「うちは共働きで介護はどうしようか・・・」
「共働きなのに親の介護の面倒なんてみてられないよ・・・」
あなたは今こんな悩みを抱えていませんか?
事実、厚生労働省の調査によると、共働きの世帯は年々増加しています。
(出典:男女共同参画白書(概要版) 平成30年版より)
また、誰が主に介護を担当するのかという「要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合」によると「子」が介護を担当する割合は21.8%となっています。
一位には「配偶者」がランクインしていますが、「配偶者」が亡くなっている合や介護ができない状態である場合は「子」が担当することになる可能性が高いでしょう。
(出典:平成28年度 厚生労働省「国民生活調査」より)
しかし、共働きは時間的にたくさんの制約をうけるため、介護と両立できるか不安ですよね。
そこでこの記事では共働き夫婦が上手に介護をすることができる5つのポイントを解説しました。
5つのポイントを参考に、仕事と介護を上手に両立できるようになってください。
・介護費用は基本的に親自身が負担する
・介護休業制度を利用する
・お互いの役割を明確に決めておく
・地域包括支援センター、ケアマネージャーに頼る
・子どもたちにも協力してもらう
さらに後半では共働きだからこそありえる、2つの注意点を解説します。
共働き夫婦がどちらも仕事を離職することなく、仕事と介護を上手に両立してほしいという思いでこの記事を書きました。
少しでも参考になれば幸いです。
では解説していきます。
目次
1. 共働き夫婦が上手に介護をする5つのポイント
共働きの夫婦でも今から紹介する5つのポイントを活用すれば、上手に介護をすることができます。
一つ一つ丁寧に解説していきます。
1-1. 介護費用は基本的に親自身が負担する
親の介護を抱えたときに、一番気になるのは介護費用をどうすれば良いのかということだと思います。
特に、共働きの夫婦では、自分たちがせっかく共働きをしていても、そこから介護費用を捻出しなければならなくなるのであれば、仕事を辞めて介護に専念したほうがいいのではないかといった思いを抱くかもしれません。
基本的には、親の資産や年金を考慮して、その範囲内で収まるサービス利用を検討することが望ましいです。
しかし、親の資産や年金だけではどうしても介護費用を賄うことが難しい場合には、主に3つの方法を考えましょう。
①地域の行政サービスなどを活用する。
②兄弟姉妹や親戚にも協力を依頼する
③民間介護保険の利用
①地域の行政サービスなどを活用する。
各市区町村において、以下のような高齢者に対する市区町村独自のサービスが提供されています。
なお、各市区町村により、提供されているサービスの種類や内容が異なりますので、親の住む市区町村の制度を調べてみましょう。
・配食サービス
・おむつ代支給
・有償ボランティアによる安価な生活の支援サービス
・車いすや車いす仕様の車の貸し出し
・緊急通報サービス
・防犯対策資金の助成
・補聴器購入費用の助成
・ふとん乾燥、丸洗いサービス
・安価な高齢者住宅賃貸の助成
・不動産担保型生活資金貸付
これらのサービスを利用することで、経済的な負担はかなり軽減されます。
②兄弟姉妹や親戚にも協力を依頼する
親の介護は、「主たる介護者」一人で背負うものではなく、家族みんなのチームワークによって成り立つものです。
兄弟姉妹や親戚など、関係者がお互い自分たちができることを明確にし、協力し合うことが必要です。
その中で、誰がどの部分の介護を担い、誰がどの費用をどれだけ負担するのか、チームで話し合う場を設けて決めていきましょう。
>>>関連記事「親の世話は誰がする?介護をする時に兄弟で話しておくべき5つのこと」
③民間介護保険の利用
民間介護保険とは、事前に契約し保険料を支払っておくことで、介護が必要な状態になったときに、介護費用の全額もしくは一部が支給されるといったものです。
これらの保険は生命保険に付随している場合が多く、生命保険と同様、事前、つまり介護の状態になる前にかけておく必要があります。
介護の状態になってからでは、利用することが出来ないため、事前に親と話し合い、必要であれば契約しておきましょう。
>>>関連記事「親の介護が始まった!必ず申請する公的介護保険について解説!」
1-2. 介護休業制度を利用する
親の介護を抱えた際には、できるだけ家族の協力を得たり、介護サービスや行政サービスを利用したりすることで、仕事に影響が出ない方法、休まなくてもいい方法を考えることが重要です。
しかし、そうは言っても、いろいろな局面でどうしても自分自身が介護に関わる時間をとる必要がある場面がでてきます。
主なものとしては、以下の3つの場面が考えられます。
①急に介護が必要な状態となったとき、親の状況を把握し、今後の介護の体制を構築するとき
②親の状態が悪くなり、介護の体制の変更や施設への入所を考えるとき
③最期の看取りの時期が近づいたとき
そんな時は、介護休業、介護休暇をうまく利用することをオススメします。
「介護休業の条件・対象者、期間、給料から申請手順まで全てを解説」でも説明したように、介護休業とは、仕事と介護を両立するために国で定められた制度で、要介護者一人につき、93日間を上限3回に分けて介護のために仕事を休むことができます。つまり先ほどの3つの場面に分けて利用するということも可能です。
また、同じ要介護者に対して、夫婦が同時に取得することもできます。
介護休業を利用して休んだ場合、休んだ間の給与の67%が雇用保険から支給される制度(介護休業給付金)を利用できる場合があります。
また、要介護者1の場合は介護休暇を使って年間5日まで、要介護者2人以上であれば年間10日まで、1日単位または半日単位での休みをとることもできます。
会社によっては、介護休業や介護休暇についても有給としているところもありますので、まずは自分の会社の制度を確認し、年次有給休暇と組み合わせてうまく利用していきましょう。
ここで注意しておきたいのは、介護休業や介護休暇はあくまで、「介護の体制づくり」や「介護に関する司令塔」としての役割を果たすためのものであり、介護そのものに専念するためのものではありません。
なぜならば介護は、育児と異なりどれくらいの期間続くのかがわかりません。
介護期間としてどれくらいの期間を想定しておくべきか、というものとしては、介護期間について調査した「生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度」によれば、平均約4年7ヶ月という結果もあります。
仮に介護休業を介護そのものに利用したとすると、93日という期間はあっという間に使い果たしてしまうであろう、ということをお分かりいただけるかと思います。
親の介護を抱えた時には、自分はあくまでも「介護の体制づくり」のための司令塔という役割であることを意識しながら、介護休業や介護休暇を上手く利用していきましょう。
1-3. お互いの役割を明確に決めておく
共働きの夫婦、どちらかが急な仕事などが入ったりして、介護をすることができなくなることもよくあります。
そのためにも、実の親や義理の親に関係なく、夫婦が協力して介護ができるように事前に話し合っておくことが大切です。
また、夫婦どちらが「主たる介護者」として親の介護を行うのか、など夫婦間での介護の役割を明確にしておくことも大事です。
例えば、
・平日はパートの妻が義理の父親の介護を担当
・土日などの休日は会社勤めの夫が在宅で親の介護を担当
といったように役割を分担しましょう。
どちらかの仕事が遅くなりそうなのであれば、もう一人がカバーするなど、一人だけに負担がかからないよう、夫婦で協力して介護をしていく体制を取ることが重要です。
後述しますが、親の介護がきっかけで介護が終わった後に「介護離婚」につながる夫婦もあります。
あらかじめ親の介護について、実の親や義理の親に関係なく、どういう体制を築いていくのか夫婦で話し合っておくことが大切です。
1-4. 地域包括支援センター、ケアマネージャーに頼る
夫婦の間だけでなく、地域包括支援センターやケアマネージャーなど、専門家の協力を仰ぐことも時には重要です。
「地域包括支援センター」とは各自治体に設置されている介護の相談窓口のことです。
「親が住む市区町村名、地域包括支援センター」で検索してみましょう。
※市区町村によっては名称が違うものもあります。
※住所によって担当センターが異なりますので、親の住む地域の担当のセンターを調べてみましょう。
「ケアマネージャー」とは「介護支援専門員」と呼ばれている介護の専門家です。
「地域包括支援センター」で紹介してもらうことができます。
「地域包括支援センター」では以下のようなことを相談することができます。
地域包括支援センターで相談できること
・生活で、困っていることや心配なこと ・介護保険やその他の保険・福祉のサービスの紹介、利用手続きの援助 ・高齢者への虐待に関すること ・認知症などの病気で、判断能力がなくなった場合の、成年後見制度の利用手続きの援助 ・高齢者を介護している家族への支援 ・介護保険の認定結果が要支援1、2だった場合や、介護が必要となる可能性が高いと判断された場合の、介護予防のための計画作成 など |
「ケアマネージャー」に介護保険を利用するための手続きや介護の計画作成、介護サービス、施設の手配、手続きを無料で依頼することができます。また、なにかあれば気軽に相談に乗っていただけます。
介護で不安なことや悩みがあれば、第三者であり介護のプロである「地域包括支援センター」や「ケアマネージャー」に相談することをオススメします。
1-5. 子どもたちにも協力してもらう
自分の親からすれば「孫」の存在である「自分の子供」に協力してもらうのも1つの手です。
要介護者であるかどうかに関わらず、親は普段接している実の子供や義理の娘・息子には話しづらいようなことを「孫」には簡単に話してしまう場合もあります。
孫が、顔を見せ、声をかけてくれることはとても嬉しいものです。
孫が年老いた自分のことを気にかけてくれているという安心感、大事にしてもらっていると感じることは、親の活力をふるい立たせるものにもなります。
また、共働きの夫婦にとっても仕事が夜遅くなる時や土日など目が行き届かないときに、子供がおじいちゃん、おばあちゃんのところにちょっと顔を出し、話をしてくれるだけでもとても助かります。
親の介護をするにあたり、家族一体となって、子供にも協力してもらいながらみんなが納得して介護をすることが大切です。
以上が共働きの夫婦が知っておきたい上手に介護をする5つのポイントです。
では次に共働き夫婦が介護で陥りがちな注意点を2つ説明していきます。
2. 共働き夫婦が介護をする時の2つの注意点
ではここから、共働きの夫婦が介護をして陥りがちな注意点を2つ解説していきます。
2-1. 親の介護が「介護離婚」のきっかけになる
親の介護をめぐり、夫婦間の関係が悪化して、そのまま「介護離婚」をするというケースも少なくありません。
「介護離婚」に発展する原因は主に以下のような理由が挙げられます。
・義理の親への介護の意欲がわかないから
・夫や夫の兄弟姉妹が介護に協力してくれないから
・介護をしている最中に夫婦間で言い争いが多くなったから
この中でも、介護期間中に配偶者とコミュニケーションを取る中でお互いの意見がぶつかり合い、喧嘩となってそのまま離婚をしてしまうというケースが多いです。
特に共働きの夫婦の場合は、お互いが同じように仕事と介護を行っている中で、両方が体力的にも精神的にも負担が大きくなり、お互いを気遣うことができなくなってしまうことがあります。
そのため、視野が狭くなり、お互いの気持ちを考えない自分勝手な言動をとってしまうこともよくあります。
お互いに定期的に会話をするよう心がけ、お互いに対する感謝の気持ちを忘れず、また、お互いの体調をいたわり合いながら介護を行っていきましょう。
そうすることで介護が原因で気持ちがすれ違うことを避けることができます。
2-2.「親」の意向や気持ちが見えなくなる
先程も説明したように、共働き家族が介護を抱えると仕事・介護・家事とやらなければいけないことが非常に多く、それらに事務的に忙殺されてしまいがちです。
そのため、視野が狭くなり、ふと気が付いたとき、親の意向や気持ちが見えなくなってしまっていることがあります。
・本当は大切に思っているはずの親のこと、本当に大切にできているのか
・実は自分たちの都合で物事を決めてしまっていないか?
時折冷静になって振り返ってみることも大事です。
仕事と介護で大変そうな子供夫婦をみていると、親はもしかしたら遠慮して何も言えなくなってしまっているかもしれません。
介護は、親と子とどちらかの犠牲の上で成り立つものではありません。
親も子も自分らしい生活ができ、そしてお互いの気持ちに共感し合い、お互いの生活を尊重しながら共に過ごしている。そんな状態の中で、介護を行っていけるようにしましょう。
お正月やお盆など何かの機会に、親は何を望んでいるのか、何か不安や悩みはないか、など少しでも構いませんので親と話をする時間を取ってみましょう。
>>>関連記事「親の介護は誰の担当?親の介護をする前にしておきたい2つの準備」
3. まとめ
いかがだったでしょうか。
共働きで介護をする場合は今回紹介した5つのポイントを活用して、上手に介護をするようにしましょう。
・介護費用は基本的に親自身が負担する
・介護休業制度を利用する
・お互いの役割を明確に決めておく
・地域包括支援センター、ケアマネージャーに頼る
・子どもたちにも協力してもらう
そして後半で解説した注意点に気をつけて、仕事と介護を両立できるようにしましょう。
少しでも参考になれば幸いです。