「認知症のおじいちゃん、おばあちゃんに何かできることはないだろうか」
「認知症になると孫の自分のことも忘れるの?どうか忘れないで欲しい」
「認知症の祖父母への贈り物は何が良いか悩んでいる」
という方のために、認知症の祖父母を抱える孫の立場から何ができるのか、どのように関われば良いのか、贈り物はどんな物を選べばいいのかなどの疑問について解説します。
目次
孫が認知症の祖父母を介護するということ
「老老介護」はよく耳にしますが、「老孫介護」も近年注目されています。
孫世代は親世代に比べて要介護者である祖父母とのしがらみが少なく、親世代よりも冷静に祖父母の老いを受け止めることができ、積極的に介護に関われるという意見もあります。
また、父や母を亡くした場合や父母のいずれかが病気の場合など、両親が揃っていても介護を担う場合もあります。
学業や就業継続の困難と葛藤、若くして負う責任の重さ、将来への不安を抱えるヤングケアアラー(家族の介護を担う18歳未満の若者)は増加しているのです。
◉ヤングケアラーについてはこちらの記事をご覧下さい
ヤングケアラーとは、家族の介護をしている若者は17万人いる??
引用サイト:ヤングケアラー支援のページ
引用文献:孫世代が担う高齢者介護
祖父母の認知症を理解することから始めよう
祖父母が認知症になった場合、戸惑うことが多いと思います。
「あんなに優しかったおじいちゃん、おばあちゃんがなぜ暴言を吐くの?」
「認知症になったら、楽しかった思い出も全部忘れてしまうの?」
など、混乱や不安は尽きません。
そこでまず、脳の障害として起こる認知症という病気を理解しておくことが大切です。
ここでは、認知症に特徴的な症状を簡単に解説していきます。
物忘れが増える
財布などの大事な物を置き忘れたり、しまい忘れたりすることが増えます。
また、大切な約束事も忘れてしまったり、何度も同じことを聞いてきたりします。
怒りっぽくなる
些細なことですぐに怒ったり、大人しい性格が怒りっぽく変わったりします。
少しの注意や指摘に対して怒鳴るような剣幕で怒ることもあります。
日時がわからなくなる
日時や曜日、場所がわからなくなり、何度も聞いてくるようになります。
昔から通っている場所や、習慣なども確認しなければわからなくなります。
意欲が無くなる
家でウトウトすることが増えたり、外出が減って引きこもりがちになります。
趣味や親しい人との付き合いも減り、ボーっとしていることが増えます。
認知症の祖父母へ、孫だからこそできること
祖父母が遠方に居てなかなか会えない場合や、逆に祖父母と同居している場合、小さい頃から祖父母に育てられた場合など、祖父母との距離感は様々だと思います。
また、祖父母の認知症をきっかけに疎遠になったという場合もあるかもしれません。
どのように関われば良いか、何ができるのかを知りたい方のために、認知症の祖父母に孫の立場だからこそできる関わりをご紹介します。
孤独にさせず一緒に過ごす
認知症の方にとって、できるだけ出かけたり、人と会う機会を増やすことは大切です。
孫の立場として良いのは、スキンシップを頻繁にしたり、視野に入って顔を見せながら話をすることです。
また、わかりやすい言葉を使い、内容を簡単に伝えることもポイントです。
会話だけでなく、音楽を聴いて歌を歌ったり、畑で土を触ったりなど五感に働きかけることも良いでしょう。
ペースを守りながら見守る
急がせると焦って興奮しやすくなってしまいます。
ゆったり楽しく過ごすことが大切なのです。
本人のペースに合わせて、見守りながら寄り添う関わり方が理想的です。
昔話をする
昔得意だったこと、懐かしいこと、祖父母にしてもらって嬉しかった事や思い出など、孫しか知らないような昔話をすると良いでしょう。
自尊心を傷つけず、少々間違っていても無理に訂正したりせずに関わるのもポイントです。
引用文献:認知症ケア法ー認知症の理解
認知症の重症度に合わせた祖父母へ贈り物
祖父母の方が認知症の場合、敬老の日などで何を贈ったら喜ぶのでしょうか。
認知症の程度によって、どのような贈り物が適しているのか悩むと思います。
そこで、認知症の重症度に合わせた贈り物をご紹介します。
認知症が軽度の場合
軽度の場合、日常生活はなんとか送れていても、物忘れが増えたり日時が混乱したりなど、複雑な事(買い物や銀行手続きなど)ができなくなる場合があります。
そこで、日付や時間が大きな字で表示される電子時計や、大事な物の紛失を防ぐ収納ケース、得意だったことを生かせる物(手芸品など)などがお勧めです。
また、頻繁に会えない場合、音声で連絡やTV電話のできるAlexaのようなデバイスは、顔を忘れてしまうことを防いだり、近況を知ることもできるため、大変お勧めです。
認知症が中等度の場合
日常生活に困難さが生じ(食事ができない、尿失禁があるなど)、日々の日課も忘れてしまったり、慣れていたことも出来なくなり、少しずつ意欲が無くなるような状態になると、複雑な操作を必要とする贈り物は不向きです。
よく知る家族のことは覚えている場合、写真立て(角が丸く、怪我しにくいもの)に思い出の写真を入れて贈るのがお勧めです。
また、会話ができるロボットやぬいぐるみなども、近年介護用品として普及しています。
認知症が中等度になると、自ら言葉を発することが減ってしまうため、脳への刺激として良いでしょう。
認知症が重度の場合
よく知る人の顔もわからなくなり、簡単な言葉の理解も難しく、生活面ではほぼ寝たきりになってしまった状態では、五感を刺激するような贈り物が良いでしょう。
例えば、綺麗な花束を見る(視覚)と、いい香り(嗅覚)がして五感を刺激できます。
また、音楽を奏でる(聴覚)オルゴールなどもお勧めです。
引用サイト:認知症・もの忘れが多くなってきた母・父・祖母・祖父に、心の通うプレゼントをしよう
まとめ
認知症は、死が訪れることへの怖さを和らげるための準備だと言う人もいます。
認知症を理解すること、関わり方を知ることがとても大切です。
認知症の祖父母への贈り物に迷った場合など、この記事が参考になれば幸いです。