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介護リハビリとは?利用条件からメリットやメリットまで徹底解説!

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親御さんが歳を召され、日常生活のふとした場面で怪我をしてしまい、現在は医療リハビリを受けている。

しかし、医療保険の期限が迫っておりこのままだとリハビリを続けることが厳しい。

そんなあなたの悩みに応えるべく、この記事では医療リハビリよりも安く、長期間受けられる介護リハビリについてご紹介いたします。

この記事を最後まで読んでくだされば、親御さんの状態、ご自宅の環境に最適な介護リハビリ内容とその料金まで分かるようにご用意いたしました。

1.介護リハビリとは

介護リハビリとは、”日常生活全般の行動能力を維持する”ことを目的としています。

老化による体の衰えに寄り添うリハビリなので、日数や症状に制限はなく、ご家族から地域住民まで様々な人の支えが必要となります。

1-1.介護リハビリと医療リハビリの違い

介護リハビリは、介護の延長であり、医療リハビリは、治療の一環です。

介護リハビリは介護保険制度の下で行われ、介護関係職の方からサービスを受ける形となります。

どちらが適用されるかは対象者の状態、時期によって変わります。

急性期リハビリ:病気や怪我をしてすぐに治療と 並行して行う 

医師の指示の下、理学・作業療法士さんと共に行う、医療リハビリです。

回復期リハビリ:体の機能回復を主とする 

多くの場合、引き続き入院、通院の形でリハビリを行うことになります。原因となった疾患やケガによって、医療保険の適用期間が異なります。初診から最短で90日最長で180日間は医療保険の適応範囲ですが、それ以降は保険適応外となります。

維持期リハビリ:現状の状態を維持する

医療保険の適応期間以降に、ご自身の負担で医療リハビリを受けるか、介護リハビリに変更するか選択をすることになります。

どちらの選択をすれば良いかを判断するため、両者の差異を表にまとめました。

医療リハビリ 介護リハビリ
目的 機能回復 日常生活の維持
日数・症状に対しての制限 制限あり 制限なし
適応保険 医療保険(初診から90日~180日) 介護保険
スタッフ 理学療法士、作業療法士、

言語聴覚士

理学療法士、作業療法士、

言語聴覚士

※専門職説明
理学療法士(PT:Physical Therapist)
日常生活上の基本動作を安全にこなせるように、体操・運動トレーニングそしてマッサージの指導をします。

作業療法士(OT:Occupational Therapist)
心身の健康と社会適応能力の向上を目指し、家事や手芸・工作といった作業動作を指導します。

言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)
喉の運動機能を向上させることによって、円滑に発声、嚥下ができるよう訓練指導します。

1-2.介護リハビリを受ける条件

二つの条件によって受けられるか決まります。

1.介護保険加入者であること

2.要介護認定を役所で申請すること

(不認定を除けば)要支援1、2、要介護 1~ 5の7段階に分かれます。

介護認定のあと、 介護保険によるサービスが利用できます。

この要介護認定と家庭環境に応じて通所リハビリか訪問リハビリを選ぶことになります。

1-3.医療リハビリと介護リハビリのメリット・デメリット

1-3-1.医療リハビリ

メリット
専門職の方による充実したリハビリを受けることができる。

デメリット
医療保険が初診の90日から180日後までの期間しか適応されないため、それ以降、継続して利用する場合には全額自己負担としまう。また、一日あたり20分から120分までと受けられる時間が制限

される。

1-3-2.介護リハビリ

メリット
症状、日数に制限なくサービスを受けることができる。

デメリット
専門職の配置数が多くなく、かつ、幅広い方がサービスを受けるため、受けられるサービスに制限がある。

2.介護リハビリは2種類

介護リハビリには「訪問リハビリ」と「通所リハビリ」の二種類があります。

訪問リハビリは、要介護度が高く通所が困難な場合や、通所を好まない方等の場合に、専門職のスタッフが自宅まで訪問します。

一方、通所リハビリはリハビリセンターからの送迎によって通所します。

2-1. 訪問リハビリ

訪問リハビリは、生活能力の改善を目的とした内容と、生活能力の減退予防を目的とした内容の二つに分かれます。まずは、訪問リハビリを受けるまでの流れを説明します。

2-1-1.訪問リハビリの対象となる人

要介護1以上(要支援1以上)

主治医から「訪問リハビリテーションが必要」と認められている方

◎以下の場合には訪問リハビリを検討しましょう

・本人がデイケアに行くことを拒否する

・通所することが困難

・ご家族に身体介助の方法を教えて欲しい

2-1-2.訪問リハビリの利用手順

step1.どの事業所が一番合うかを担当のケアマネジャーと相談します。

step2.訪問リハビリを利用したい旨を主治医に伝え、診療情報提供書、リハビリ指示書の必要書類作成を依頼します。これはケアマネジャーが依頼してくれます。

step3.訪問リハビリ事業所と契約します。

step4.訪問リハビリ事業所のリハビリ専門職が、常駐する医師の診察をもとにリハビリ計画書を作成し、その内容について本人、家族は説明を受け、同意します。

step5.利用開始

2-1-3.訪問リハビリの内容

訪問リハビリにてスタッフが提供するサービスは以下の通りです。

内容 詳細
病状の観察 バイタルチェック(体温、脈拍、呼吸、血圧測定等)

病状の観察や助言

精神面の健康状態の確認と助言

介助者の健康状態の確認と助言

再発予防と予後予測

身体機能の改善 身体機能(筋力、柔軟性、バランス等)の維持、改善

痛みの評価と物理療法等の疼痛緩和

摂食嚥下機能やコミュニケーション機能の改善

日常生活の指導・助言 ADL(日常生活動作)指導

福祉用具または補装具、住宅改修の評価と相談

QOL(生活の質の向上)や趣味、社会参加促進のための助言

介護相談、家族支援 療養生活上の相談、家族への介護指導、精神的な支援

福祉制度利用の助言、相談

要支援1・2の方は予防介護リハビリを受けてもらうことになります。

2-1-4.料金目安

・訪問リハビリテーション:要介護1〜5(介護保険適用で1割負担、1単位10円の場合の自己負担額を表記しています。)

費用 内訳 自己負担
基本料金 290円/回(20分)
加算料金(該当する場合に加算される) サービス提供体制強化加算

※勤務数3年以上のリハビリ専門職が1名以上いる場合

6円/回
短期集中リハビリテーション加算

※退院・退所または認定日から3ヶ月以内

200円/日
リハビリテーションマネジメント加算

※計画書の定期的な評価・見直し、ケアマネージャーを通じて他の在宅サービス業者との連携を図るなど

230~420円/月
社会参加支援加算

※社会参加(通所介護や通所リハビリへの参加など)が維持できる体制

17円/日

・介護予防訪問リハビリテーション:要支援1・2(介護保険適用の1割負担額)

費用 内訳 自己負担
基本料金 292円/回(20分)
加算料金(該当する場合に加算される) サービス提供体制強化加算 6円/回
短期集中リハビリテーション加算 200円/日
リハビリテーションマネジメント加算

※計画書の定期的な評価・見直し、ケアマネージャーを通じて他の在宅サービス業者との連携を図るなど

230円/月
事業所評価加算 120円/月

なお、訪問看護ステーションからリハビリ専門職が派遣される訪問看護もあります。

これは、介護保険上の区分では「訪問看護」となりますが、実際には「訪問リハビリテーション」と同じようにリハビリ専門職による訪問リハビリを受けることができます。

2-1-5.訪問リハビリで大切にするべきこと

訪問リハビリを持続するために一番大切なことは、本人のモチベーションの維持です。

そのためにも、どこまでの状態にまで回復したら卒業とするか、ケアマネジャーと相談しておきましょう。

例えば、最寄りのスーパーまで自力で買い物がしたいというように、卒業条件を実生活の具体的な目標にすると、ご本人とスタッフにとって分かりやすく、トレーニング内容を考えやすくなります。

訪問リハビリを受ける際は、ケアマネージャーと相談し、以下の7点に注意しながら事業所を選ぶことをお勧めいたします。

①必要な専門職種が在籍しているか

助専門職である理学療法士や作業療法士、言語聴覚士職員がどのくらいいるか確認してみましょう。

②経験年数はどのくらいか

職歴何年の職員がどれほど在籍しているのかは必ず確認しましょう。もし、シフトに入っている職員の経験が浅く不安な場合は、サービス提供強化を事業所にお願いし、ベテラン職員さんに担当してもらえるようお願いしましょう。

③営業曜日

他のサービス利用との兼ね合いで予定の調整が必要となることがあります。営業している曜日を確認しましょう。

④担当者が訪問できなくなった場合の対応方法が決まっているか

担当のリハビリ専門職が病気などで訪問できなくなった場合の対応が決まっているか確認しましょう。

⑤ケアマネジャーや福祉用具の事業所と連携しているか

訪問リハビリでは、ご自宅の状況を見てどこに手すりが必要かや杖などの福祉用具の選定もしてくれます。その際に、福祉用具の事業所としっかりと連携を取ってくれると、専門職同士で話しがスムーズに運び、利用者・家族の負担が少なくなります。

⑥病状が急変した時の連絡手順や対応方法が明確か

もし、リハビリ中に体調が急変したらどのような対応になるのか、マニュアル化されていると、利用する方としても安心できます。利用前に確認しておきましょう。

⑦訪問リハビリ終了時、他の介護サービスについてアドバイスを行っているか

介護リハビリでは目標設定があり、日常生活を送れるまで体の機能が回復すればサービスは終了となります。サービス終了後も継続して、今の身体を維持していくために必要なサービスを提案してくれる事業所を選びましょう。回復後の生活習慣の改善が事故や怪我の最大の予防になり、ご本人の豊かな人生を送るために非常に重要な要素となります。

2-2.通所リハビリテーション

通所リハビリテーションとはデイケアとも呼ばれ、介護老人保健施設、病院、診療所等に併設された施設であり、その施設に通いながら、専門スタッフから介護リハビリサービスを受けるものです。

◎卒業を前提としている
デイケアは、リハビリの目的が達成されると終了となる場合があります。ここが長期利用できるデイサービスとは大きく異なります。

デイケアが終了となるときには、引き続きどのような介護サービスを使えばいいのか、どのような自主トレーニングをすれば良いかも考えてくれます。ほとんどの方はデイケアを卒業後、デイサービスに変更し、機能訓練を継続しています。

デイケア終了は、身体機能がよくなった証です。目的を達成し卒業者が多い事業所の方が、機能回復を期待できるといえるでしょう。

2-2-1.デイケア対象者

要介護認定を受けている「要支援1~2、要介護1~5」までのすべての人が利用できます。

要介護認定は基本的に65歳以上を対象としていますが、64歳以下で特定疾病を抱えている方の場合も「2号被保険者」として要介護認定の申請ができます。

また、デイケアを利用する方の平均年齢は80.1歳と後期高齢者が多い一方で、卒業を前提としている分、平均要介護度は1.75と比較的症状の軽い方々が受けています。

ご本人、ご家族が以下のような目的を持っている場合に利用されています。
・病院から退院したばかりなのでリハビリを継続したい
・リハビリを受けながら入浴もしたい
・医療的ケアも合わせてリハビリを受けたい
・飲み込みの障害があるので嚥下訓練を受けたい
・家族が介護疲れのため、デイケアに行っている間休息がほしい
・自宅の状況を見て、リハビリを受けつつ住宅改修や福祉用具を提案してほしい

2-2-2.リハビリ内容

デイケアは、デイサービスと比べて医療やリハビリという点に強化された内容です。胃ろうや痰吸引などの医療的ケアが必要な方や、集中的にリハビリを希望する方が多く利用されています。

・リハビリテーション(歩行訓練等)
・体操
・送迎
・入浴介助
・排泄介助
・昼食
・家屋調査
・住宅改修・福祉用具の提案
・レクリエーション
・看護師による健康チェック

デイケアの一般的な内容は6〜8時間ですが、1〜2時間の短時間で行なっている事業所もあります。

事業所によっては、バリアフリーの入浴施設が備わっていない所もあります。本人の症状と意思にしっかりと合うかどうかを契約する前に必ず、事業所施設内部を見学しましょう。

デイケアはご本人の意思と症状に合わせて超短期型、半日型、一日型の三つに大きく分けることができます。

超短期間型:40~60分

症状が軽く、ご自身の意思と判断でリハビリにだけ専念したい方向けです。短時間なので、一度で複数の専門職の方からリハビリ指導を受けることはできません。

半日型:3~4時間

職員と一対一のリハビリを受けることができ、レクリエーションなどに参加もできます。希望があれば、複数の専門職の方からリハビリを受けることもできますが、忙しく感じられるかもしれません。

一日型:6~8時間

時間に余裕があるので、入浴や食事も可能です。ゆったりと複数のリハビリサービスを受けたい方におすすめです。

2-2-3.費用目安

通所リハビリテーション(デイケア)の通常規模型(平均利用人数750人以内)の施設を利用する場合の1割負担の利用料金は以下の通りですが、大規模型の場合は以下の表よりも少し安くなります。

なお、自己負担は原則1割ですが、一定以上の所得のある者の場合は2割又は3割負担となります。

(1単位=10円)

要介護区分 1時間以上

2時間未満

2時間以上

3時間未満

3時間以上

4時間未満

4時間以上

5時間未満

5時間以上

6時間未満

6時間以上

7時間未満

7時間以上

8時間未満

要介護1 331円 345円 446円 511円 579円 670円 716円
要介護2 360円 400円 523円 598円 692円 801円 853円
要介護3 390円 457円 599円 684円 803円 929円 993円
要介護4 419円 513円 697円 795円 935円 1081円 1157円
要介護5 450円 569円 793円 905円 1065円 1231円 1317円
  • 8時間以上の場合には1時間ごとに50円高くなります。最大13時間以上14時間未満
  • 送迎を行わない場合には自己負担額から片道47円安くなります。
  • 大規模型※通所リハビリテーションでは、自己負担が少し安くなります。
  • 地域によって自己負担が異なることがあります。
  • 介護福祉士の専門性を評価し、勤続年数にも着目したサービス提供体制加算が加わることがあります。
  • 理学療法士などを手厚く配置している事業所では、自己負担額が増えることがあります。
  • 事業所によって介護職員処遇改善加算(現行加算)、介護職員等特定処遇改善加算(特定加算)が加わります。なお、介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算は支給限度額の対象外です。

3.訪問リハビリと通所リハビリの違い

訪問リハビリか通所リハビリどちらがより本人に合っているのかを確かめるため、改めて訪問リハビリと通所リハビリのメリットとデメリットを比べてみましょう。

メリット デメリット
訪問リハビリ ・きめ細かいサービス

・自宅での日常生活に沿ったサービス

・自分のペースでサービスを受けられる

・リハビリ機器などは使えず手段が限定される

・他の方と交流することができない

・入浴や食事などまではできない

通所リハビリ ・専用の機器など環境が整っている

・集団リハビリを通じて多くの方と交流する機会があり、社会性の向上にも繋がる

・食事や入浴などもできる

・集団、組織的にリハビリが行われるため、訪問リハビリに比べると個人の状態を十分に配慮して貰うことは難しい

・施設内で行動するため、自宅内を想定した日常生活に沿ったリハビリは難しい

・退院直後で体力が減退している状態では、肉体的な負担が大きい

4.まとめ

介護は、それをする家族の本質を問われる機会です。介護の負担が大きすぎてしまうと、家族の中で介護をする人、しない人で分離してしまう危険もでてきます。

ご自身の家族がどこまでの負担ができ、どこから専門職の方にお任せするのか、家族全員で話し合うこと大切です。

介護リハビリを受けられるご本人と、家族全員で何を大切にするべきなのかを再確認することから、介護リハビリの検討を始めてみることをお勧めします。

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