老老介護とは、65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護している状態です。
老老介護は、夫婦間だけではなく、親子や兄弟の間でも行われています。
厚生労働省が平成29年に行った国民生活基礎調査によると、老老介護をおこなう世帯は、在宅介護のうち約5割です。
さらには、75歳を超える超老老介護をおこなう世帯は、全体の約3割を占めており、今後この数字は高まると予想されています。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf
また、老老介護と一緒に認認介護という言葉を使うことがあります。
認認介護とは、認知症患者が認知症患者を介護している状態です。
お互いが認知症のため、介護どころではなく、事件や事故につながることもあります。
老老介護の状態では、お互いに認知症の自覚がないまま、認認介護になっていくことも少なくありません。
この記事では、老老介護の問題点や原因、解決策について解説していきます。
目次
1.老老介護の問題点やリスク
1-1.共倒れの危険
介護は心身に大きな負担がかかります。
着替えや移動の介助の際に支えきれず転倒してしまい、お互いにケガをしてしまうことや、介護に疲れて介護者が病気をしてしまい、どちらも介護が必要な状態になってしまうことが少なくありません。
また、精神的な負担が大きく、介護者がうつ状態になったり、虐待してしまうことも考えられます。
1-2.介護者の社会的接点が減少
介護に追われるあまり、外出ができなくなり、社会的接点が希薄になってしまうことがあります。
また、それに伴い運動量が減り筋力や身体能力が低下したり、外部からの刺激が受けられず、要介護状態になりやすくなってしまいます。
1-3.お金や食事、薬の管理ができない
老老介護が長引くと、お金や食事、薬の管理ができなくなってきます。
特に認認介護の場合は、大きなリスクです。
キャッシュカードの暗証番号を忘れてしまう、栄養素まで考えて料理ができない、薬を飲んだか忘れてしまうなど様々な管理が困難になります。
特に薬の飲みすぎは最悪の場合、命に関わるので十分に対策しましょう。
2.老老介護が増えている原因
2-1.周りを頼れない
周りを頼れない理由は大きく2つに分かれます。
1つは、周りに頼れる人がいない場合です。
核家族が増えたことにより、子供世帯が近くに住んでいないことが多く、気軽に頼ることが難しくなりました。
さらに近年では、昔のように近所同士で支え合うという文化もなくなりつつあります。
もう一つは、周りを頼ることに抵抗感を持っている場合です。
「家族のことは家族が支えなければいけない」「自分のことは自分でしなければ」と考えてしまい、周りを頼れなくなってしまいます。
また、介護には、入浴や排泄などの介護も必要となるため、そこに抵抗感を感じる方もいらっしゃいます。
2-2.経済的余裕がない
生活保護を受給している場合など経済的余裕がなく、やむなく老老介護をしてることもあります。
施設への入居や介護サービスを利用したくてもできない方が多いのも実情です。
https://carers-navi.com/welfare
2-3.平均寿命と健康寿命の差の広まり
平均寿命と健康寿命の差が広がっていることも大きな原因です。
健康寿命とは、介護の手に頼らず暮らしていける年齢です。
医療技術の進歩と共に日本人の平均寿命は伸びており、2016年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳となっています。
しかし、健康寿命は比例して伸びておらず、介護が必要な状態が長くなっています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000637189.pdf
3.老老介護の解決策とは?
3-1.子供や兄弟姉妹、親戚に相談する
子供や兄弟姉妹、親戚に相談してみましょう。
現在は、遠方に住んでいても介護をサポートすることが可能になっています。
ぜひこちらの記事をご覧ください。
https://carers-navi.com/longdistance-care
家族や親戚に相談しづらい場合は、地域包括ケアセンターや自治体の相談窓口にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。https://carers-navi.com/care-consultation
3-2.介護サービスを利用する
介護は、あなた一人で行うものではありません。
一人で抱え込むのではなく、積極的に施設やサービスを利用しましょう。
老人ホームなどの長期サービスや、一日単位で受け入れてくれるショートステイ、日中だけのデイサービスなどあなたの用途に合わせたサービスがたくさんあります。
このようなサービスを使用することに罪悪感を感じてしまう方もいますが、むしろ利用しないで投げやりな介護をしてしまうよりは良いでしょう。
3-3.介護施設への入居を検討する
介護施設への入居も考えましょう
費用はかなりかかってしまいますが、ある程度介護を考えずに済み精神的にも余裕が生まれます。
また、特別養護老人ホームは、初期費用が掛からず比較的低コストで入居できます。
しかし、人気の介護施設で入居待ちとなることも多いです。
https://carers-navi.com/home-type
3-4.介護状態にならないよう予防する
厚生労働省発表の「平成22年 国民生活基礎調査の概況」では、要介護者の介護が必要になった原因を調査した項目があります。
介護が必要となる原因のトップは脳卒中で全体の21.5パーセントでした。
そして、脳卒中の原因には、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が基礎疾患としてある場合が多く、生活習慣が深く関わっています。
生活習慣を見直すことは、将来の健康状態に大きく関わります。
生活習慣病の予防法はこちら
http://carers-navi.com/care-prevention
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
老老介護とは、65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護している状態です。
厚生労働省が平成29年に行った国民生活基礎調査によると、老老介護をおこなう世帯は、在宅介護のうち約5割です。
さらに今後、この数字は大きく広がっていくでしょう。
老老介護にならないためには、早いうちからの準備が欠かせません。
まずは、こちらの記事を読んで準備を始めてみましょう。
http://carers-navi.com/care-preparation