「介護を兄弟姉妹の間でうまく分担できないのかなあ」
あなたは今こんな悩みを抱えていませんか?
親の介護は想像以上に辛く、身体的にも精神的にも非常に大変であるかと思います。
せめて兄弟姉妹にちょっとでも親の介護を手伝ってくれたら嬉しいですよね。
事実、兄弟姉妹でうまく連携を取りながら「みんなで介護をする」という体制をとっている家族は上手に親の介護ができています。
親の介護を息子、娘である、兄弟姉妹が協力して、みんなで助け合いながら介護ができたら理想的ですよね。
そこで、今回の記事では介護をする時に兄弟姉妹で話し合う5つのことを用意しました。
この話し合う5つのことを参考に、すぐに兄弟姉妹に連絡を取り、親の介護について話してみましょう。
さらに後半では実際に兄弟姉妹で介護を協力してできた体験談や兄弟姉妹で全く協力できず法定騒動にまでなった体験談も合わせて紹介しました。
この体験談を見て、ぜひ自分ごとのように考えてみてください。
この記事を読むことで、兄弟姉妹の間で介護の何を話し合えばいいのかが簡単にわかります。
兄弟姉妹で連携をとり、お互いに納得して親の介護をしてほしい。という思いでこの記事を書きました。
すこしでも参考になれば幸いです。
では解説していきます。
目次
1. 介護をするときに兄弟姉妹で話し合う5つのこと
親が高齢になった、親の介護がいざ始まるという前に、兄弟の間で親の介護について話し合い、お互いの意見、思いを共有しておく必要があります。
介護が始まった後に兄弟姉妹の間で価値観や考えが違い、もめてしまったケースや兄弟姉妹が全く介護に協力してくれないということがよくあるからです。
今から紹介する7つのことを参考に、兄弟姉妹の間で親の介護について、話し合うようにしましょう。
1-1. 誰が主として介護をするのかを話し合う
親の介護を率先して担当する「主たる介護者」に兄弟姉妹の中で、誰がなるかをまずは決めておく必要があります。
家族、兄弟姉妹といっても、住んでいる場所や介護に関われる時間にはそれぞれ違いがあります。そのため、どうしても誰かが介護の中心的役割を担う必要があるからです。
「主たる介護者」は親の緊急時に何かあった時の対応をしたり、親に常に付き添う存在となります。介護の相談窓口の地域包括支援センターで親の介護について相談をすると「主たる介護者は、どなたになりますか?」といった質問もされます。
主たる介護者は要介護者となる親に距離的、心情的に一番近い存在である子どもが担うのが一般的です。
親の意見も聞きつつ、兄弟姉妹の間で誰が親の「主たる介護者」になるかを決めるようにしましょう。
1-2. 親のお金の管理は誰がするのかを話し合う
認知症や施設に通うようになると、親は自分でお金を管理することが困難になります。
そのため、あらかじめ親のお金の管理を誰が管理するのかを決めておくようにしましょう。
「主たる介護者」が親のお金を兄弟姉妹に無断で利用したりするといったケースもあります。
親の介護費用は領収書をとっておいて、常に記録し、他の兄弟姉妹にしっかりと共有したり、アプリなどを活用し、親の口座から引き落としがあるものは他の兄弟姉妹に連絡がいくようにしている家族もあります。
「主たる介護者」がお金を管理、周りの兄弟姉妹がそれを監視すると分担するのがオススメです。
親のお金周りのことは兄弟姉妹間で特に揉め事になりやすいです。誰が親の管理をするのか、全員が納得するまで話し合うようにしましょう。
管理する側も周りの兄弟たちに逐一、親のお金の収支などを報告し、揉め事にならないようにすることが大切です。
1-3. 兄弟姉妹の間で経済的支援の分担を話し合う
親の貯金がほとんどなく、親の介護をするとなった時、親の介護費用をどのように兄弟姉妹の間で負担するのかもあらかじめ確認しておくようにしましょう。
兄弟姉妹の間での揉め事で一番多いのは「介護費の負担をどうするか」です。
法律上は長男、次男、長女、次女の区別なく、みんなが同じように金銭面で、親を扶養する義務を負っています。同居の子と別居の子がいる場合も、同居の子だけが親を看なければいけないわけではありません。
例えば、長男(主たる介護者)、次男、長女の3人の子供の家族構成で、親の介護に毎月14万円必要な場合、「長男はいつも親の介護を一番にしているから4万円」、「次男、長女それぞれ5万円」と決めている家族もあります。
上記はあくまで一例ですが兄弟姉妹間で、納得のいくまで話し合いをし、だれがどのくらいの介護費用を分担するのかを決めるようにしましょう。
1-4. 親の契約の保証人は誰にするのかを話し合う
もし親が施設に入る時や介護サービスを受ける時には事業者側と「契約」をし、保証人を立てる必要があります。そのため、病院、介護施設などの契約をする時、兄弟姉妹の中で、誰が契約をするのかを決める必要があります。
保証人の役割は主に以下の4つです。
・緊急時の連絡先
・入居者が治療を受ける際の治療方針の判断や入院する際の手続き
・月額費用の支払いが滞ったときに債務履行を負う連帯保証人
・入居者がなくなった時の身柄の引き取りや未払債務の生産など
一般的には「主たる介護者」または長男、長女が契約人になる場合が多いです。
しかし、「主たる介護者」になんでもかんでも任してしまうと心身ともに、とても負担となります。
家族間で役割、立ち位置をもう一度を考え、話し合いをして親の介護に関する契約はだれがするのかを考えるようにしましょう。
1-5. 親の決断を誰がするのかを話し合う
親が病院で治療をしたり、延命治療をするとなると誰が最終的な決断をするのか、兄弟姉妹の間で話し合うようにしておく必要があります。決断をしなくてはいけない場面は突然やってきます。
そのため、あらかじめ兄弟の間で誰に最終決定権があるのかを話しあっておくようにしましょう。
その時にはもちろん、親の意見を聞いておくことも重要です。「主たる介護者」が親の意見を聞き、それを兄弟姉妹間に共有するようにしましょう。
・ 誰が主として介護をするのかを話し合う
・親のお金の管理は誰がするのかを話し合う
・兄弟の間で経済的支援の分担を話し合う
・親の契約の保証人は誰にするのかを話し合う
・親の決断を誰がするのかを話し合う
以上5つが、兄弟姉妹の間で話し合っておくべきポイントです。
家族間で納得のいくまであらかじめ話し合っておくようにしましょう。
>>>関連記事「親の介護は誰の担当?親の介護をする前にしておきたい2つの準備」
2. 兄弟がいる家族の介護の体験談を紹介
では兄弟がいる家族が介護をした体験談を紹介していきます。
兄弟と連携を取り合い、うまく分担して介護をすることができたケースと兄弟が全く協力してくれなかったケースの2つを取り上げていきます。
2-1. 兄弟と分担して介護をしたケース
<状況>
岐阜県に住んでいる家族で、母親を看護している家族
<家族構成>
母 2年前に脳梗塞をわずらい、在宅介護中。
父 5年前に他界
長女 母と同じで実家に住んでいる専業主婦。平日は母親の介護を中心としている「主たる介護者」
長男 長女よりも3つ下の海外へ単身赴任中の会社員。
次女 長女より5つ下、長男よりも2つ下のフルタイム勤務のOL.。母親と長女が住んでいる隣の市に夫と3人の子供の5人で住んでいる。
<結果>
母親が2年前に脳梗塞を発症して以来、長女が主たる介護者として母親を介護していました。
自宅で介護をしてほしいという母親の要望から、ホームヘルパーを利用しながら、平日は長女が介護を担当、土日は次女が担当し、上手に母親の介護を分担していました。介護費用も長男が6割、長女、次女がそれぞれ2割を負担と、非常に双方が納得の行く関係をとっていました。
親のお金の管理、決断、契約者は長女が担当、次女が逐一お金の管理を確認するという体制をとっていました。「主たる介護者」にあまり負担をかけない「みんなで介護する」という体制をとっていたことで、大きな争い、揉め事がなく介護をしています。
2-2. 兄弟が全く協力しなかったケース
<状況>
宮崎県に住んでいる家族で、母親を介護している家族
<家族構成>
母 1年前に病気で倒れ、1ヶ月入院。退院はしたものの、ひとり暮らしをするのは不安だと医者から言われる。
父 3年前に他界
長男 実家から車で1時間の隣の県に在住。子供が1人の会社員。
長女 実家の隣の市に在住。実家からは車で15分の距離で子供が2人いるフルタイム勤務のパート
次女 広島在住。実家からは電車で3時間以上の距離。子供はいない、専業主婦。
<結果>
母親が1年前に病気で倒れ、1ヶ月入院し、退院はしたものの、一人暮らしをするのは不安だと医者から言われました。そこで誰が母親の面倒をみるという問題になりました。
最初は次女の子供がいないという理由から次女が母親を家に預かり、介護をみることになりました。
しかし、長男に介護費用の負担を分割することを提案、請求しても長男はごまかすばかりで、聞き耳をたてませんでした。
結局次女が母親の「主たる介護者」として面倒をみることになるものの、経済的、身体的にも母親の介護に関する支援を兄弟からうけることができないまま、兄弟の間で揉め、母親が亡くなった後、兄弟の関係は絶縁状態になってしまいました。
兄弟が親の介護を全く手伝ってくれない。ましてや経済的援助もしてくれない。と「主たる介護者」が悩むことはよくあります。
民法によると長男、次男、長女、次女の区別なく、親の子供は同じように金銭面で、親を扶養する義務を負っています。 そのため、全く手伝ってくれない兄弟に対して、介護費用を法的に請求することができます。 介護費用を法的に兄弟に請求したい時、まず、「扶養請求調停」を家庭裁判所に申し立てるようにしましょう。 家庭裁判所に申し立てをすることによって、、親の介護費用負担に関し、裁判所が選任した調停員が兄弟の仲介に入り、兄弟と真正面から話し合うことができます。 調停員は客観的な資料をもとに、双方が合意する形になるような解決策を提示してくれます。 その内容に対し、兄弟が合意をすれば、調停成立となりますが、もしも合意とならなかった場合は「審判」、つまり裁判所が兄弟に代わって、提出書類や調査結果をもとに、取り決めを行います。 最終的に裁判官が決定した決定事項に従う必要があります。 |
3. いちばん大切なのは要介護者である親の意見を尊重すること
ここまで兄弟姉妹の間で親の介護をあらかじめ確認しておく、コミュニケーションが大切であることを説明していきました。
しかし、最も大切なことは、要介護者である親の意見を尊重することです。
兄弟姉妹の間で都合よく決めた決定ごとでも親が拒否すれば元も子もありません。
そのため、親の意見を基準に兄弟姉妹の間で話し合うようにしましょう。
あなたは自分の親が在宅介護を望んでいるのか、施設での介護を望んでいるのかを知っていますか?
また、親が自分の人生の最後をどのような形で締めくくりたいかを理解していますか?
親の意見を無視し、兄弟姉妹の間で自分たちの都合のいいように決断を下してしまうのは避けなくてはいけません。
親の意見を汲み取り、その意見をもとに兄弟姉妹の間で議論をすることが大切です。
4. まとめ
いかがだったでしょうか。
親の介護が始まる前や介護が必要になったときには上記で紹介した5つのポイントを兄弟間で話し合うようにしましょう。
・ 誰が主として介護をするのかを話し合う
・親のお金の管理は誰がするのかを話し合う
・兄弟の間で経済的支援の分担を話し合う
・親の契約の保証人は誰にするのかを話し合う
・親の決断を誰がするのかを話し合う
また最後に説明した通り、兄弟の間で親の介護を議論する前に、親の意見をまずは聞くようにしましょう。親が自分が介護されることをどう思っているのか。まずは親と意思疎通をしておくことが大切です。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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