上記に挙げた住宅改修を行う場合、工事費用の7~9割が支給されます。(工事費用の上限20万円まで)
〇介護保険の対象となる主な6つの工事
手すりの取り付け
段差の解消
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
引き戸等への扉の取替え
洋式便器等への便器の取替え
その他上記の住宅改修に付帯する工事
https://carers-navi.com/jutakukaisyu
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
要介護になる原因は、「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」の4つが上位を占めています。
一度、要介護状態になってしまうと、自立の状態に戻ることは難しいです。
日々の生活を改め、健康寿命を伸ばすことを意識しましょう!
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