アルコール性認知症はどんな病気?
高齢者以外もアルコール性認知症になる?
アルコール性認知症は治せる?
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
アルコール性認知症とは、アルコールの大量摂取により、脳梗塞や栄養障害などを起こし発症する認知症です。
コロナ禍の影響もあり近年では、アルコール依存症の高齢者が増えています。
久里浜医療センターの調査によると、65歳以上のアルコール依存症は20年以上増え続けています。
また、アルコール依存症患者の高齢者の割合は、1990年代は10%未満でしたが、2011年には20%以上に達しました。
出典:https://kurihama.hosp.go.jp/
このような背景からも、アルコール性認知症についての学びを深めていきましょう。
目次
1.アルコール性認知症とは
アルコール性認知症とは、アルコールの大量摂取により、脳梗塞や栄養障害などを起こし発症する認知症です。
脳梗塞によって起こる認知症は血管性認知症と呼ばれ、栄養障害による認知症にはウェルニッケ・コルサコフ症候群と呼ばれるものがあります。
ウェルニッケ・コルサコフ症候群は、アルコールの大量摂取により、ビタミンB1が不足してウェルニッケ脳症を発症します。
また、アルコール依存症の人は、脳が萎縮している場合が多く、大量の飲酒は認知症リスクを高めてしまうと考えられています。
1-1.アルコール性認知症になりやすい人
高齢者はアルコール性認知症になりやすいと言われています。
加齢により脳の機能が低下している状態で、アルコールを大量に摂取することで脳の萎縮が進み認知症のリスクを高めてしまいます。
実際に、アルコール依存症の高齢者は20%を占め、そのうち、40%もの人に認知症状が見られています。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/alcohol/sympo/dl/siryou-01.pdf
1-2.高齢者は認知症を合併してしまう可能性も
複数の認知症を合併することを混合認知症と言います。
混合型認知症とは、異なる種類の認知症が2つ以上併発することを指します。
例えば、アルツハイマーの方がアルコールを大量に摂取してしまい、アルコール性認知症を合併してしまうなどが考えられます。
2.アルコール性認知症の症状
2-1.記憶障害
記憶障害の症状は、薬を飲み忘れたり、二重に飲んでしまう、すぐに言われたことを忘れてしまう、今何しているかわからなくなる、質問を繰り返すなどです。
体験全体を忘れることから、話しのつじつまが合わなかったり、作り話をしてしまうこともあります。
また、ものを誰かに盗られたと思い込む、抗うつ状態を引き起こすことも少なくありません。
https://carers-navi.com/memory
2-2.見当識障害
見当識とは、時刻や日付、場所、周囲の状況などを判断する能力であり、その能力が低下するのが見当識障害といいます。
見当識障害の症状には、時間・場所・人物の3種類があります。
①時間がわからない
時間の見当識障害では、年月日や季節など、時間感覚がわからなくなります。
日付や時間を間違えることに加え、季節や朝・昼・夜の認識がわからなくなる症状です。
②場所がわからない
場所の見当識障害では、道順がわからなくなり、場所への認識も薄れます。
そのため、外出すると自分がいる場所がわからず、家に帰ることが困難になる症状です。
③人物がわからない
症状が進んでいくと、家族や親戚、友人など人物の認識ができなくなります。
見覚えがある顔でも、相手と自分の関係を思い出せません。
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2-3.アルコール依存症と同じ様な症状
アルコール依存症と同じ様な症状が現れます。
症状の例としては、ふらつきや抗うつ症状、幻覚・幻聴などがあります。
飲酒の制御が困難なため、よくないとわかっていても飲酒をしてしまいます。
3.アルコール性認知症の改善方法
3-1.まずは、断酒をしましょう。
まずは、お酒を断ちましょう。
アルコールによって萎縮してしまった脳は、断酒をすることで回復する可能性があります。
自制が難しい場合は、アルコール外来への通院や施設への入院も検討しましょう。
アルコール外来では、抗酒薬と言われる薬が処方されることが多いです。
3-2.生活習慣を見直しましょう
生活習慣を見直すには、運動・睡眠・食事が大切です。
①運動
自分の体調と生活習慣に合った方法を取り入れましょう。
この記事を読んでいきなり激しい運動をすると、かえって心筋梗塞を引き起こす原因になってしまいます。
以下のような簡単にできる運動や体操を日常生活に取り入れてみましょう。
・ウォーキング
・スロージョギング
・笑いヨガ
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②睡眠
近年では、睡眠不足によってインスリンの分泌が減ることがわかっています。
また、睡眠不足はストレスや食欲不振、運動不足などにつながってしまいます。
7〜8時間の睡眠をとるとることを目標に十分な睡眠を取りましょう。
③食事
食事の内容を炭水化物中心から低糖質、低塩分にするとよいでしょう。
また、様々な栄養素を含む食品をバランスよく摂りましょう。
3-3.ストレスをアルコールで発散しない
ストレスをアルコールで発散しないようにしましょう。
ストレスがかかっている状態では、眠れなくなったり、食欲不足または暴飲暴食など生活習慣に乱れを招きます。
結果的に免疫力の低下や他の生活習慣病の原因を促進してしまいます。
ストレスを定期に発散できる習慣を作りましょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
アルコール性認知症は、アルコール依存症と密接に関係があります。
そのため、高齢者だけでなく、若者も発症してしまう可能性もあります。
飲みすぎではないかと心当たりのある場合は、飲酒の量をこの機会に改めてみてください。