認知症の家族にどう接していいかわからない
どんな風に話せばいいかわからない
使ってはいけない言葉はあるの?
このような悩みや疑問を抱えているのではないでしょうか?
この記事では、認知症の方への接し方や話しかけ方、使ってはいけない言葉などを解説します。
目次
1.認知症の方への接し方のポイント
ご家族の対応によって、進行が促進してしまうことがあるので、ご家族の接し方は重要です。
ここでは、ご家族の対応の仕方について説明します。
1-1. 受けとめる
認知症を抱える方は、自身に起きていることが理解できず、混乱や不安を抱えています。
そのため、周りが抜け落ちている記憶に対して否定したり訂正すると、ウソをつかれたと感じてしまい、さらに不安に陥ります。
事実とは違うことを言われても、受けとめることで安心してもらいましょう。
1-2. 環境を整える
認知症により、食材管理ができない、水道を出しっぱなしにしてしまう、支払いを忘れるといった日常に支障をきたすことがあります。
その場合は、宅食サービスの利用やガスと水道は周りに人がいるときだけ使えるようにする、支払いを口座引き落としにするなど、環境を整えましょう。
1-3. 繰り返して覚える
新しいことを覚えてもらう必要がある場合は、ひとつひとつ繰り返しましょう。
また、使用順番に番号をつける、絵を使うなどして、覚えやすいよう工夫が必要です。
1-4. 症状だと理解する
認知症の症状として、質問を繰り返したり、約束を破ってしまったり、すぐ忘れてしまうことがあります。
振り回されそうになっても、認知症の症状であることを理解しましょう。
怒りそうになった場合は、その場を離れて冷静になる時間を持つのが大事です。
2.話し方の基本
2-1.相手を否定しない
話し方の基本は、相手を否定しないことです。
気持ちに寄り添うように傾聴しましょう。
会話の中で同意できなかったり、事実と異なっていたとしても否定してはいけません。
たとえ否定でなくても、「でも」「だけど」などの否定語の使用も避けましょう。
傾聴では、相手の話を否定も肯定もせずに、受け入れて気持ちに寄り添うことが大切です。
2-2.共感する
共感しながら話を聴くことも大切です。
相手の気持ちに寄り添い、共感を示しましょう。
「そうですよね。」「わかります。」と言ったり、相手の言葉をオウム返しするのもよいです。
そうすることで、安心感や信頼関係が構築できます。
2-3.落ち着いた雰囲気で接する
時間に追われてセカセカしていたり、ほかのことでイライラしていたりすると、よい傾聴はできません。
気持ちにゆとりを持って接することが大切です。
2-4.話を途中でさえぎらない
話はゆっくりと最後まで聴くように努めましょう。
話を途中で遮ったり、急かしてはいけません。
また、会話が途切れたり、考え込んでいる場合もゆっくりと待つことが大切です。
2-5.話をまとめる
話がひと段落したら、話の内容をまとめてあげることもオススメです。
まとめてあげることで、頭が整理され自己理解が深まります。
特にだらだらと話が続いてしまったときに効果的です。
3.言ってはいけない言葉
3-1.命令⼝調
○○しなさい。○○しろ。○○やれ。○○するな。
こんな風に命令口調になっていませんか?
どんな時でも丁寧な言葉遣いを意識しましょう。
○○しなさい。⇒○○してください。
○○しろ。⇒○○しましょう。
○○やれ。⇒○○しないでください。
○○するな。⇒○○はやめましょう。
3-2.怒鳴る
丁寧な言葉づかいをしていても怒鳴ってはいけません。
必要以上の声をあげると、怒鳴っているように感じ取られてしまいます。
落ち着いて穏やかな雰囲気で話しかけましょう。
また、ため息交じりの言葉づかいも避けたいですね。
3-3.脅し文句
○○抜きにしますよ。
要介護者が誤った行動をした際に、罰を与えるような脅し文句は厳禁です。
脅し文句がプラスに働くことはないので、気をつけましょう。
3-4.相⼿を否定する⾔葉
「汚いですね。きれいにしましょう。」
「臭い」や「汚い」など相手を否定する言葉は避けましょう。
思っても絶対に言葉にしてはいけません。
3-5.赤ちゃん言葉
「あ~ん」「よくできまちた~」
介護をしていると、赤ちゃん言葉を使ってしまう方もいるのではないでしょうか?
要介護者のプライドを傷付けている可能性があるので避けましょう。
あ~ん⇒口を空けてください。
よくできまちた~⇒よくできました。
3-6.上から目線の⾔葉
○○させる。 ○○をやらせる。 ○○をしてあげる。
上から目線で圧迫するような言葉づかいはいけません。要介護者を尊重した言葉づかいを意識しましょう
○○させる。 ○○をやらせる。 ○○をしてあげる。⇒○○してもらう。
4.認知症の理解を深めよう
認知症は、脳の疾患により引き起こる機能障害で、日常生活に支障が出ている状態をいいます。
一度発症すると元の状態に戻すのは困難で、治療は進行を抑えるのが主な目的です。
4-1. 中核症状と周辺症状
認知症の症状は、中核症状と周辺症状の2つにわかれます。
中核症状 | 周辺症状 | |
概要 | 認知症の方なら誰でも現れる症状 | 中核症状が元となり、行動や心理に現れる症状
個人差あり |
症状 | ・記憶障害
・見当識障害 ・理解・判断力の障害 ・実行機能障害 ・失語・失認・失行 |
・不安・抗うつ
・徘徊 ・物盗られ妄想 ・幻覚 ・暴力・暴言 ・介護拒否 ・失禁 ・睡眠障害 |
4-2. 原因は生活習慣病などさまざま
認知症の原因は、さまざまな脳の病気です。
原因の約7割はアルツハイマー病で、神経細胞が傷害され脳が委縮します。
次に、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が認知症の原因です。
これらアルツハイマー病や脳血管障害を引き起こすリスクを高めるものとしては、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病があります。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか?
認知症の方への接し方や話しかけ方について解説しました。
介護をしているとどうしてもストレスが溜まってしまいがちですが、認知症の方と接する際は、信頼関係をしっかりと築き、ご本人のペースに合わせることが大切です。
また、ストレスが溜まってると感じた時は、ストレス発散も介護の一つという考え方を持つといいでしょう。
介護はあなた一人で行うものではありません。
ピンチの時には周りに助けを求めましょう。