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要介護とは介護が必要と認定された状態!要介護7つの段階を徹底解説

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「要介護認定をされたけどそもそも要介護ってなに・・・・」

「要介護ってどんな状態・・・」

あなたは今こんな悩みを抱えていませんか?家族・親戚が要介護状態になった。と聞いてもぱっとしない方も多いはず。

要介護状態とは市区町村から「介護が必要な状態」と認められた状態のことをいいます。さらに要介護度には状態によって7つの段階があり、それぞれの段階によって利用することができる介護サービスも変わります。

せめて要介護度ごとの段階の特徴、介護保険のサービスをどれくらい利用できるのかを知りたいですよね。

そこで今回は要介護度の7つの段階を丁寧に解説するともに、要介護認定を受けてから利用することができる介護サービスについても詳しく解説しました。

後半では、要介護認定の結果に納得出来ないときの対処法も解説しています。
ぜひ最後までご覧になってください。

この記事を読むことで、要介護度それぞれの段階を知ることができるとともに、要介護者を介護するために必要な知識を得ることができます。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。
では解説していきます。

1. 要介護とは

要介護とは65歳以上の高齢者もしくは40歳から64歳までの老化に伴う特定疾病の人に対し、市区町村から「介護が必要な状態」と認められた状態のことをいいます。

一方で要支援とは、ある程度の支援は必要な状態ではあるものの改善の見込みがある状態のことをいいます。一般的に要介護と認定された方を要介護者、要支援と認定された方を要支援者といいます。

また、要介護認定において、介護も支援も必要ない状態と判断された場合は「非該当(自立)」という判定が出る場合もあります。その場合には、介護保険を使った介護サービス利用はできません。

各市区町村が審査をする「要介護認定」によって介護または支援が必要と判断された場合、その人の介護が必要な段階は7つに分けられます。つまり要介護度はその人の介護が必要な度合い、状態がどのくらいの段階かを示したものです。

次から要介護度の7つの段階を解説していきます。

2. 要介護7つの段階

要介護には7つの段階があります。それぞれの段階をまとめたのが以下の表の通りです。状態別に、要支援1〜要介護1、要介護2〜要介護3、要介護4、要介護5と一つずつ詳しく解説していきます。

2-1. [軽度]要支援1、2、要介護1

要介護状態の中でも初期の介護状態、介護予備軍といえるのが要支援1と要支援2、要介護1です。

要支援とは、日常生活を一人で過ごす能力は基本的にあるものの、排泄や入浴などで一部支援が必要な状態であり、介護予防サービスを受けることで生活機能の維持や改善が見込まれる状態を指します。

要介護1の場合は、歩行や立ち上がりが時々不安定で介助が必要、食事や排泄はほとんど自分でできるが時々介助が必要という状態です。

要支援と要介護の状態については、明確な線引きがあるわけではなく、実際に同じような状態であっても、要支援2に認定されたり、要介護1に認定されたりするといった場合もあります。

要支援者が利用するサービスは介護予防サービス(ホームヘルパーやデイサービスは総合事業)、要介護者が利用するサービスは介護サービスと区分されます。要支援者と要介護1の方は、福祉用具のレンタルは基本的に対象外ですが、特別な理由がある場合のみ認められることもあります。

2-2. [中度]要介護2と要介護3

要介護2と要介護3は排泄や入浴だけでなく立ち上がりや起き上がりにも介助が必要な状態、また、認知症による問題行動が見られることがある状態のことを指します。
要介護2以上になると自宅で家族だけで介護するのが難しい状況となります。

これまでは介護サービスを何も利用していなかった場合でも、要介護2以上になると、何らかのサービス利用を開始するケースが多くなります。
要介護2以上では、福祉用具(たとえば、車いすや介護用のベッド、杖など)のレンタルは全て利用できます。

要介護3以上になると特別養護老人ホーム(特養)に入所することができますが、入所判断は申し込み順ではなく重度で緊急性の高いケースが優先されますので、要介護3での入所は難しい場合もあります。

>>>関連記事「要介護2は排泄や入浴に介護が必要な状態|要介護2の介護費用を解説

2-3. [重度]要介護4

要介護4は歩行が自分だけではできず、排泄や、入浴、衣服の着脱など、多くの日常生活の言動行為において、全介助が必要な状態のことを指します。

また意思の疎通がとれなくなったり、問題行動が見られたりすることがある状態です。要介護4となると施設への入所を検討する方も多くなりますが、在宅で介護サービスをうまく使って、在宅生活を維持されている方もたくさんいらっしゃいます。

なお、在宅で利用できるサービスには、”泊り”と”通い”と”訪問”の機能を全てもっていて同じスタッフが適宜対応してくれるサービスや、定期的に介護スタッフが巡回してくれるサービスなどが充実してきていますので、そういったサービスを活用することで無理のない在宅生活を送ることもできます。

ただし、夜間の頻繁なトイレ介助や、認知症による頻度の高い徘徊などが出てきた場合などを在宅生活の限界点とされることもあります。ご本人の意向だけでなく、ご家族の負担も考慮して入所を判断することが必要です。

どちらにしろ、ご本人とご家族でしっかりと話し合い、皆で協力していくことがさらに必要となります。

2-4. [最重度]要介護5

介護状態のなかで、最も重度の介護が必要な状態が要介護5です。
要介護5は介護なしに日常生活を営むことがほぼ不可能な状態で、意思伝達も困難になります。

要介護5となると寝たきり状態になることが多く、*床ズレを起こすリスクもあるため、定期的な体位変換(寝ている身体の向きを変えること)が必要になります。

*床ズレ・・マットや布団、車椅子などと接触する部分の皮膚が、長い時間、続けて圧迫されて血流が悪くなり、その結果、皮膚や皮下組織、筋肉などへ酸素や栄養が行きわたらなくなり、死んでしまった状態(壊死)になること

食事は流動食に頼ることも多く、排泄や入浴においても自分だけの力では不可能で、誰かの介護が必ず必要になります。

要介護5では専門的なケアが24時間体制で必要になります。
そのため、施設への入所を検討する場合が多くなります。

以上が7段階の要介護状態になります。

介護保険を使って利用できるサービスはいろいろありますが、要介護度によって利用できるサービスが異なります。次から詳しく解説していきます。

3. 要介護度と介護保険のサービス

ではここから、要介護度と介護保険のサービスの関係について、解説していきます。

3-1. 介護保険のサービスを利用できる対象者

公的介護保険の対象者は要介護認定を受けた65歳以上の高齢者もしくは40歳〜64歳で老化が原因の疾患、*特定疾病で介護が必要になった方です。

*特定疾病とは?
「特定疾病」は以下のとおりです。
1. 末期がん(医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
2. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
3. 後縦靭帯骨化症
4. 骨折を伴う骨粗しょう症
5. 多系統萎縮症
6. 初老期における認知症
7. 脊髄小脳変性症
8. 脊柱管狭窄症
9. 早老症
10. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
11. 脳血管疾患(外傷性を除く)
12. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
13. 閉塞性動脈硬化症
14. 関節リウマチ
15. 慢性閉塞性肺疾患
16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症40歳から64歳の方は、これらの疾病により介護が必要となった場合のみ、給付の対象となることができます。

ポイントは「要介護認定を受けている」という点で、要介護認定を受けていなければ、*公的介護保険を利用することができません。

*公的介護保険とは・・・介護が必要になっても住み慣れた地域で、できる限り自立した生活がおくれるよう、介護を社会全体で支えようという趣旨で2000年に設立された社会保険のこと。

要介護認定を受けるには、まずは*地域包括支援センターに連絡し、手続きを行いましょう。

*地域包括支援センターは、各市区町村が管轄する機関です。
地域包括支援センターは介護の相談先として利用することができます。
市区町村によって名称が違う場合もありますが、 “親”が住んでいる地域で、「地域包括支援センター ○○市」とインターネットで検索すれば担当のセンターが簡単に見つかりますので、お住いの地域のセンターを調べてみましょう。

3-2. 介護保険を利用し、受けることができるサービス一覧

公的介護保険を活用して受けることができるサービスは以下の通りです。

公的介護保険を利用して受けることができるサービス

自宅に訪問してもらって受けるサービス
訪問介護

(ホームヘルプサービス)

ホームヘルパーが自宅を訪問し身の回りの介護や生活援助を受ける

要支援者は市区町村が主体で実施する訪問系サービスを利用する

訪問入浴介護 自宅を訪問する巡回入浴車で、入浴の介護を受ける
訪問看護 自宅で看護師・保健師などから療養上の介護や診療の補助を受ける
訪問リハビリテーション 自宅で理学療法士・作業療法士からリハビリ指導を受ける
居宅療養管理指導 自宅で医師・歯科医師・薬剤師などから療養上の管理・指導を受ける

日帰りで施設などに出かけて受けるサービス
通所介護(デイサービス) デイサービスセンターなどに通い、入浴・食事・日常生活訓練などを受ける

要支援者は市区町村が主体で実施する通所系サービスを利用する

通所リハビリテーション(デイケア) 老人保健施設や医療施設などに通い、医療的ケアや機能訓練を受ける
宿

短期間、施設などで生活(宿泊)しながら受けるサービス
短期入所生活介護

(福祉施設へのショートステイ)

特別養護老人ホームなどに短期間入所し、入浴、排せつ、食事などの世話や機能訓練を受ける
短期入所療養介護

(医療施設へのショートステイ)

介護老人保健施設などに短期間入所し、医学的な管理のもと、介護や機能訓練を受ける

施設に入居して受けるサービス
介護老人福祉施設

(特別養護老人ホーム)

常時介護が必要で、自宅での生活が困難な人に、介護や機能訓練、療養上の世話を行う施設

要介護3~要介護5のみ利用できる

介護老人保健施設

(老人保健施設)

症状の安定した人に、看護やリハビリを中心とした医療ケアと介護を行う施設

要介護1~要介護5のみ利用できる

介護療養型医療施設

(療養型病床型)

長期にわたる療養や介護を行う医療施設

要介護1~要介護5のみ利用できる

介護医療型 医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えた施設

要介護1~要介護5のみ利用できる

特定施設入居者生活介護 有料老人ホームなどに入居し、施設が提供する入浴・排泄・食事等に係る介護や機能訓練を受ける
小規模多機能型居宅介護 一つの拠点で訪問、通所、短期入所の全てのサービスを提供する
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 日中・夜間を通じて1日複数回の定期訪問と緊急時の随時訪問による介護と看護を一体的に提供する
福祉用具貸与(レンタル) 特殊ベッドや車椅子など、日常生活の自立を助けるための福祉用具を借りる

要介護2~要介護5のみが対象。

要支援、要介護1の場合も、やむを得ない事情がある場合は認められる。

福祉用具購入費の支給 特殊尿器や入浴補助用具など、レンタルに馴染まない福祉用具の購入費の支給を受ける
住宅改修費の支給 手すりの設置や段差の解消など、住宅改修費の支給を受ける
居宅介護支援

(サービス計画の作成)

ケアマネージャーにケアプランを作成してもらう

要支援者は、地域包括支援センターもしくは地域包括支援センターが委託したケアマネージャーがケアプランを作成する

しかし、介護に関わること全てにが介護保険を利用できるわけではありません。介護保険には以下のように介護に関わることではあるけれども、対象外となるものがあります。

・要介護者のペットの世話
・同居家族の食事の用意、衣類の洗濯
・要介護者以外の部屋の掃除
・施設などへの送迎
・金銭の管理
・趣味など日常生活になくても支障がない買い物
・庭の草むしり
・話し相手
・大掃除や模様替えの手伝い
・外食や観劇、旅行への付き添い
・来客への応対、留守番など

以上にもあるように、基本的に「本人の生活に直接必要性がない援助」「本人以外の人にもかかわる援助」「専門知識を必要とする医療行為」「ケアプラン、サービス内容に含まれていない援助」などは介護保険の対象外となります。希望する場合は、介護保険適用外のサービスとして依頼するようにしましょう。

3-3. [要介護度別]介護サービスの自己負担

介護保険を利用する最大のメリットは、介護サービスを利用する時に、利用料金の一部(7割~9割)を賄うことができるということです。

公的介護保険のサービスの支給限度額は以下の表の通りです。
ホームヘルパーやデイサービス、福祉用具のレンタルなどの費用を合計した金額が、この支給限度額以内であれば、自己負担金額はそのうちの1割~3割(所得状況に応じて決まる)の負担となります。
なお、支給限度額を超えてサービスを利用した分については、全額自己負担となります。

公的介護保険サービスの支給限度額(1ヶ月)

要介護状態区分 1ヶ月の支給限度額 利用者負担(月額)
要支援1 5,003単位(50,030円) 支給限度額の範囲内で、原則として
サービスにかかった費用の1割~3割を負担します。
要支援2 10,473単位(104,730円)
要介護1 16,692単位(166,920円)
要介護2 19,616単位(196,160円)
要介護3 26,931単位(269,310円)
要介護4 30,806単位(308,060円)
要介護5 36,065単位(360,650円)

上記は、地域単価が1単位10円の場合です。

地域やサービスによって1単位あたりの単価は異なります(10円~11.4円)。

*福祉用具購入費、住宅改修費については個別に限度額が決められており、上記表の支給限度額には含まれません。
福祉用具購入費:1年間10万円まで(自己負担割合が1割の場合、自己負担額は1万円)
住宅改修費:同一住宅20万円まで(自己負担割合が1割の場合、自己負担額は2万円)となります。

たとえば、要介護3の方(支給限度額:269,310円)がデイサービスやホームヘルパーを利用して、その利用額の合計が150,000円であった場合における自己負担額は、自己負担割合が1割であれば15,000円、2割であれば30,000円となります。

次に、自己負担割合1割で要介護2の方(支給限度額:196,160円)が1ヶ月に25万円の介護サービスを利用した場合の自己負担額を計算してみます。まず、25万円の利用額のうち、支給限度額は196,160円ですので、53,840円超過しています。この53,840円は全て自己負担になります。

また、支給限度額内については、自己負担割合1割のため19,616円が自己負担となります。したがってこの場合の自己負担額合計は19,616円+53,840円=73,456円となります。

上記図のうちの、介護保険から支払われる176,544円(①)については、利用した介護サービス事業所に直接支払われることになります。

介護保険を利用することで、自己負担額を少なく、介護サービスを利用することができます。介護状態(要介護度)により、それぞれ月々に使える支給限度額が違うので注意が必要です。

>>>関連記事「親の介護が始まった!必ず申請する公的介護保険について解説!

4. 要介護認定に納得出来ない時の対応を2パターン紹介

これまで紹介してきたことからもわかるように、要介護度が1段階違うだけで介護保険サービスの支給利用限度額や利用できるサービスの種類、利用できる施設も異なります。

要介護認定の更新をした時に、要介護から要支援になった場合に、それまで受けていた介護サービスが利用できなくなることもあります。

また、要介護認定で非該当(自立)と判定されると介護保険給付の対象から外れるため、それまでと同じサービスを利用したとすれば、全額自己負担になるなど、今後の介護体制に大きな影響を与えるでしょう。

そのため、要介護認定の結果が、明らかに例示されている状態区分とかけ離れており,不服がある場合は、申し立てをすることもできます。ここではその申し立ての2パターンを紹介します。

4-1. 介護保険審査会に不服申し立てをする

認定結果に不服がある場合は、都道府県ごとに設置されている「介護保険審査会」という第三者機関に「審査請求(不服申し立て)ができます。

認定の通知を受けた翌日から起算して3か月以内に申請する必要があるので注意してください。

審査請求できるのは原則として被保険者本人ですが、代理人に委任して請求することもできます。
判定が妥当であるかどうかが検討され、必要であれば要介護認定をやり直すことになります。

ただし、「介護保険審査会に不服申し立てをする方法」は審査結果が出るまでに数ヶ月ほど待たなくてはいけません。そのため、「区分変更を申請する」という方法を紹介します。

4-2. 区分変更を申請する

区分変更は認定後に心身の状態が変わった場合に、次の更新(次の更新までの期間は3〜36ヶ月ほど)を待たずに認定調査する方法です。

流れとしては、区分変更の申請をすることで、再度認定調査を受け、主治医に意見書を発行してもらい、介護審査会を通して新たな要介護度が決定するというものです。

今までは要介護1の認定を受けていた母親が急に要支援2と認定され、これまで使っていたサービスを利用できなくなり、息子が新たに区分変更を申請したところ、当初の要介護1に戻り、親子ともに安心感を取り戻すことができたという事例もあります。

区分変更をしたい場合は担当のケアマネージャーか地域包括支援センターに相談するようにしましょう。

ただし「区分変更」は、あくまで「状態変化があった場合」に利用する制度です。
認定結果に不服があるからといって、必ず区分変更申請を受け付けしてもらえるものではありません。

また、「不服申し立て」であれ「区分変更」であれ、必ずしも希望する要介護認定がおりるというものではなく、あくまでも”認定結果”と”実際の状態”に「ズレ」がある場合において救済措置となる可能性がある手段も用意されている、と理解しておきましょう。

5. まとめ

いかがだったでしょうか。要介護度は介護や支援が必要な状態ごとに7つの段階がありました。
段階ごとに利用できるサービス、介護保険の支給限度額などに違いがありました。

もし、要介護認定の結果に不服があるときは、不服を申し立てることができる制度があること、また、介護の状態に変化があったときは、区分変更を申請することもできる、ということを知っておきましょう。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

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