認知症を調べてるとよく出てくるBPSDって何?
BPSDは治るの?
「中核症状」と「BPSD」の違いは?
このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
そもそも、認知症の症状には、「中核症状」と「BPSD」の2種類があります。
中核症状は、認知症によって起こる直接的な症状を指しており、「BPSD」はその二次的な症状を表します。
認知症の方の中には、BPSDがほとんど現れない人もいる一方で、かなり激しくBPSDが出てしまうこともあります。
今回の記事では、BPSDの症状とその対策について解説します。
目次
1.BPSDとは?
BPSDとは、認知症の症状の一つで中核症状に付随して発生する二次的な症状を指しており、周辺症状と呼ばれることもあります。二次的な
そもそも、認知症の症状には、「中核症状」と「BPSD」の2種類があります。
中核症状は、認知症によって起こる直接的な症状を指しており、「BPSD」はその二次的な症状を表します。
認知症の方の中には、BPSDがほとんど現れない人もいる一方で、かなり激しくBPSDが出てしまうこともあります。
介護者が対応に苦労する症状の多くは、中核症状よりもBPSDと言われています。
しかし、BPSDは中核症状に付随して発生するため、行動の背景にある理由を考え、気持ちに寄り添った対応をすることで、症状を改善できる場合も少なくありません。
2.中核症状の症状とは
2-1.記憶障害
記憶障害は、薬を飲み忘れたり、二重に飲んでしまう、ついさっき言われたことを忘れてしまう、今何しているかわからなくなる、質問を繰り返すなどです。
体験全体を忘れることから、話しのつじつまが合わなかったり、作り話をしてしまうこともあります。
また、ものを誰かに盗られたと思い込む、抗うつ状態を引き起こすことも少なくありません。
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2-2.見当識障害
見当識とは、時刻や日付、場所、周囲の状況などを判断する能力であり、その能力が低下するのが見当識障害といいます。
見当識障害の症状には、時間・場所・人物の3種類があり、時間→場所→人物の順番に進行していきます。
認知症の初期のころから現れ、ゆっくり進行します。
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2-3.言語障害
言語障害では、失語症(言葉が出なくなること)や、言い間違えが増えるなどが起こります。
また、物の名前がわからなくなってしまうため、コミュニケーションが難しくなります。
2-4.実行機能障害
実行機能障害とは、物事を論理的に考えたり計画を立てて実行することができなくなってしまう症状です。
例えば、洗たくをした後に服を干すことを忘れてしまう、料理ができなくなってしまうなどです。
また、一連の行動が取れなくだけでなく、予期せぬ出来事に対応できなくなくこともあります。
2-5.失行
失行とは、行動しようとする意思はあるものの、今までの生活でできていた動作が行えない状態です。
特に複数の手順が必要な動作や手先を使う動作が難しいです。
例えば、箸やはさみ使えない、ズボンを履き間違えてしまうなどがあります。
2-6.失認
失認とは、五感による認知力を正常に使い状況を把握することが難しい状態です。
身体に問題はなく感覚を感じているが、その意味を理解できなくなります。
例えば、体を触られているがどこの部位を触られているかわからない、時計が読めないなどがあります。
3.BPSD(行動・心理症状)の症状と対策
3-1.暴力・暴言
感情の抑制が効かなくなるため、暴力や暴言が現れることもあります。
暴力・暴言に対しては感情的な対応せずに、その場を離れて、落ち着くまで待ちましょう。
症状が悪化する前に精神科を早めに受診して投薬を検討することをおすすめします。
3-2.介護拒否
ご本人が介護を拒否することもあります。
認知機能の低下により、介護の意味を理解できなかったり、自尊心を保つためなど理由は様々です。
丁寧に理由を聞き、問題を解決しましょう。
3-3.せん妄
せん妄とは、高齢者によく現れる意識障害です。
症状は様々で、症状が短時間現れて消えたり他の症状に切り替わったりします。
・自分のいる場所や時間がわからなくなる
・コミュニケーションが取れない
・幻覚が現れる
・無気力で反応がない
・夜間に歩き回る
・物忘れがひどくなる
せん妄は、原因を特定できれば改善できます。
また、しっかりと原因を特定できていないと再発する可能性が大幅に増加します。
少しでもせん妄の症状が出ている場合は、医師の診断を受けましょう。
3-4.睡眠障害(不眠、昼夜逆転など)
年齢を重ねると、早朝に目が覚めたり、夜中に何度も起きたりすることがあります。
加齢によって、睡眠と目覚めのリズムが変わることは珍しくありません。
しかし、夢を見ながら暴れている場合はレム睡眠行動障害を疑ってみてください。
レビー小体型認知症の可能性があります。
日中十分な活動をすることや午前中の日光浴が効果的です。
3-5.幻覚
幻覚とは、実際には存在しない知覚を感じる症状です。
幻覚は、視覚によるものだけでなく、五感すべてにみられ、「幻視」「幻聴」「幻触」「幻臭」「幻味」などに分けられます。
せん妄やストレスが原因で現れる幻覚には、心身の状態を整えることで予防できます。
不安やストレスを感じていないか、体調に違和感はないかなど細かく観察しましょう。
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3-6.性的異常行為
性的異常行為はピック病に起こりやすいと言われており、痴漢行為・セクハラなどをしてしまうことがあります。
ピック病になると社会性が欠如してしまい、悪いことと認識できなくなります。
介護サービスなどを利用して、1人で行動する時間をなるべく減らすことが重要です。
ひとりで電車に乗らせない、買い物に行かせないようにしましょう。
3-7.異食
異食とは、食べ物以外のものを食べようとすることをいいます。
認知機能の低下により、判断がつかなくなり現れる場合が多いです。
ご本人の手の届く範囲にはなるべく物を置かないようにしましょう。
特に、電池やビニール袋、タバコなどには要注意です。
3-8.抑うつ
抗うつ症状は、気分が落ち込む、注意力が散漫になる、物事への興味や幸福を感じない、やる気が出ない、食欲が落ちる、眠れないなどの症状が出ます。
原因の一つに環境的要因があり、活力を取り戻せるような環境を整えたり、家族と定期的に会えるようにするなどが効果的です。
3-9.徘徊
見当識障害や記憶障害、ストレスなどで絶えず歩き回る症状を徘徊と言います。
行方不明になってしまうことも多く、脱水や転倒などの心配もあります。
徘徊の前兆が見られたときには、しっかりと外出の理由を聞き、無理には止めず一緒に出かけたり気をそらすような提案を心がけましょう。
3-10.弄便
弄便とは、自分の便をいじったり、自分の体や寝具・壁などに擦りつける行為です。
認知機能の低下により便への認識が薄れてしまったり、オムツの不快感からなど様々な理由によって起こります。
弄便が見られた時にはなるべくトイレで自然排泄できるように環境を整備することをオススメします。
3-11.物盗られ妄想
記憶障害によって、いつ、どこに、何をしまい込んだかを忘れてしまいます。
そのため、自分が置き忘れた自覚がなく「盗まれた」と身近な人を疑ってしまいます。
疑われた側にとっては怒りや悲しみを感じることもありますが、認知症の一つであることを認知して本人の話をよく聞き、誠意ある対応が必要です。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか?
BPSDとは、認知症の症状の一つで中核症状に付随して発生する二次的な症状です。
こんな症状も認知症で現れるんだと驚いたかと思います。
BPSDが出るようになると、介護者の介護負担は大きなものになります。
介護の負担を減らすためにも積極的に介護サービスの利用を検討しましょう。