2025年には、全国で約43万人が介護難民になると予想されていることはご存じでしょうか?
介護難民とは、介護を必要とする状態にもかかわらず、適切な介護サービスを受けられない人をいいます。
単に介護施設に受け入れてもらえないだけではなく、在宅でも適切な介護を受けられない状況です。
また、平成31年1月で要介護(要支援)認定者数は、656.0万人と平成15年から約1.5倍以上介護が必要な人が増加しています。
介護難民にならないためには、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか?
この記事で見ていきましょう。
目次
1.介護難民の現状
現状として、介護難民がどのくらいいるかという正確な数字は公表されていません。
しかし、特別養護老人ホームの実態を見ると介護難民の現状が少しわかります。
2019年4月1日時点で、全国に特別養護老人ホームの待機者は29.2万人です。
2015年に日本の人口問題などに取り組む「日本創生会議」は、2025年に全国で約43万人が介護難民になると試算しました。
さらに、43万人のうち13万人は東京圏で発生すると試算しています。
誰もが平等に受けられるはずの介護サービス。
一体なぜ、介護難民が発生してしまうのでしょうか?
次の章で原因を考えていきましょう。
2.介護難民が発生してしまう原因
介護難民が発生してしまう原因は大きく3つ考えられます。
2-1.少子高齢化問題
一番大きな理由は少子高齢化問題です。
日本の人口は年々減少しているにもかかわらず、高齢者の人口は増加し続けています。
2025年には人口の3割、2060年には人口の4割を占めると予想されています。
このように、少子高齢化を迎える日本は、肩車型社会というかつて経験したことのない社会に突入しようとしています。
肩車型社会とは、高齢者1人を支える現役世代が限りなく1人に近づいた社会です。
2060年頃には高齢者1人を支える現役世代の人数は1.3人になると予想されています。
このような社会では、介護職の人材不足や、働く現役世代の税負担が大きくなり介護サービスを全ての人が受けることが困難になることが予想できます。
2-2.介護職の人材不足
2つ目の原因として、介護職の人材不足が考えられます。
介護労働安定センターによると、介護施設で従業員が不足していると感じている施設は、全体の56.5%と過半数超えています。
このような介護職の人材不足は、少子高齢化による労働人口の減少だけが理由ではありません。
ハードな仕事に対して低賃金であるため、「介護労働実態調査」によると、介護業界の離職率は15.4%となっており、働く環境の改善が急務となっています。
2-3.収入格差
貯蓄がなく、年金だけで生活をしている生活困窮者にとっては、介護サービスを受けるための費用自体が負担となり、サービスを受けられないということもあります。
介護サービスは、世帯年収により1~3割負担となっていますが、家賃や食費などの生活費でぎりぎりの生活をしている場合にはサービスの利用は難しいです。
このような収入の格差も介護難民と関係しています。
3.介護難民にならないためにできる3つの対策
3-1.老後の貯蓄
今のうちから老後の資金を貯蓄しておきましょう。
比較的安価でサービスの充実している特別養護老人ホームは、常に入居待ちの状態です。
入居できない場合は、在宅介護か有料老人ホームなど別の施設を利用せざるを得ません。
1人暮らしをしていたり、高齢者夫婦で生活している場合は。在宅介護は難しく施設への入居一択になります。
そのような事態になっても対応できるように、今のうちから老後について考え始めましょう。
3-2.セルフケアをする
介護難民にならないためには、介護が必要な状態にならないことが大切です。
「自分の生活はできるだけ自分で行う」を目標に、日々介護予防に取り組みましょう。
介護予防に取り組んでいく姿勢が大切です。
介護になる原因の20%以上は生活習慣病とも言われており、まずは日々の生活習慣を改善しましょう。
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3-3.地方に移住する
介護難民が発生する大半は、東京を中心とする首都圏と予想されています。
そのため、介護が必要な状態になる前に地方へ移住する選択も有効です。
また、現在の特別養護老人ホームに関しても、地方では比較的入居しやすい状態にあります。
4.特別養護老人ホームに早く入居する方法とは
4-1.利用する病院やサービスに注意する
特別養護老人ホームは、医療法人や社会福祉法人によって運営されています。
そのため、特別養護老人ホームを運営する病院や社会福祉法人のサービスを利用することで、介護状況などがより明確に伝わり、入居できる可能性が高まります。
4-2.新設の施設を狙う
今後、新設が予定されている施設を狙うのも一つの方法です。
オープンに合わせて入居者を募るため、入居できる可能性が高いです。
そのためにも、日々の情報収集が欠かせません。
地域包括支援センターやケアマネはそういった情報を早くから入手していますので、あたってみましょう。
4-3.複数の特別養護老人ホームに登録
複数の特別養護老人ホームに登録することも有効です。
一つしか登録してはいけないというルールはないため、同時に複数に登録しておきましょう。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
2025年には、全国で約43万人が介護難民になると予想されています。
あなたが介護難民にならないためには、介護が必要になる前から準備しておく必要があります。
介護の準備については、こちらの記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
http://carers-navi.com/care-preparation