老人ホームを利用するためには、さまざまな手続きが必要となりますが、その中でも問題になりやすいのが「身元保証人」です。
老人ホームを利用するためには基本的に必要となりますが、高齢になると身元保証人がいない場合もあります。
本記事では、老人ホームにおける身元保証人の必要性や役割、条件、いない場合の対処法などについて詳しく解説します。
目次
身元保証人は必要?
結論から申し上げますと、老人ホームを利用する場合のほとんどで身元保証人が必要になります。
ただし、すべての施設において必要というわけではなく、数はかなり少ないですが、必要としない施設も存在します。
公益社団法人 全国有料老人ホーム協会が実施したアンケートによると、介護付き有料老人ホームでは89.2%の施設が身元引き受け人の必要があると回答し、住宅型有料老人ホームにおいても82.2%の施設が必要と回答しています。
このように、ほとんどの施設では身元保証人を用意する必要があるため、基本的には必要です。
身元保証人になるための条件
身元保証人になるための条件については法律では定められていませんが、万が一のときに対応できるくらいの支払い能力があるかどうか、利用者の親族かどうか、高齢ではないかなどの基準が定められていることが多いです。
ただし、条件を満たしていれば親族でない友人などを認める施設もあります。
このように施設によっても条件は異なる場合がありますので、希望の老人ホームに確認することが大切です。
身元保証人の役割
老人ホームにおける身元保証人の主な役割は以下の通りです。
- 経済的保証
- 緊急時の連絡先
- 手続き関係の対応
- 入居者が亡くなった場合の手続き
それぞれの役割について、以下で詳しく解説します。
経済的保証
老人ホームを利用すると家賃や管理費、食費、サービス料などの月額料金が発生します。
万が一、入居者本人が月額料金を支払えなくなってしまった場合、代わりに月額料金を支払う義務を負います。
緊急時の連絡先
高齢者は若年層の人に比べると病気になりやすかったり、持病が悪化する可能性が高いです。
そのような緊急時に連絡できるように緊急連絡先を伝える必要があります。
手続き関係の対応
高齢になると公的な手続きや介護方針など、さまざまな意思決定ができなくなるため、代わりに意思決定を行います。
また、入院手続きなどの手続きに関しても行う場合が多いです。
入居者が亡くなった場合の手続き
万が一入居者が亡くなった場合、退去手続きや遺体の引き取りなどを行う必要があります。また、荷物の受け取りや未払い分がある場合についても対応する必要があります。
身元引受人との違い
身元保証人と身元引受人は似たような言葉であるため混同されやすいですが、実は意味が大きく異なります。
「身元保証人」は入居者と連帯してさまざまな責任を負うことや意思決定を行いますが、「身元引受人」は、入居者が亡くなったときに遺体を引き取ったり、荷物の整理や手続きを進める人のことを指します。
身元保証人は何人必要?
施設によって定める人数は異なりますが、基本的に利用時には身元保証と身元引受を合わせて1人用意すれば問題ないことが多いです。
ただし、施設によっては身元保証人と身元引受人をそれぞれ1人ずつ用意する必要があることもあります。
老人ホーム入居後に身元保証人の変更は可能?
一度決定した場合でも、後から別の人に変更することは可能です。
しかし、勝手に変更することはできず、書類を提出したうえで身元保証人として相応しいかどうかの審査を受け、問題ないと判断されたタイミングで変更することができます。
候補がいない場合の対処法
高齢者の中には身元保証人を用意することができない方も増えています。
そのような方が利用するためには、身元保証を必要としない施設を探す、もしくは代理を立ててくれるサービスを利用する方法のどちらかとなります。
ただし、必要としない老人ホームは数が少なく、倍率も高くなる傾向にあるため、より理想の条件で探すためには代理を立ててから探すことがおすすめです。
ただし、代理を立てる場合は保証会社によって治療方針の決定や死亡時の手続き、行政手続きを引き受けてくれない場合もあるため、どの程度任せるのかを事前に決めておくことが大切になります。
代理を立てられない場合
親族にも身元保証人がおらず、金銭的な問題から代理を立てられない場合、措置入所という制度を利用することで一時的に老人ホームを利用できる可能性があります。
措置入所とは、やむを得ない事情がある場合にのみ養護老人ホームや特別養護老人ホームに一時的に利用できる制度です。
自治体によっても条件は異なるため、各自治体に事前に相談しましょう。
身元保証人が必要になる場合は多い
本記事では、老人ホームにおける身元保証人の必要性や役割、条件、いない場合の対処法などについて詳しく解説しました。
利用するためには基本的に身元保証人が必要となりますが、いない場合であっても利用することは可能です。
ぜひ本記事を参考にして老人ホームと身元保証人の関係について理解してみてください。